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コラム

ある経営者さんに「うちにおいでよ」と言われた

中小企業支援に携わっていますが、たまにスカウトされることがあります。仲間として認めてもらえているようで、うれしい瞬間です。

「うちにおいでよ」と言われた

先日、ある経営者さんとお話ししていたら、「うちにおいでよ」という言葉が飛び出しました。事業の近況を教えていただいていて、一時期は資金繰りに窮するような状態だったのに、見事に復活している様子を事細かに説明してもらっていたところでした。新規事業を担う管理職が不足しているのか、急に声をかけてもらったのです。もちろんただの軽口といった感じで、真剣な提案ではありません。でも、47歳にもなって誰かに必要とされるというのはうれしいものです。

実はこうした話は(ありがたいことに)それなりにいただきます。ただ、これまでのところ、検討できるような具体的な提案はなし。例えば、ある関与先からは「フルタイムで来て欲しい」と言ってもらいましたが、それ以上の詳細がわからなかったので検討するに至りませんでした。どんな業務と責任で、どういう処遇なのか。少なくともこのあたりが明らかにならないと安易に返事することはできません。他の関与先もあるのでフルタイムでは関われませんとお断りしておきました。

またある時は、病院の理事長直下の事務長ポジションだということで、面接を受けたことがあります。紹介者からは事業承継含みだとも言われました。しかし、実際に話を聞いてみたら、経営企画室のような部署の管理職案件でしたので丁重にお断りさせていただいたことがあります。こうした、最初に声かけいただいた時の概要と、実際のオファーがまったく別内容というのはよくある話です。

そういえば一社だけ、鮮やかな会社がありました。面接後、その場で採用辞令?みたいな書類を渡されたのです。数年前に転職を検討した際に求人サイトから「子会社の経営者募集」といった案件に応募し、遠隔地にある本社に呼ばれて面接を受けることに。次第に当初の求人内容と違う業務であることがわかったのでお世話になる気持ちは無くなっていましたが、条件提示という点では最も安心できる書面を提示してくださいました。辞退はしましたが、管理担当役員との面接は刺激的で勉強になったのを今でも覚えています。

条件提示が無ければ検討できない

誰かを採用しようとするのであれば、具体的な条件提示は必須です。諸条件の提示がなされなければ、どうにも検討しようがないからです。自分の身に置き換えれば当たり前のことだと思うのですが、採用する側になると忘れてしまう人が多いようです。オファーに応じるかどうかは、突き詰めれば報酬や責任、業務内容が大事なわけで、この点を後回しにしてフワッと誘ってくるだけのような案件は怖くて関われません。

あるプロジェクトに関わっていた際に契約更新のタイミングで私が交渉を申し出ると、非常に面倒くさそうに対応されたことがあります。こうした交渉に慣れていないからか、諸条件(の改訂)の話をするのに抵抗があるようでした。

でも、私からしたら諸条件をはっきりさせないことには検討できません(前述の転職活動は、契約更新の交渉がこうした状況だったので、選択肢を確保しておくために同時並行で進めていたもの)。結果、その時の契約更新ではある程度の言い分を飲んでもらいましたが、私からしたらモヤモヤが残る部分もありました。その数年後の契約更新は、こちらから辞退させてもらうことに繋がりました。

労働条件通知書とペン

そう考えると、労働条件通知書というのはよくできた様式だと思います

いつかまた商売の現場に戻りたい

今は中小企業支援家として活動している私ですが、いつかまた商売の現場に戻りたいと考えています。経営者と対話して知恵とアイデアを提供していると言っても、元々私は茶わん屋出身で、銀行や支援機関の生え抜きではありません。たまたまご縁があり、支援する側で9年目を迎えることになりましたが、あくまで過去の経営経験をお伝えしているだけのつもり。早くまた現場に戻らないと、教科書に書いてあるようなことだけを語る専門家らしき人に自分がなってしまわないかと心配なのです。

どこかの会社に呼んでもらうのか、自分で事業を興すか、あるいは既存の事業を買わせてもらうのか。そのあたり、まだ何かが見えているわけではありませんが、自分の社会人人生の残り時間を想像しながら、居心地の良い場所に留まって後から後悔することのないように立ち回っていきたいと考えています。

そんな私に「うちにおいでよ」などと声を掛けてもらえるのは本当にうれしい限りです。経営を任せてもらえるなら、そして諸条件を明らかにしてもらえるのであれば、ぜひ検討させてくださいという気持ちです。たまに雇われる立場でスカウトされることがありますが、今さらサラリーマンで働くことには興味ありませんし、そんな働き方は無理です。あくまで、経営の責任を任せていただける業務に関心があります。


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