仕事と家族

これまで仕事のやり方はもちろん、次の進路を決めるにあたって家族に相談したり了承を得たりしたことはありません。それが当たり前だと思っていたのですが、世の中には家族の反対で考えを改める人もいるそうです。
「家族の了承を得てください」
先日、ある案件に手を挙げたところ、事前に家族の了承を得ておいてくださいと念押しされました。案件が進行し始めてから、家族の反対に遭って辞退する人がいて迷惑しているというのです。辞退の理由が本当に家族に起因するものかどうかが気になるところですが、そうした理由を述べられてしまうと今時は無理強いすることも困難。同じトラブルを繰り返さないためにも、事前に家族の了承を得ておくようにと一文を差し込んでいるのでしょう。
これまで何回か進路を変えてきた私ですが、家族の了承を得てから動いたことはなかったはず。すべて自分だけで決めて、家族には事後報告。引っ越しや転校が伴ったとしても、家計を成り立たせるためには即断即決で次に進む道を決めてきました。直近は3年前。居心地の良い場所での仕事でしたが、そろそろ潮時と判断して退職、転居することに。家族で協議などすることなく、すべて私が決めてしまいました。今より良くなるはずと信じて任せてくれているわけで、いろいろ綱渡り状態ではありましたが、振り返ってみてその時の決断に間違いはありませんでした。
48歳になる年を迎えて、そろそろまた転身のタイミングが近づいてきているような気もします。残りの社会人人生というよりも健康寿命から逆算すると、いつまでも現在地に留まっているわけにはいきません。また次の決断も家族の了承を得ることなく、私の責任で進路を決めるつもりです。
特異な経験
最近、ある方とお話しして私の経歴をお伝えしたときに、「特異な経験をしてきましたね」「経営者経験があるといっても大企業の子会社でのものである人が多い。その点、あなたのようにこの歳で地方中小企業の経営経験があるのは貴重だ」とおっしゃっていただきました。自分でもそう思います。他に同じような経験をしたことがある人など見かけたことがありません。
江戸時代から続く家業を投資ファンドへ事業譲渡し、その後、中小企業支援家に転身。支援事例がメディアに取り上げられたり、大学の客員教授を務めたり、地方中小企業の顧問や社外取締役を務めたり。最近では半導体関連企業の経営者とも対話をすることが増えています。こうした経験を面白いと見てもらえるのか、単に経営失敗経験のある元経営者としてしか見られないのか。金融機関関係者や会計士などからは後者の目線で見られることが多いと感じています。一方、地方中小企業の経営者や経営の現場に携わる人からは前者の目線から見てもらえることがほとんど。ありがたいご縁をいただけるのも、前者の方からであるのが圧倒的に多いです。
最近立て続けに、こうした私の経験を面白がってくれる方との出会いが続きました。しばらく途絶えていて寂しかったのですが、ありがたいことに誰かに理解されるというのは何歳になってもうれしいものです。この先、何がどうなるのかまだわかりませんが、誰かに支えられていることを自覚して社会人人生を歩んでいきたいと考えています。

一口目がいちばんおいしく感じます
予定表に「飲む」とだけ入れる
家族の話に戻ると、私は夜の会食が月に数回あるかないかという生活です。そうした日はGoogleカレンダーに「飲む」と入れておくだけ。場所だとか時間だとか、相手がどなたかなど詳しく伝えることはありません。酒がそれほど好きでない私が外食するくらいなのだから、大事な仕事だろうと勝手に考えてもらえるので助かります。
家業の代表取締役を務めていた時も従業員と飲みに行くことが多く、家族には「飲むのも仕事」の一点張りで通させてもらいました。実際には私が従業員に相手をしてもらって、日中のモヤモヤを解消させてもらっていたわけですが、広義の仕事であったのは間違いないはず。今もあの頃と同じように飲むことができるかどうかというとまったく自信がありませんが、またいつかそんな日々が戻ってくることになるかもしれません。
ちょうど来週も火曜日・水曜日と夜の予定が続きます。どなたかに気にしてもらって、飲みに行こうと声を掛けてもらえるのは幸せなこと。二日酔いにならない程度に楽しんできます。
ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています
関連記事