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コラム

新年、初アマチュア無線を楽しんで考えたこと

アマチュア無線で遊んできました。趣味の世界にも少子高齢化は着実に押し寄せてきています。手遅れにならないうちに持続可能性を担保して文化を守りましょう。

第78回QSOパーティに初参加

自宅近くに渡船場があり、船で能古島へ渡ることができます。乗っている時間は10分ほど。気持ちの良い展望台があるので、新年最初のアマチュア無線は能古島から電波を出すことにしました。

1月2日から6日まで、QSOパーティという新年恒例のイベントが開催されています。新年の挨拶をすることを目的としているイベントで、20局以上と交信して申請すると干支のシールをもらえるそうです。昨年2月から本格的にアマチュア無線を始めたので私は初参加。いつものように三脚に無線機を固定し、声を出してみました。

普段は週末でも2時間粘って10局と交信できるのがせいぜい。ところが今日はイベント開始の9時直後から多くの局長さんの声が聞こえてきます。144Mhzは人が多すぎて初心者の私が入り込む隙がなさそうなので、430MhzからCQを出すことに。すると途切れずにバッテリーが無くなるまで交信が続きました。交信できたのは合計20局ちょうど。初日でシールをもらえる局数を達成できてしまいました。

意外だったのが普段よりもQSLカードの交換を希望される方が多かったこと。これまでは初交信の局長さんでもカード交換を希望される方はほとんどいなかったのですが、今日は9件もカード交換することになりました。QSLカードというのは交信が成立したことをお互いにカードに記して交換するもの。交信証明書みたいなものです。私は面倒くさがりなので自分からカード交換を申し出ることはありませんが、ご希望があれば発行させてもらうスタイル。自分と相手のコールサイン、時刻、信号の状況などを記載して発行します。

相手がいらして成り立つ趣味

アマチュア無線は一人で楽しむことは基本的にできません。どなかた交信相手がいて初めて成り立つ趣味です。となると、自分のことばかり話して相手の声に耳を傾けようとしないなど独りよがりなことをしていると、そのうちに誰からも交信してもらえなくなってしまい趣味を楽しむことができなくなってしまいます。また、そもそも新しくアマチュア無線の世界に足を踏み入れる人がいなくなると、そのうちにアマチュア無線そのものが消滅してしまうことにもなりかねません。

そんなことを考えるのは、交信していて声を聞いている限りにおいて、楽しんでいるのが高齢の男性がほとんどであるから。これまで自分より年下と思われる方と交信したのは数回くらいで、そのうち1回はおそらく小学生くらいだったと思うのですが私よりはるかに手際よく交信してくれました。また女性と思われる局長さんと交信したのは1回だけ。おそらく母親と同じくらいの年代の方だったのでしょうか。短時間でしたが楽しくお話しさせてもらったのを覚えています。

何かを存続させるには多様性の担保が必須です。私が交信した限りにおいては高齢の男性ばかりが目立っていて、幅広い年代や性別の方が楽しんでいるとはまったく言えない状況です。このあたり、ロビー団体が抜本的な対策を講じなければ10年後、20年後には危機的な状況に陥ってしまうのは明らかなことです。ただ、そのロビー団体も高齢男性のサロンと化している様子。私も加入していますが、高齢男性特有の内輪揉めが絶えないようで困ったものです。

能古島の展望台でアマチュア無線を楽しむ様子

展望台で2時間立ちっぱなしでした

QSLカードやシールを集めたいのは誰でも同じ

QSLカードやシールを集めたくなるのは人間の本能なのでしょうか。であるならば、この習性を利用してアマチュア無線人口を増やすことも可能なような気がします。ポケモンGoがこれだけ多くの人を熱狂させているように、交信数に応じてアプリ上でポケモンをもらえるようにするとか。「敷居の高い高尚な趣味」みたいなかつてのイメージに寄りかかっていると、いつまでも若い人たちに興味を持ってもらえません。多少費用が掛かっても、ロビー団体が率先してマーケティング活動に勤しんでもらいたいものです。

QSOパーティに参加することでもらえるシールは干支のデザインとのこと。台紙も販売されていて、一通り揃えるともらえる記念盾も用意されているそうです。かつてはこのようにおもしろいイベントを考案することができたのだから、今また新しい挑戦をすることも必ずできるはず。ちなみに今年からシールを集め始めた私が、すべての干支を集めた時には59歳になっています。もう還暦が迫ってきていることに気付いて少しあせってしまいました。


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