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コラム

創業まもない会社のプレゼンを聞いて考えたこと

あるイベントで、創業間もない会社の経営者によるプレゼンを聞く機会がありました。ちょうど今朝の日本経済新聞に掲載されていた会社も参加していて、スタートアップ界隈の熱気を感じることができました。

時間厳守

与えられた時間を守れないプレゼンは悪印象を与えるだけ。やらない方がマシだとも思います。3分なら3分。最低限の約束を守れない人の発表する事業を応援しようとは思えません。

ある経営者は終わりのチャイムが鳴ってもキリのいいところまで話し続けていました。こうした経営者に対して私が感じるのは、「約束を守れない人なのだな」「他人の時間を平気で奪う人なのだな」「練習を怠る人なのだな」といったこと。支援を募るのがプレゼンの目的だったとしたら、逆効果をもたらすだけです。

プレゼンに思いをしっかりと乗せるのは当然ですが、持ち時間に無頓着だと社会人のあり方としてそもそもの疑念を抱かせてしまうことになります。ある知人は何かの審査を依頼された際に、持ち時間を1秒でも超過するような参加者には点をつけないと言っていました。厳しいように聞こえますが、商売に携わるのであればごく普通の感覚だと思います。

持ち時間ぴったりに終わらせるためには練習あるのみ。他人の時間を奪わず、そしてなにより事業に共感してくれる人を増やすためにも、事前の入念な練習が必要です。

最初の自己紹介、必要ですか

ある会社は最初のメンバー紹介に時間を費やしていました。「大会社出身で、、、」「いついつからジョインして、、、」といった感じ(入社って言えよ)。率直に言ってまだ何者でもない彼ら彼女らが誰だろうがまったく興味はなくて、それよりも事業内容をさっさと一言で知りたいです。

今日のプレゼンは持ち時間3分。その中で数十秒を自己紹介に費やすのが果たして適切なのかどうか。プレゼンの目的などを考え合わせたら、自己紹介なんて飛ばしてしまう勇気も必要かと感じました。質疑応答の場面でも、経営者の経歴に関する質問なんて聞いたことがありません。関心を持たれるのは、そもそもの事業性に関わることや、収益の実現可能性に関することがほとんどです。

私がした最近の講演では、自己紹介は最後の時間調整用コンテンツにしてしまいました。ある講演で講師が持ち時間の多くを費やして得意げに自分の業績を話すのを目の当たりにしてしまい、最初に自分のことを滔々と話すなんておかしいと気づいたのです。結果は上々。初めから講演の本題を話すことができるので、調子が掴みやすかったです。

壁掛けの時計

時間を守るのって当たり前のことだと思うのです

スライドの完成度

プレゼンでスライドを使う目的って何なのでしょうか?私は言葉を視覚で補うための道具と割り切っています。そう考えると、アリバイ作りのように細かい数字を載せたり、おしゃれなイラストを大きく載せるのには疑問です。

ある経営者のプレゼンでは一枚のスライドの左右にグラフが載せられていました。その下には出典や断り書きの小さい字。何か話していましたがグラフから読み取れる情報はゼロ。そのスライドを挿入した意味は何だったのでしょうか。言葉は研ぎ澄ませないと他人に伝わらないのと同様に、スライドも間引く勇気が必要です。「このスライドは必要か」と自問自答しながら仕上げるのが良さそうです。

スライドというと、リモートでの面談中にもスライドを使う経営者がいます。そのこと自体は悪くないのですが、話の流れによって見せたい特定のスライドがあるらしく、共有画面を落ち着きなく操作し続ける人がいました。せっかくの対話の機会なのに相手の存在を忘れてスライドばかりに気が行ってしまうのは本末転倒。いつでもどこでもスライドに頼るのは考えものです。私はプレゼンの支援をする際、「なにか起こってスライドを見せられなくなっても、自分の言葉だけで説明しきる覚悟をしておけ」とお伝えするようにしています。

最後に、無駄にカタカナ語を使うと知性が感じられなくなるので要注意。もちろんすべてのカタカナ語が悪いとは言いません。今日気になったのは、「横展開」を「ヨコテン」と話していた経営者。仲間内でならともかく、支援者を募ろうとする場で選ぶ言葉ではありません。そうした感性の経営者に支援が集まるのを私は見たことがありません。


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