中小企業をどこまで支援するか
経営の当事者は事業者。この当たり前のことを忘れてしまうと中小企業支援は成り立ちません。私がどんな姿勢で中小企業と向き合っているかを書いてみます。
私が手がけているのはあくまで「支援」
中小企業支援に携わっていますが、私が手がけているのはあくまで「支援」。経営者の代わりに手を動かすことはありません。私と経営者が共に考えた知恵やアイデアを実行するかどうかは経営者が決めることで、具体的に行動するかどうかまでは私は関知しません。こう書くと冷たく聞こえるかもしれませんが、業務執行は会社がおこなうべきことと一線を引くようにしているのです。
以前にある専門家から「岡田さんが代わりに営業してあげればいいじゃないですか」と言われたことがあります。私からしたら、営業するのであれば業務執行に関わるポジションに就けてもらわないと筋が通りません。さらに言うと、私が手を動かしてしまうと会社の仕事を奪ってしまうことになり、いつまで経っても自走できなくなってしまいます。
こうした支援の姿勢を持つようになったのも、私自身が地方中小企業を経営していた経験があるから。経営の正解なんて誰も断言できることなどなく、最後は経営者が不確かな未来に向かって少しでも確率の高そうな選択肢を選び続ける必要があります。それが経営判断であり、業務執行。外部の人間に無責任に任せるべきものではありませんし、反対に外部の人間がわかったような顔をして関わるべきことでもありません。経営に携わったことの無い専門家らしき人に限って、何から何まで手伝うのが支援になると勘違いしているように感じます。
情報発信の最初の一歩を手伝う
一方で、情報発信の「最初の一歩」を具体的にお手伝いすることはあります。「何を発信すればよいかわからない」「ネタが思い浮かばない」などという人に対しては、一緒に情報発信のネタを100個考えたりします。また、コンテンツの一例をさらっと伝えて、今後の叩き台にしてもらうこともあります。私が提供したネタや叩き台を使って情報発信を始めてもらえればなによりだと考えていて、最初の一歩を踏み出す勇気を持つ事業者が少ないからこそ役立てて欲しいです。
ただ、それでも情報発信を継続できない事業者がほとんど。私から見たら会社の中に発信すべきネタが無尽蔵に転がっているのに、「何を発信すればよいかわからない」と言われてしまうこともしばしば。いくつかの発信例を一緒に考えたりもするのですが、感心するばかりで終わってしまうとがっかりしてしまいます。そうした会社に限って、「売りっぱなし」状態で既存顧客との関係性は希薄。売上を作ろうとばかり焦っていて、いつも新規の案件を探し求めていてどこか窮屈な仕事をしているように見えてしまいます。
情報発信を始めるための背中を押すことはできますが、その後どうするかは会社次第。いつまでも行動しようとしないのであれば私のできることはありませんし、逆に自走し始めたら後は見守るのみです。
プレスリリースの叩き台を作成する
先日、プレスリリースの叩き台を作成し、関与先に提供させてもらいました。あわよくば新聞やテレビなどに自社の取り組みを取り上げてもらい、見込客に知ってもらうためのきっかけにし、また、既存顧客の満足度を向上させるのに役立てて欲しいと考えています。どうやら実際に配信する方向で動かれているそうで、何かのきっかけにしてほしいと願っています。
プレスリリースの叩き台を提供する際、実際に配信するかどうかまでは私は関与しません。記者クラブなどへの連絡方法などはお伝えしますが、実際に行動するかどうかは会社の判断に任せています。広報担当でもない私が前面に出ることはありませんし、会社の人を飛び越えて行動することもありません。プレスリリースという道具は提供しますが、その道具を使うかどうかは会社が決めればよいことです。
私からしたら絶好のタイミングなのに、プレスリリースを活用しようとしない会社もあります。それはそれで経営判断。決定が下されたのであれば私がそれ以上口出しすべきことではありません。ただ、そうした会社に限って、何かと行動が遅いようにも感じます。勘のいい経営者さんは、さっさと行動し、その反省を次の行動に生かしています。その繰り返しが打ち手の精度を増すことにつながり、考え込んでばかりいる経営者との差を拡げていくのです。
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