地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

士業マーケティング 社会保険労務士業務に依存しない働き方

社会保険労務士の看板を掲げていますが、世間一般の社会保険労務士が手掛けている業務はほとんど行っていません。どうやって日々働いているのかについて書いてみます。

手続き業務を手掛けない理由

私は社会保険労務士が行うことができる社会保険の手続き代行業務などを顧問先のためにおこなうことは(ほとんど)ありません。何かを尋ねられても「行政のウェブサイトを確認してみてください」などとお伝えするようにしています。つい先日も36協定について質問を受けてしまい、「たぶん、労基署への届けが必要です」「確実なところは労働局に問い合わせてください」と返答したばかりです。

社会保険労務士の看板を掲げているのになぜそんな働き方をしているかというと、多くの同業者と同じ仕事をしていても食べていけないから。家業の代表取締役を務めたあとに第2の社会人人生を歩き始めた私にとって、他の社会保険労務士と同じような働き方をすることはピンとこなかったのです。定型業務を手掛けていることが悪いとかイケてないという意味ではなくて、他の社会保険労務士と同じような道を歩んで成功できる自信がなかったのです。

独自の立ち位置を築かないことには見込客から選ばれることはなく、持続可能な事務所経営をすることは困難。であるならば、多くの社会保険労務士と真逆のことをしていくしかありません。私が選んだのは定型業務は手掛けない道。そして代わりに経営支援に特化することでした。中小企業支援家に転身してからも社会保険労務士の看板を維持しているのはそのため。多くの専門家らしき人が跋扈する中小企業支援業界に身を置いているからこそ、社会保険労務士法第21条により秘密保持義務が課されていることなどを安心材料として顧客に提示しています。

もちろん労務についてアドバイスをすることはあります。地方中小企業が持続可能性を担保するためにも、労使間の無駄なトラブルは抑止する必要があります。私自身が地方中小企業を経営していたこともあり、「踏んではならない地雷」を教え、売上アップに注力をするためのアドバイスをしています。先日はある顧問先で始業前の着替え時間について経営者にお話しさせてもらいました。着替え時間も就業時間に含まれますよとお伝えし、無駄なトラブルの芽を摘むことができました。

AIの進化は何をもたらすか

先日、文章生成AIを利用したサービスを開発している経営者とお話しする機会がありました。その時得られたのは、知識だけを提供する社会保険労務士に未来はないという予測です。例えば既存のChat GPTをカスタマイズして特定分野の学習をさせるのは簡単なことです。そのカスタマイズした文章生成AIを顧客に販売することも容易で、そんなAIが普及したらわざわざ社会保険労務士を探し出して何かを尋ねようとする人はいなくなることでしょう。対面でDVDを貸すレンタルビデオ店が廃れて、ストリーミングサービスに取って代わられたようなものです。

あくまで私個人の予測ですが、定型業務は今後AIの進化と共に社会保険労務士でなくても簡単に手掛けられるようになります。つまり、社会保険の手続き代行などは内製化が進んでいき、わざわざ社会保険労務士に報酬を支払って外注する業務ではなくなっていくと思うのです。数年先なのか10年先なのか、確実にやってくる未来なのです。

目先の仕事だけを考えたらドブ板営業をして、中小企業と顧問契約をしてもらい手続き業務に邁進するのもありなのでしょう。その判断は間違いでもなんでもなく立派な経営戦略です。でも私には「ピンとこない」だけ。残存者利益を得ようと立ち回るよりも、独自の立ち位置を築いて顧客に価値を提供していきたいのです。

定型業務に頼らない働き方

定型業務に依存しない事務所経営を選ぶのは勇気がいることです。他の同業者の真逆を進むことになるのですから。私の場合は業界の常識を知らないからこそ選ぶことができたのかもしれません。でも独自の立ち位置を築くことさえできれば働き方は自由。給与計算の締め切りに追われたり、行政と手続きについてやりあったりすることはありません。例えば「忙しい」という言葉を使うことはほとんどなくなりました。知恵とアイデアを生み出すことが仕事なので、何かに追われることがないのです。自分のペースで売上を作ることができるのが何よりのメリットだと感じる日々です。

定型業務を手掛けるのも手掛けないのもそれぞれの自由。くれぐれも誤解のないように繰り返しますが、定型業務を柱にすることが悪いと言っているのではありません。士業が顧客に価値を提供し続けるために、どちらを選ぶかというだけのことです。せっかく第2の社会人生を歩んでいるのですから、自由に働き続けたいと願っています。


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