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コラム

士業マーケティング 入金されるまでが仕事

あるスポットの仕事を終えたのですが、支払予定日を過ぎても報酬が振り込まれていませんでした。今回は事務手続き上のミスだったようですが、改めて「入金されるまでが仕事」という大原則を認識することになりました。

入金予定日を把握しておく

ある講演の謝金が予定日を過ぎても振り込まれず、担当者に確認の連絡をしたところ、何かの手違いで予定日を過ぎていたとわかりました。そもそも入金予定日を教えてくれない主催者が多くて、ほぼ毎回、事前のやり取りの中で「謝金の入金予定日はいつになりますか」と尋ねています。担当者にとっては組織内の規定に則って処理をするだけのことなのでしょうが、組織外の者にとっては規定がどうとかまったく知らないし関係ない話。堂々と確認させてもらうことにしています。今回も入金予定日を事前に聞き出しておいたからよかったものの、もしこのまま待っていたらいつまで経っても入金されていなかったのかもしれません。

入金確認を必ずするように教えられたのは、かつての家業で法人外商の部署に異動した初日でした。売上を計上できたと喜んで終わるのではなく、納品書と請求書を発行し、さらには入金を確認しなくてはいけないと教えられたのです。顧客との関係性を構築するのにも「売りっぱなし」は厳禁ですが、管理上も同じく、売上計上が最後の工程ではないのです。

月初に当月分の請求書を送っている

私は顧問先へ、当月分の請求書を月初にまとめて送付しています。以前は訪問日ベースで請求書を作成していましたが、そもそも顧問料は訪問の有無に関係なく発生するものなので、途中からこの方式に変更しました。変更に当たって顧問先から問い合わせなどあるかなと想定していましたが、まったく問題なし。中には請求書を受け取ったらすぐに入金してくれるところもあり、請求業務を省力化することができました。

独立開業したばかりの士業が顧問契約を締結する時、締め支払いの期日はきっちりと取り決める必要があります。例えば、知り合いだからと口頭でうやむやに済ませてしまうと、いつかやってくる顧問契約の最終月にトラブルになりかねません。士業ではありませんが、ある関与先は初めての業務委託契約で支払いトラブルに見舞われてしまったそう。相手が大企業だからとすっかり油断していたら、支払ってもらえるつもりだったものを支払ってもらえなかったというのです。詳細は教えてもらえていませんが、きっちりと書面を取り交わしていれば防げた可能性が高いトラブルでしょう。締め支払いの条件については遠慮せずに確認する勇気を持ちましょう。

請求書のテンプレート

入金されるまでが仕事です

報酬を支払う気がない人とは付き合わない

中小企業支援という無形のサービスを取り扱っているせいか、無償でアドバイスを得ようとする人がたまに現れます。そうした人には「無料で話は聞かないことにしています」ときっぱりと伝えることにしていて、それで向こうが気分を害そうが知ったことではありません。なにより、顧問先が多額の顧問料を毎月支払ってくれているのに、無料でアドバイスをすることなどできません。

以前に行政の外郭団体が設置した事業相談窓口で責任者を務めていましたが、退職した理由のひとつに「岡田には無料で相談できる」というイメージが着きつつあったというのもあります。公共サービスだったので利用者は無料で利用可能でしたが、税金を原資に運営されていたので厳密には無料ではありません。でも、直接、私と関わる人からすると岡田は無料で話せる便利な存在になっているように感じました。退職後にも何人かの人から以前のようなアドバイスを求められましたが、全部お断りです。なかには「事業者の踏み台になる」とかホームページに書いてあるだろうと嫌味のようなことを言ってくる人がいて辟易したこともあります。

完全に自営業に移行した現在は、それぞれの顧問先から顧問料をいただき、また講演などのスポットの仕事ではその都度、報酬を得ています。明朗会計で働きやすいです。自営業にとって最も避けたいことの一つは仕事の成果を搾取されること。入金を確認することはもちろん、事前の条件すり合わせを徹底して事故が起きないようにしたいものです。


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