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コラム

問題社員と同じ土俵に立ってはいけない

会社を経営して従業員を雇っていると、いつか必ず起きてしまうのが不祥事。ハラスメント、不正行為など人間の弱さに直面することになります。不祥事が起きてしまった際に、どのようなことに留意すべきかを書いてみます。

粛々と対応するのが結果、安くつく

知人の会社に問題社員が在籍しているそう。事務作業のミスが多く、またミスをミスと認めないためにさらに事態を悪化させることを繰り返しているのだとか。もちろんフォローをするのは上司と同僚で、最初は笑って済ませていたのが、次第に組織が崩壊し始めてきているそうです。そこまで来たら、上司だけでなんとかできるものではなく人事案件です。指導を繰り返して改善を促し、改善が見られなければ就業規則に則って処分をしなくてはなりません。

こうしたローパフォーマー以外にも、勤務先に不義理な行動をする者もいます。特に多いのがお金に関する不祥事。事件が明るみになると経営者は対応に追われることになります。そうした経営者から相談を受けると大抵は「解雇するにはどうしたらよいか」「損害賠償させるにはどうしたらいいか」などといった対応策を求められますが、私はここで粛々と対応するように促します。熱くなったところで隙を見せたら相手の思う壺。相手と同じ次元に陥らないように留意しつつ、選択肢を検討してもらいたいのです。

ある経営者は相手がすでに退職しているにも関わらず、遡って懲戒解雇に変更したいと言ってきました。こうした「無理筋」なことをしてしまうと、相手方がゴネる口実を与えるだけ。経営者のおもしろくない感情はよくわかりますが、雇用契約や就業規則、そしてもちろん労働法に則って粛々と対応するのが結果、安くつくものなのです。

金銭に絡む問題を起こした従業員は一発アウト

基本的に金銭に絡む問題を起こした従業員は一発アウト。多寡の問題ではなく、社会人としての適正に欠きます。こうした者は指導したところで更生することはないので、その後も在籍し続ける際には野放しにせず、注視する手間が必要になります。

あるプロジェクトに関わっていた際、私と違う組織に属する人が不適切な出張を繰り返していました。しばらくのうちは最もらしい理由を掲げていたので気にしていませんでしたが、周りからの情報も入り、業務の実態が伴っていないことが次第に明らかに。節目のタイミングで異動させられていましたが、本人は不満そうでした。後から聞くとさまざまな部署で不適切な人間関係を築くことで有名な人だったそう。とんでもない人物と一緒に仕事をしていたものだと、今でも思い出すたびにぞっとします。

土俵の側面

問題社員と同じ土俵に立つと振り回されてしまいます

全体像を把握してから対応する

従業員による不祥事が発覚すると、思いつくままに対応しようとする経営者がいますがお勧めできません。場合によっては相手にゴネ得の余地を与えてしまうことにもなりかねません。まずすべきことは全体像を把握すること。目先の事象に目を奪われて感情的に経営判断を下してもピント外れであることがほとんど。ますは心を落ち着かせて全体像を把握しましょう。いつ、誰が、何をどうしたのか。過去になにがあったのか。誰が何にどのように関わっているのか。「〜〜らしい」「〜〜だったと思います」という不確実な要素を排除し、明らかな事実を整理して全体像の把握に努めます。

その後は対応方針を決めます。どのように着地させたいのかをイメージし、弁護士や社会保険労務士に相談します。ありがちなのが対応方針を持たずに専門家に相談してしまうこと。ゴールのイメージを持たずに相談したところで何を聞けば良いかもわからないはず。「こうした事案が起こって、このように収束させたいのだがアドバイスをもらいたい」と持ちかけることができれば有意義な相談となることでしょう。弁護士や社会保険労務士から「どうしたいのですか?」と聞かれた時に答えられるように意思決定しておくことが必要です。

不祥事が起きた後には記録を残すことも重要です。過去の記録、協議のメモ、電話での会話内容など。録音できなくてもメモを作成しておけば後で会社を守る材料になってくれます。人の記憶ほど当てにならないものはありません。部下があやふやな報告をしてきたら、「メモで提出するように」と指示するくらいがちょうど良いでしょう。


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