講演の報酬を22万円に設定している理由
年に数回、「話す仕事」をさせてもらっています。
他の人が話せない独自のコンテンツを提供できるから
年に数回、「話す仕事」をしています。セミナーや勉強会で、江戸時代から続く家業を投資ファンドへ事業譲渡した経験や、中小企業支援事例をお話しするものです。ウェブサイトにも記載していますが、この仕事の報酬は22万円に設定しています。「1,2時間お話しするだけで22万円なんて!」と思われる方もいるかもしれませんが、私からしたら少し安くしているくらいの価格に留めています。
誰でも話すことのできる、教科書に書いてあるようなことを話すわけではないのです。私だからこそお伝えできる内容なので、二束三文で承る気はありません。コンテンツは日経ビジネスや日経トップリーダーでも取り上げられたことのあるもの。プロのお墨付きを得ているわけで、経営者や創業を志す方には参考になる内容だと自負しています。
講演講師の仲介サイトを眺めていると、講演料22万円というのは低いくらいです。かつての知人も50万円で請け負っていましたが、全国から依頼が途切れることなく飛び回っていました。もちろん話す内容は独自のコンテンツでした。他に話せる人がいないからこそ、希少価値を認めてもらうことができるのです。
人前で話すだけで仕事になるなんてうらやましいと思われることもありますが、そんなに簡単な仕事ではありません。報酬をいただくからには、それ以上の価値を提供できなければ満足度はマイナスになります。満足度をプラスにするためには自己開示を徹底しなくてはいけませんし、しっかりと学びを提供しなくてはいけません。コンテンツを仕立てるのにもそれなりに試行錯誤を要します。
もし独自のコンテンツを持っているのであれば、無形の商品として販売することが可能になります。誰でも自分の歩んできた人生は当たり前のことと考えてしまいますが、第三者から見たときにひょっとしたら「当たり前」には見えないかもしれません。わざわざお金を払ってでも知りたくなるようなコンテンツであれば、すぐにでも講師業を始められることでしょう。
報酬額については応相談
と、ここまで強気なことを書いていますが、実際は依頼主と打ち合わせをして報酬を決めることになります。例えば、何回も呼んでいただいている場合はこの仕事を始めた当初の価格をそのまま維持していることもあります。中小企業支援家に転身したばかりの頃に仕事を依頼していただいたありがたさを忘れることはなく、報酬額に関係なく喜んで取り組ませてもらっています。
先日、もう5回目となる勉強会に呼んでもらいました。毎年同じ話しかできないのが申し訳ないとお伝えしたところ、「事業承継に関連する苦労話を当事者が語ってくれることは少ないので助かっている」と感謝されてしまいました。コンテンツの貴重さを理解してくれているのはありがたいことで、私も気持ちを新たに今年もお話しすることができました。
また今度は部活の先輩からの紹介で、あるセミナーでお話しすることになっています。その先輩には以前に顧問先を紹介していただいたこともあり、報酬についてはお任せすることに。こうした人のご縁は大事にするようにしています。
営利目的の場合、ボランティアはあり得ない
以前にイラッとすることがありました。士業事務所からの依頼で、自分たちの顧客の前で講演して欲しいとのこと。ただ、依頼のメールをよく読むと報酬を支払うつもりはどうやらなさそう。私からは、「喜んで承りますがウェブサイトに書いてある通り、22万円いただきます」と返信したところ、その後の連絡が途絶えてしまいました。士業事務所といえども、その顧客向けに何かを企画するとなると営利目的です。なんでまったく関係ない私が、営利目的の事業にボランティアでお付き合いしないといけないのでしょうか。そうした感性の合わない方とは仕事をご一緒しないことにしています。
またたまにあるのが「次の仕事に繋がると思うので今回は無報酬でお願いします」という依頼。なんで第三者に集客の心配をされないといけないのでしょうか。幸い、私の予定表はそれほどスカスカではありません。無報酬で仕事をしてまで人のご縁を作ろうとは思えません。そうした主催者からの依頼ももちろんお断りです。報酬額を抑えなければいけない事情を率直に伝えていただければ、私もそれなりに検討することは可能ですが、恩着せがましいことを言って報酬を削減しようとするのはまったく受け入れられません。
毎年3,4回、「話す仕事」をさせてもらっています。世の中に成功体験らしきものが溢れている中で、私の失敗体験に興味を持ってもらえるのはありがたいことです。どなたかのお役に立てるのであれば、まだしばらくは演台に立とうと思っています。
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