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コラム

まずは全体像を把握する

何か起こったときには「まずは全体像を把握する」ように心掛けています。

顧問先での労務トラブル

ある顧問先で労務トラブルが発生したと一報が入りました。詳細はまったくわかりません。当事者の一人が退職の意思表示をしているとのみ教えてもらいました。それ以上の情報は教えてもらえず、「ということは、次回訪問時にお話しすれば済む程度の案件なのかな」と勝手に安心していました。ところが断続的に経営者から連絡が入り始めます。「弁護士を紹介して欲しい」「〇〇について協力してもらえるか」といった感じ。訳が分からないままに手を打つことはお勧めできないので、「まずは全体像を教えてください」「一時の感情で対処しないでください」とお伝えしました。

その後に判明した全体像は当初の予想とはまったく異なるもの。会社側に落ち度はまったくなく、下手に会社から動いてしまうと相手方に「材料」を与えかねない状況であることがわかりました。

顧問先から労務関連に限らず、「トラブルが起きた」と連絡が入ることがありますが、その時に心がけているのはまずは全体像を把握すること。慌てふためいている経営者にこちらも振り回されることのないように、冷静に情報を取捨選択する必要があります。ダラダラと話し始める経営者に対して、「で、今どうなっているのですか」などと口を挟むこともあります。経営者に知恵とアドバイスを提供するのが私の仕事。まずは全体像を把握しないことには、その知恵とアドバイスも的外れなものになりかねません。

なんとなく始まった「打ち合わせ」

ある経営者から打ち合わせに同席して欲しいと求められました。何を目的とする打ち合わせなのかわかりませんでしたが、とりあえず出席することに。案の定、経営者がダラダラと開発中のアイテムについて説明をし始めます。キリの良いところで私が口を挟んだのは「開発は順調なのですか?それとも問題があることを伝えたいのですか?」という言葉。少し冷たく感じられたかもしれませんが、状況を整理するには必要な問いでした。答えは「順調に開発を進められている」というもの。その後は開発の話は横に置いて、営業プロセスとそれぞれの期限を設定する打ち合わせにしてもらいました。

打ち合わせをしているとそれだけで仕事をしている感覚に陥ってしまいがちです。でも実際には打ち合わせは仕事を進めるために環境を整えるだけのもの。この打ち合わせでも経営者にそのまま任せておいたら、ダラダラと開発状況を共有されるだけの時間になるところでした。私が口を挟んでからは、開発中の商品をどう売っていくのかを具体化し決定することができました。あとは打ち合わせで決めた「約束」を実際に行動していくだけ。ぜひ成果をつかみ取って欲しいと願っています。

私は「打ち合わせ」と聞くと本能的に身構えてしまいます。「何を決めるの?」「誰が出席するの?」「私はなぜ出席する必要があるの?」といったことが気になってしまうのです。残念ながら多くの場合は、なんとなく設定されて、なんとなく始まってしまうもの。そんな打ち合わせがどれだけ売上アップに結び付くのか、私は疑問に思っています。打ち合わせをするのにも、まずは誰かが全体像を描かなければいけないのです。

福井県の常神半島

まずは全体像を把握しましょう

全体像を把握するために手を打つ

何かトラブルが起きた際に真っ先に考えるのは全体像を把握することです。家業の代表取締役を務めていた際に商品関連のトラブルの一報が入りました。担当の役職者は「大したことではないが念のために報告しておきます」という姿勢。一瞬、流されそうになりましたが何かが引っ掛かったので全力で対処することにしました。この時にある行政機関に出向かなければならなかったのですが、担当者は一人行けば十分だと言います。私が指示したのは二人で聞いてこいということ。全体像を把握するためには、「大したことはない」と言う担当者だけに行かせるのでは心許なく思ったのです。その後しばらく時間を要しましたが、経営上のダメージを発生させずに終息させることに成功しました。後にある取締役からは「あの時の判断は良かった」と褒めてもらえました。

地方中小企業を経営していると、日々、大小さまざまなトラブルが起きます。その都度経営者が振り回されると体がいくつあっても足りないことになってしまいます。大事なのはまずは全体像を把握して事の軽重を見定めること。大した問題でなければ放っておけば良いですし、深刻なものであれば経営者自ら対処する必要があります。「木を見て森を見ず」とは、細部にこだわり全体が見えていない状態のこと。まずは全体を眺めるように心がけましょう。


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