士業マーケティング 「どこで働いているのか?」と質問された

個人事業主の自営業なので、「どこで働いているの?」と尋ねられると答えに詰まってしまいます。
「イオンで働いているの?」と聞かれた
毎朝、バス停まで400mくらいを歩いています。途中、高齢の女性がいらっしゃる家があり、たまに外に立っているのを見かけると挨拶させてもらっています。先日も久しぶりにお見かけしたので少し立ち話をすることに。最近お見かけしなかったですねとか、バスの時間が変わって不便になったとか、そんな話をしていたら、ふと「イオンで働いているの?」と尋ねられました。バス停がイオンの目の前なので勘違いされたのでしょうか。それともいかにも店舗で働いている雰囲気を醸し出していたのか(元茶わん屋なので売場に立っても違和感はないはず)。とりあえずやんわりと違いますよとお答えしておきました。
私の場合、何の仕事をしているのと尋ねられると、サラリーマンのように雇われている会社があるわけでなく、面倒くさい時は「自営業です」とか「社会保険労務士です」と答えるようにしています(いずれも間違いではない)。本当は中小企業支援家と答えたいところですが、そこから根掘り葉掘り尋ねられることになるので、できれば避けたいところ。顧問先の社名など答えられないですし、どんな仕事をしているかというのもひと言では説明しづらいものです。かつての家業を「京都の茶わん屋です」ときわめて簡潔に説明できていたのとは対照的です。
先日は息子が高校に入学するので書類を提出する必要があり、保護者の勤務先を記入する欄にどのように書けばよいのかと家族に尋ねられました。家族ですらわかっていない私の仕事とはいったい何だろうかと考え込んでしまいましたが、個人事業主の自営業とはそんなもの。かつて地方中小企業とはいえ、全国に比較的知られていた企業で勤めていただけに、自営業の悲哀をたまに味わわされています。
自己開示し、自分が何者であるかを伝える
独立開業した士業の一番の商品は、知識や資格ではなく自分自身です。この点を勘違いしてしまうと、次から次へと資格を取得して営業がおろそかになってしまったり、試験勉強の延長でいつまでもマニアックな実務の役に立たない勉強を続けたりしてしまいます。独立開業したら、一番の商品である自分自身が看板になるのです。
情報発信も同じ。一番の商品が自分自身なのだから、真っ先に発信すべきは自分のことです。法改正情報などは誰でも発信できる内容で、独自の立ち位置を作ることに繋がりません。自己開示し、自分が何者であるかを伝えることが見込客の関心を引くことに直結します。
ある士業の方は法改正情報なんて一切発信せずに、ご自身のプライベートを中心に発信しています。そこだけ切り取るとまさか士業だとは思えないような活躍ぶりなのですが、もちろん専門家としてバリバリ働かれている方です。見込客に選んでもらうためにも、個性を伝えようとそうした発信に注力しているのでしょう。

百貨店内の自社ショップで販売員をしていたことがあります
拡大するかどうか
自営業をしていて悩ましいのが、事務所を拡大させるかどうかの判断です。事務担当者を雇用するのか、自宅兼事務所を脱却して事務所を別に用意するのか、など。経営に対する価値観は人それぞれなのでなにが正解かはわかりませんが、私は現在の働き方が気に入っています。つまり、誰も雇わずに自宅兼事務所で働く今のスタイルが自分に合っているのです。
例えば一人でも従業員を雇ってしまうと、売上の多寡にかかわらず給料を支払い続けなければなりません。「稼いでくれないと給料を出せないぞ」などと口走ってしまおうものなら、パワハラで一発アウト。労働法で手厚く保護されている従業員を雇用するというのは、想像を絶する責任を抱え込むことになります。
ある士業の方は独立開業と同時に立派な事務所を借りていました。まだ顧客もいないのに何をしているんだろうと心配していたら、案の定、数年も経たずに小さな物件に移転していました。事務所が立派だからといって仕事が舞い込むことなんてなくて、見込客は士業の個性を見極めて発注の可否を決めているのです。
名のある大企業で働いているからといって、それだけで人生の幸せが約束されないのは多くの方が気づいてしまっていることでしょう。誰かに尋ねられても答えに窮してしまうような個人事業主の自営業だからこそ、自分が幸せだと感じる働き方を選ぶことができます。
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