セミナーとは人の時間を預かる重い仕事である
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先日、あるセミナーに参加しましたが進行がグダグダで、最後まで聞かずに席を立ってしまいました。
持ち時間を考えずに自己紹介を続ける登壇者
先日、あるセミナーに参加してきました。トークセッションの予定時間が45分しかないのに、登壇者2名のうち1名の自己紹介で20分以上費やしてしまうという不安なスタート。案の定、肝心のトークセッションを駆け足で済ませることになってしまいました。モデレーターという立場の方がいらっしゃいましたが、場をコントロールすることができておらず、せっかくのセミナーがグダグダに。そのまま最後までいるのがつらくなってしまい、第二部の座談会が始まる前に帰らせてもらうことにしました。
振り返ってみると、最初にモデレーターが登壇者へ自己紹介を促した際、時間を指定せずに好きに話させたのが失敗でした。事前に打ち合わせをしていなかったのでしょうか。時間など気にしない登壇者は好きなだけ話し、満足したのかうれしそうに笑っていたのが印象的でした。もう一人の登壇者は時間を気にして自分の話を手短にしていましたが、時すでに遅し。モデレーターも特にまとめようと努力することもしないうちにトークセッションが終わってしまいました。
また、そのセミナーでは冒頭にアイスブレイクと称して、自分の周りに座った4、5人の参加者同士で、「今日は何を聞きにやってきたか」を話すことを強制されました。その間、主催者は会場の外で何やら打ち合わせをしていてこちらのことなど気にしていません。周りの参加者と話すことなんて何もないのに、つらい時間でした。こうした「客いじり」が私は大嫌い。そういえばすでにこの時点で、私は帰りたくなりかけていたのかもしれません。アイスブレイクって必要なのでしょうか。
自己紹介は簡潔に
自己紹介となると延々と話し続けてしまう人がいて、私も過去に痛い目にあっています。企画したセミナーで呼んだ専門家が、延々と過去の自分の実績を披露し始め(研究内容とか)、肝心の本題は駆け足でスライドをなぞるだけになってしまったのです。自己紹介なんて短ければ短い方が良いと気づいたのは、この時でした。
ちなみにこの講師を選んだのは私ではなく、間に入った公的支援機関の管理職です。後日、クレームを入れても特に反応はなし(他にも講師の問題行動があった)。それどころかまた何か一緒にさせて欲しいと言ってくる始末で呆れています。この方と組むことはもうないでしょう。
それ以来、私が講演する時は自己紹介を時間調整用のコンテンツにし、本題の後に話すように変えています。最初に挨拶し、ごく手短に名前などを伝えた後にすぐに本題に入るのです。2回ほど試しましたがこれで何の問題もなし。本題を話し終えた後にもし時間が余っていたら、その他の時間調整用コンテンツのうちの一つとして詳細な自己紹介を述べています。
人は誰しも自分の話を聞いてもらいたいものです。でも、一方通行では会話が成り立たないため、ぐっとこらえて相手の話に耳を傾けるわけです。ところがいざ自分が講師となると、「呼ばれたのだから好きなだけ自分のことを話して構わない」と考えてしまうのか、延々と自己紹介を始めてしまう人が現れるのです。講師をする際に気を付けなくてはいけないのは、自己紹介なんて誰も関心が無くて、自分の知らないコンテンツを聴きたいから参加者が集まってくれているということ。セミナーは独演会ではないのです。
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地下鉄に乗って帰りました
セミナーとは人の時間を預かる重い仕事である
セミナーとはお客様の時間を預かる、非常に重い仕事です。そのあたり安直に考えている主催者が多いように思います。1日24時間、1年365日というのは誰もが持っている有限の資産です。その時間を預かって、代わりに有益な情報を提供しようというのがセミナーの本質のはず。無料、有料なんて関係ありません。主催者が企画し、実施するからには預かる時間以上の価値を提供する覚悟が必要です。
ちょうどいま私が企画しているのは、創業間もない会社や小規模な会社向けのハラスメント対策のセミナーです。大企業であれば社内でハラスメント研修などを受ける機会がありますが、こうした企業は対策が追いついていないのが実態です。ざっと調べてみて、同じような趣旨のセミナーはあまり実績がなかったので企画してみることにしました。我ながらおもしろそうな企画を思いついたので、楽しみにしているところです。
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