地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

050-3557-7157

コラム

当たり前のことを当たり前に取り組む

中小企業支援に携わっていると、当たり前のことを当たり前にやれない経営者が多いことに驚かされます。逆から見れば、当たり前のことを当たり前にやるだけで、成長を続けることができると思うのです。

逃げずに営業に取り組む

ある経営者さんとお話しした時のことです。開発が終了したばかりの新サービスは、時代の追い風もあって需要が大きく見込まれるものです。しかし一切営業していないので、このままでは世に知られることなく埋もれてしまいそう。私が提案したのはシンプルに営業することです。胡散臭いものを売りつけようとするわけではないので、営業はやりがいがありそうに思えます。

ところが経営者は「営業はしたことがないので」といつまでも行動する気配がありません。開発だけに夢中になってきて、開発が自己目的化してしまっているようです。こうした経営者は「企業を紹介して欲しい」だとか「どの部署へ問い合わせれば良いか教えて欲しい」などと言ってきがち。行動せずに答えだけを求めるのです。自ら行動しようとしない経営者に刹那的な支援をしたところで、持続可能な経営は実現しません。まずは勇気を持って一歩踏み出すまで、私は基本的に見守るようにしています。

自ら行動しようとせずに、成果だけを得ようとする経営者が多いのにはあきれるばかりです。逆から見れば、行動さえすれば成果がついてくる可能性は大。経験がないのなら始めてみれば良いだけのこと。事業を営むのであれば、営業を避けることはできません。見込み客の困りごとを解決すると信じている製品やサービスであるならば、何度断られようがコツコツと営業を続けていけば良いのです。その先に必ず道は拓けます。

どれか一つではない

先日ある人材紹介会社の担当者と話したときに、地方中小企業を経営していたときに何が一番大変だったかと質問されました。私は「どれかが一番大変だったと考えたことはなくて、日々経営していて起こる様々なことがそれぞれ大変だった」とお答えしました。

金融機関に支援を継続してもらうようにお願いしたり、仕入先が商品を供給し続けてくれるように関係性を構築したり、従業員に情報を開示し適切な危機感を共有してもらえるように配慮したり。どれかかが特別に大変だったわけではなくて、一つ一つがそれぞれの重みを持っていました。経営の現場ってそんなものなのです。

経営には「魔法の杖」など存在しなくて、どれか一つだけをこなせば利益を安定して生み出せるといったようなことはありません。目の前にある課題を一つ一つコツコツと改善していったその先に、確かな利益が生まれるものだと信じています。当たり前のことをどれだけ着実に実行していくかが問われているのです。

オフィス街を歩くビジネスパーソン

営業から逃げていませんか?

まっとうな経営が一番強い

JR九州の関連会社が不適切な業務を行っていたと報道されています。安全を何より求められる運輸に関わる上場企業でさえこうした不適切な振る舞いをしてしまうわけですから、地方中小企業を取り巻く環境には様々な罠が潜んでいます。

数字を誤魔化したり、従業員に過度な負担をかけたり、品質管理の手を抜いたり。目先の小銭を増やそうと考えたらいくらでも手段はあることでしょう。でも、一度でも悪事に手を染めたらじわじわと企業の力は損なわれていきます。本来の稼ぐ力がないがしろにされてしまうからです。

地方中小企業が事業を営んで持続可能性を高めるためには、何よりまっとうな経営が求められます。当たり前のことを当たり前に取り組む姿勢が何よりの武器になります。

私が家業の代表取締役を務めているときに、メディアで報道されてしまうような不祥事を2件も起こしてしまいました。業績が窮境に陥りつつある中での発覚でしたので、従業員の中には不祥事の公表を控えるように進言してくる者もいました。でも私は全てを詳らかにし、さっさと謝罪してしまうことを選択しました。結果、不祥事は危惧されたようなダメージをもたらすことなく終息させることができました。私からしたら、まっとうな選択肢を選んだだけです。

経営に「魔法の杖」など存在しません。当たり前のこと当たり前に行動していくことが、何よりの近道だと信じています。


メルマガ詳細


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています

amazon musicのバナー

Listen on Apple Podcasts

関連記事

TOP