ゴルフをやらない理由
地方中小企業の代表取締役を務めていましたがゴルフをしたことはありません。
スクールに通ったことはある
本格的にゴルフをしたことはありませんが、インドアスクールに1クールだけ通ったことはあります。
家業の代表取締役を務めていた5年間はジムで泳いだり、京都御所の周りを走ったりしていました。体を動かしていないとストレスに押しつぶされてしまいそうで、できるだけ時間を確保するように心がけていたのです。そんな時にふと、ゴルフも運動になるのではないかと思いつき、近所のインドアスクールに通ってみることにしました。初心者コースだったので数回の講座で習ったのは7番アイアンとドライバーだけ。まともに前に飛ぶのが珍しいくらいでしたが、はじめての体の動きを学ぶのは新鮮な体験でした。
ほんの少し習った私でもクラブを振り回すのが面白く、タイミングが良ければそのままゴルフが趣味になっていたかもしれません。でも家業を投資ファンドに事業譲渡するややこしい時期と重なってしまったので、数回だけ通ってその後は習うことなくゴルフから離れています。もちろん、コースに出たことはありません。そういえば7番アイアンとシューズは2年前の引っ越しの時に処分してしまっています。祖父があれだけ夢中になっていたスポーツなのでいまだに軽い興味はあるものの、しばらく再開することはなさそうです。
仕事のためにゴルフが必要でなかった
経営者はゴルフでの接待が必須だとか、出世するにはゴルフを習っておいた方が良いなどといった言葉を目にすることがあります。ゴルフを身に付けておいて悪いことはなく、それどころか人とのご縁をつなぐきっかけの一つにできるのは間違いないと思います。
しかし、たまたま私の周囲の環境ではゴルフは必要ありませんでした。祖父と父は仕入先さんなどとゴルフでの懇親の場があったようですが、私が代表取締役についていた時期にはもはやそのような習慣は廃れていました。陶磁器業界はバブル期から事業が縮小し続けていて、ゴルフをする余裕などなくなっていたのです。景気が良かった時には春と秋にゴルフコンペを開催していたとか。今では考えられません。
もし仕入先の社長から熱心に誘われていたら、私もゴルフをしていたかもしれません。ただし、個人の趣味でされている方はいらしたようですが、仕事のお付き合いの一環としてゴルフを使っている人はすっかりいなくなってしまっていました。誘われたことなど一度もなく、仕事とゴルフを関連づけるような出来事はこれまで一度もありません。
いまは茶道が楽しい
ゴルフの代わりにと言うわけではありませんが、私が夢中になっているのは茶道です。もともと茶わん屋に勤めていたので茶道の素養を早め身に付けておくべきだったのでしょうが、なんとなく足が向かず習いそびれていました。2年少し前に思い立って習い始めたところ、今では着物を用意するくらいにまではまってしまっています。かつての従業員さんたちに私が今さら茶道を習い始めていると知られたら、きっと笑われてしまうことでしょう。
そういえば、仕入先の社長の1人で私が小さい時から大変お世話になった人がガラスの抹茶茶碗をプレゼントしてくれたことがあります。遺品だなどと冗談交じりに渡してくれたものですが、今でも大事にしています。まだこの茶碗を用いたことはなくて、そろそろお茶を点ててみようかと考えているところです。商売抜きでおいしいものを食べさせてくれたり、クリスマスにはデパートでおもちゃを買ってくれるような社長でした。もうとっくに亡くなっていますが、今の私を見たらなんて声をかけてくれるのか気になるところです。
茶道を習い始めたときには気づきませんでしたが、私のように経営者と対話することを仕事としている者にとっては茶道から学べることがたくさんあります。相手の考えていることを想像したり、おせっかいにならない程度に気を配ったり。ゴルフも同じように経営者にとって様々な学びの場になっているからこそ、これだけ普及しているのでしょう。私の夢の一つはゴルフコンペの代わりに、いつか顧問先の経営者さんなどを集めてお茶会をすること。この夢を実現するためには、まだまだ勉強が必要です。
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