日経電子版で保存した記事(2024年11月)
日経電子版で保存した記事の中から、ここ最近で気になったものを紹介し、私の考えや連想したことを書いてみます。
〈ビジネスTODAY〉ブックオフ、「本を売るなら」脱却に隙
日本経済新聞 電子版 2024年10月23日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO84293630T21C24A0TB1000/
従業員による架空取引などの不正が発覚した上場企業です。取締役会の構成を見てみると、社外取締役もいて形だけは整っているようにみえます。同じように不祥事を起こした、医薬品や医薬部外品などの製造販売を行う会社もガバナンス体制は整っているように見えたものです。なにしろ社外取締役にはコーポレートガバナンスの大家と呼ばれる人も名を連ねているのですから。
社会に通用する企業統治ができるかどうかは「形」ではなく、「魂」と「志」が組織と人に備わっているかが重要です。私自身も地方中小企業の社外取締役を務めているからこそ、会社の実質・実態を把握することからすべてが始まると承知しています。名のある人を社外取締役に据えたからといって、それだけで何かが解決するわけではありません。
このところ社外取締役になりたがる人が増えていると聞きますが、「非常勤で取締役会に出席するだけの楽な仕事」なんて考えている人が務めるのは無理。いつでも経営者に代わって、自らが経営の先頭に立つくらいの気概が求められる仕事です。
NEO‐COMPANY 解なき世界で 出世で「一獲千金」の夢
日本経済新聞 電子版 2024年10月25日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO84333180U4A021C2TB2000/
日本企業で役員と一般社員との報酬差が広がっているとまとめている記事。最後は「従業員の平均給与も引き上げつつ役員報酬を高めることが重要となる」というコメントで締めくくられています。
私は関与先の経営者には、役員報酬をできるだけ多めに取るように勧めています。なぜなら、いざという時に会社に資金を供出する必要があるから。それだけの理由です。地方中小企業の経営は絵にかいたような成長曲線ばかりを描くとは限りません。時には資金繰りに窮する局面も訪れます。そんな時に金融機関が必ず支援してくれるとは限らず、経営者が手元の資金を会社に入れなければならなくなることも十分にあり得ます。
雇われる立場の人からすると高額の役員報酬はやっかみたくもなりますが、経営の現場は泥臭いものなのです。
(竹内謙礼の顧客をキャッチ) 推してもらえる売り手に
日本経済新聞 電子版 2024年11月4日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO84525710R01C24A1HF0A00/
「やみくもにフォロワー数を増やしても、その人たちが商品を購入してくれる熱烈なお客になるとは限らない」と諭している記事です。フォロワー数の多寡で一喜一憂したところでまったく生産的ではありません。フォロワー数が少なくても熱心なファンが存在してくれればそれでよいのです。
ある顧問先のSNSアカウントのフォロワー数は1,000にも満たない数字。それでもコツコツと世界観を発信していたら、大企業のバイヤーから出展要請が届くようになりました。表面上の数字を増やす方がある意味、簡単です。広告を出稿したり、流行に乗っかったネタを発信したりすれば良いだけ。反対に、これと信じた世界観からぶらさずに発信し続けるのは勇気と忍耐力を必要とします。
「反抗心」、かぶり物で勤務 解雇無効訴訟
日本経済新聞 電子版 2024年11月17日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO84852340W4A111C2CM0000/
問題社員を解雇した会社が元従業員から訴えられてしまった裁判。元従業員の訴えが退けられて確定しています。解雇には就業規則の懲戒規定に基づく懲戒解雇と、それ以外の理由による普通解雇が存在します。本件は会社が普通解雇をしたものだそう。
地方中小企業に問題社員が発生してしまうと、生産性を下げるどころか周囲に大きな悪影響を及ぼします。こうしたときにずるずると在籍させてしまうのがほとんどの企業ですが、私は指導の実績を積み重ねて、さっさと普通解雇すべきだと考えています。経営者や人事が強い意志を持って普通解雇するのが利害関係者のためになるのです。
ハラスメントを経営の重要課題に 原 昌登氏
日本経済新聞 電子版 2024年11月18日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD078480X01C24A1000000/
中小企業支援に携わっているとハラスメント問題に直面することもあります。こうしたとき、私は経営者にハラスメントがもたらす費用について教えるようにしています。ある法人が社内研修を実施し、外部講師が従業員に暴言を吐きました。従業員3人が損害賠償を求めて裁判を起こした結果、1億円近い解決金を支払って和解することになったそうです。1人あたりざっと3,000万円。裁判を終結させるためとはいえ、割の合う出費だと考える経営者はいないしょう。
道義的な側面からハラスメント問題を語るのも重要ですが、経営者に警鐘を鳴らすには費用の相場を知らせることも有効だと考えています。
ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています
関連記事