地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

展示会営業を成功させるには

関与先が展示会に出展したので応援をさせてもらいました。ひさしぶりに私も「営業」をお手伝いしたので展示会営業について書いてみます。

営業とは見込客の困りごとを収集する行為

まず大前提として、営業は何かを売りつけることではなく、見込客の困りごとを収集する行為です。営業に出て何かを売りつけようとし、成功したことがありますか?もしくはろくに話したことも無い人物からいきなり何かを売りつけられようとしたときにあなた自身はどう感じますか?営業=販売と考えているうちは売上を増やすことはできません。営業の段階では見込客との関係性を構築し、困りごとを収集することに徹しましょう。販売するのはそのあと。困りごとを把握したあとに課題を解決するための手段を提示し、選んでもらうように仕向けるのが「販売」です。

人は誰しも何かを押しつけられることを本能的に嫌います。自分のことに置き換えると自明のことなのに、いざ自分が営業担当者になるとこの真理を忘れてしまい、売ろう売ろうとしてしまうのです。何かを押し売りしようとして成功する確率なんてほんのわずか。それどころか嫌われてしまうだけです。営業に出かけて見込客に嫌悪されてしまうなんて、本末転倒もいいところです。

例えば独立したばかりの士業を想定してみると、喉から手が出るほど欲しいのは顧問契約でしょう。毎月の固定収入は事務所経営の持続可能性を高めてくれます。といって「顧問契約をしてください」と飛び込み営業を続けたところで実現可能性はゼロ。いきなり販売しようとしても課題解決の手段になり得るかもわからず、選んでもらえないのは当たり前のことです。まずは自己開示し自分が何者でどんなことを考えているのかを伝え、その上で見込客の困りごとを収集する必要があります。その困りごとを解決する手段として顧問契約がふさわしいのであれば、見込客から自然と選んでもらえることでしょう。

展示会営業で実践してみた

私は中小企業支援家ですが、教科書に書いてあるようなことを経営者にそれらしくふりかざすことはしていません。中小企業の経営者に知恵とアイデアを提供するのが仕事で、それらを使って売上アップを実現してもらうのが仕事です。例えるなら私は「踏み台」のような役回り。経営者が踏み台を使い、少し高いところにある成果を掴み取ってもらうのを見守るのが仕事です。そのため私は関与先の業務執行に手を染めません。冷たいようですが、成果を掴み取るのは経営者の仕事。そもそも行動するかしないかは経営者に経営判断を下してもらいたいのです。

そんな私ですがひさしぶりに展示会に同行し、商売人の本能が目覚めて営業をお手伝いしてしまいました。出展している事業者さんが不在になる時間帯があり、私が一人でブースの留守番をすることに。ここぞとばかりに「営業」してしまいました。他のブースを眺めていると売り込みばかりで、せっかく来場した見込客と対話しようとしている担当者は少ないようです。展示会だからといきなり売り込んで良いわけがなく、まずは見込客と関係性を深めて困りごとを聞き出すのは同じです。

私がいるブースに訪れてくれた人がいたので様子を見てから話しかけます。いきなり間合いを詰めるのはNGで、黙って見て回りたい人もいるはず。話しかけても良さそうな雰囲気であることを確認してから軽く話し始めます。どういった製品なのかを説明しながら、相手の情報を聞き出します。業種、担当業務、最近業界で話題になっていたことなど。適度に間合いが詰まったのを見計らったところで「今どんなことに取り組んでいるのですか?」「何か探しているものはありますか?」と水を向けてみます。すると「実は、、、」とあるシステムを導入しようとしていることが明らかに。大手の既製品に違和感を感じているとのことで展示会で情報収集していたことがわかりました。ここまで聞き出すことができれば今日の目的は達成。後日、詳しい資料をお送りさせてもらうことを約束して別れました。

幕張メッセの外観

展示会って足が疲れますよね

展示会は名刺交換するのが目的ではない

展示会営業の目的は名刺交換をしてリストを作成することではありません。後日の商談に繋がる情報を収集するのが目的です。この本質を見誤ってしまうと、闇雲に声かけして名刺交換だけで終わってしまいがちです。内容の乏しい名刺交換が商談に繋がる確率は低く、何のためにわざわざ出展したのかわからなくなってしまいます。名刺交換はもちろんのこと、相手の困りごとを聞き出すまでが展示会営業なのです。

そう考えることができれば、名刺交換を執拗にせまったり、パンフレットを闇雲に手渡しする行為が無駄であることがわかるはず。ましてやコンパニオンを使ってノベルティをばら撒くことの無意味さも理解できるでしょう。展示会に出展する最大のメリットは自分で見込客リストを作成しなくても、当日どなたかが来場してくれる可能性が高いこと。見込客にいきなり何かを売りつけようなんて乱暴なことを考えずに、しっかりと情報収集に徹しましょう。

さて、今日で展示会の支援も終わり。明日の講演に備えて(一度福岡に戻ってから)、大阪に向かいます。


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