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コラム

士業マーケティング 承認欲求を抑える

承認欲求をこじらせたPR会社の経営者が話題になっています。少し前まではキラキラとした発信がもてはやされたものですが、しばらく前から、どうやら世間の受け止め方に変化が生じているようです。

Facebookでの発信をやめた理由

前職では情報発信もミッションとして課せられていて、ブログとFacebookページで日々の出来事を発信していました。「⚪︎⚪︎さんが来訪されました」「支援事例がメディアに取り上げられました」といった感じ。当初は特に問題もなく続けていたのですが、そのうちに反応の雰囲気が変わってきたことに気づきました。「いいね」やフォローが減ったというのではありません。業務の成果が積み上がるにつれて我ながら「鼻につく」ようにも感じてきました。

といって情報発信は評価指標にも組み入れられているのでやめられません。特に行政は情報発信が苦手なので、日々、成果を発信してくれる事業は好ましいものだったのでしょう。風向きの変化を感じ取った私は個人のアカウントで引用するのを控えたり、他のスタッフに書いてもらったりするくらいしか対応しようがありませんでした。

SNSでのキラキラとした発信がもてはやされたのは例の流行病が蔓延する前までだったように思います。今でもそんなことを続けていたら承認欲求をこじらせている人だと思われます。知ってもらうための情報発信で表面上はもてはやされても、実態は後ろ指を刺されているわけです。本末転倒ですね。

士業の情報発信の勘所

士業の一番の商品は資格や知識ではなく、自分自身です。資格だけなら全国に何万人もライバルが存在しますし、知識だけならさらに人数は増えることでしょう。資格や知識を必死に売り込んでも、それは不毛な行動なのです。

士業が発信すべきは自分自身。個性が伝わるようなコンテンツが見込客に選んでもらうための貴重な判断材料になります。ここで注意しなければいけないのが「背伸び」は逆効果になるということ。高級レストランで食事をしましただとか、ブランド品を身につけましたといった発信は個性ではなく鼻につく自慢。自分が何者で、どんなことを考えていて、何をしようとしているのかを発信しましょう。等身大の自分を伝える勇気が必要です。

無形のサービスを提供する士業は法改正情報だとかを唯一のコンテンツとして発信しがち。ひょっとしたら業者から提供される情報を垂れ流しているだけなのかもしれません。でも私はそうした情報にはほぼ触れません。なぜなら他に発信してくれている人がいくらでもいるから。他の士業が発信できない、自分だからこそ伝えられるコンテンツを持つことが見込客に存在を知ってもらうための第一歩です。

あるグループ向けにメルマガを発信していて、末尾にこのブログの記事を流用してコラムを載せています。月数回しか発信していないメルマガなので、引用する記事は私なりによく書けたなと考えている記事のみ。その程度の手間しかかけていない、あくまでおまけ程度の位置付けのコラムなのですが、楽しみに読んでくれている人がいらっしゃるそう。先日も「コラムだけは読むようにしています」と声をかけてもらいました。個性を伝えているからこそ、興味を持ってもらえているのでしょう。

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キラキラとした発信は「痛い人」だと思われるようになりました

承認欲求を抑える

人は誰しも承認欲求を抱えているものです。それを自覚して抑えることができるかがポイント。自覚できていないと、自慢話を垂れ流して自己満足に陥る一方で、見込客からは「痛い人」とみなされるだけです。

ある人は中小企業支援でそれなりの足跡を残していましたが、承認欲求に凝り固まっていて徐々に周囲から人が離れていきました。すべてが自分のおかげであるかのように発信したり、いつも同じような事例ばかりを発信したり。本人はそうした内容を自分のキラーコンテンツと思い込んでいたようですが、いつしか周囲からは浮いていたのです。まさに裸の王様。私にとっては貴重な反面教師となっています。

経営者との対話にしても同じ。人は自分のことを話したがるもの。経営の至らないところを指摘し続けたり、自分の過去の自慢話を話していたりするようでは経営者の信頼を得ることはできません。経営者の言葉に耳を傾け、次の言葉を促すのが我々の腕の見せ所です。


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