行動する経営者のみが前に進むことができる
以前に関わった事業者さんが事業を再開しました。あきらめてしまったのかなと寂しく思っていたので、私にとってうれしいニュースです。
事業を成長させることができるかどうかはアイデアの良し悪しではなく、行動するかどうか
以前に関わった事業者さんが事業を再開したと知りました。当時、斬新なアイデアでテスト販売も好調。このまま取り組めば事業を大きく成長させることができるだろうと考えていたものです。ところが事業者さんの事情によりしばらく休止することに。残念に思いましたが、事業をどうするかは経営者が決めることです。私があれこれ言うことはありませんでした。
その後、同じような事業で海外展開している会社があることを知ったときには複雑な気持ちになったものです。事業を成長させることができるかどうかはアイデアの良し悪しではなく、行動するかどうか。何らかの事情により休止した事業者と、海外展開するまで成長させた事業者。さまざまな事情が交錯した上での休止だったのでしょうが、「たら、れば」をつい考えてしまいました。
ところがつい先日、その事業者さんが事業を再開したと聞きました。さっそくウェブサイトを見に行くと更新されています。情報発信も再開している様子で、すぐに注文してみました。遠回りはしましたが、ぜひ事業を成長させて欲しいと願っています。
あれこれ理由を付けて行動をためらう事業者
中小企業支援に携わっていて何が歯がゆいかというと、あれこれ理由を付けて行動をためらう事業者の存在です。せっかく独自の立ち位置を築くことができるような製品・サービスを手にしていても、一歩を踏み出す勇気を持たなければ事業は前に進みません。この当たり前のことが理解できないのか、目の前のことに忙殺されているだけなのか。私には江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡せざるを得なかった経験があるだけに、行動をためらう事業者を見かけるとつい自分事のようにがっかりしてしまいます。
ある事業者は「これ」という事業分野に特化するようにアドバイスをして実際に着手したものの、さまざまな理由をつけて営業を怠っています。私が言う営業とは顧客課題の収集。せっかく顧客と対話して課題を収集するための「きっかけ」は保持しているのに、いつまで経っても活用しようとはしません。まるで「営業は私の仕事ではない」と考えているようです。情報発信も同じ。まだ何者でも無い地方中小企業が世間に知ってもらうためには情報発信が欠かせません。ところが、これもまたあれこれ理由を付けて満足に取り組もうとしないのです。それらしい理由は挙げるのですが、私からしたら逃げているだけ。自己開示する勇気を持たないために、情報発信を始めることができないのでしょう。
世の中にはさまざまな製品・サービスが溢れています。それらが社会へ価値を提供できるかどうかは、事業者自らが営業をするかどうかに掛かっています。具体的な行動なくして、勝手に見込客に選んでもらえることなどありません。この当たり前を無視して「売ろう売ろう」としても嫌われてしまうだけで、自分の身に置き換えれば誰しも心当たりがあるはずです。
経営者が自らが営業できると強い
ある顧問先では、経営者自らが営業しまくって大きな成果を挙げています。「また断られた」などといつもぶつぶつと文句を言っていますが、電話を掛けてアポを取り、相手先に自社の世界観を理解してもらえる確率はかなりの高さ。経営者自らがここまで営業できているので、新規事業も着実に成長しています。様子を見ていると、これと決めた見込客に躊躇無く連絡しているようです。「断れたらどうしよう」だとか、「あれを準備してから連絡しよう」などと考えることはありません。真っ正面からぶつかっているからこそ、次から次へと商談を実現させているのではないかと思います。
創業間もない企業に必要なのは経営者自らが営業する覚悟です。のらりくらりと営業を避けていては、いつまで経っても満足な売上を得られることはありません。さまざまな組織の形態のなかから事業会社を選択したのであれば、利益から再投資の原資を自ら生み出し続ける必要があります。研究室でもなく、NPOでもなく、事業会社という形態を選んだのであれば、経営者自らが営業に駆け回ってほしいものです。
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