与えられた時間内で話す
9月に2件、10月に1件、それぞれ人前でお話しする仕事をいただいています。充実したコンテンツを届けるのは当たり前のこととして、次に重視しているのが与えられた時間内でお話しすることです。この当たり前を守れない人が、世の中には意外と多いのです。
時間泥棒にならないために
セミナーや会議で、持ち時間を超過して話し続ける人がいるのには辟易してしまいます。そうした人々を目の当たりにすると、(私はわがままな性格なので)つい顔に出てしまいます。先日もその様子を目にした知人に笑われてしまいました。
1日24時間1年365日というのは、すべての人に平等に与えられた資源です。持ち時間を超過してしまうのは他人の時間を泥棒するのと同じことです。1分や2分の超過なら問題ないだろうと考える人もいるでしょうが、参加者の人数が多ければ、それだけたくさんの時間を奪うことになります。例えば、参加者100人で1分超過したら100分の時間を無駄にすることになるのです。
自分の持ち時間に無頓着な人が講師になってしまった場合、それをフォローできるのは進行役だけです。嫌われ役になってでも、なんとしてでも終わりの時間を厳守するように仕切らなくてはなりません。講師にものを言えなかったり、あるいは質疑応答の時間をダラダラと続けてしまうような進行役は不適格です。
先日、ある企画で進行役を務めた際は終了予定時間の45秒オーバーで収めることができました。まぁ、誤差のうちとして問題ないでしょう。他人の時間を尊重するためにも、タイムキーパーは能動的に進行しなくてはなりません。その時も何度か、時間を超過してお話し続ける講師に対し、割って入らせてもらいました。気分を害されたかもしれませんが、放っておいたら数十分超過していたかもしれません。
遅刻も同じ。何かの事情で遅れてしまう事は誰にでも経験があることですが、中には遅刻しても全く悪びれずに「これくらいの遅刻の何が問題なんだ」と開き直る人もいます。過去に振り回された経験があるだけに、こうした人物とは関わらないように心掛けています。
自己紹介は後回しでもよい
他人の講演を聞いていると、必要以上に自己紹介に時間を割く人がいます。最初に自分が何者であるのかを示し、その後の講演を丁寧に届けたいという考えなのでしょうが、本編の時間を圧迫してまで自己紹介に時間を割いてしまうのは本末転倒です。
ある中小企業支援に携わっていた人物は、講演の本編と自己紹介がごた混ぜになっているのが特色でした。ご本人は気持ちよく話していましたが、聞き手は敏感にその鼻につく内容を察知していました。自己紹介に求められるのは、あくまで自分が何者であるかを伝えるだけのこと、自慢話は何より嫌われてしまいます。
私もこれまで講演の冒頭で自己紹介をするようにしてきました。さらっと触れる程度に心がけていて、自己承認欲求を満たすための自己紹介などはしないようにしています。今度の講演で試そうと考えているのが自己紹介を後回しにしてしまうことです。講演の趣旨と目的を話したらすぐに本編に入り、最後の時間調整として自己紹介を使ってみようと計画しています。このスタイルの講演をどなたかがしているのは目にしたことがなく、どんな反応が返ってくるのか試してみようと考えています。
事前の練習は必須
私は話す仕事だけで食べているわけではないので、実体験に基づいた2つのテーマしかお話しすることができません。一つは江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した経緯。もう一つがここ最近、7年以上手がけている中小企業支援事例です。それぞれ別々に話すこともあれば単独で話すこともあり、それは主催者からの依頼内容次第です。
持ちネタが二つしかないといっても、講演のたびに内容は見直しています。聴き手の反応を踏まえて強弱をつけるポイントを変えたり、事例を差し替えたりと手を加え続けています。そのため、毎回全く同じ話ぶりというわけではなく、微妙に内容は変遷しています。もちろん、持ち時間も講演の都度変わるわけで、全く同じ台本が繰り返されることはありません。
私自身も過去に経験しているのですが、話慣れているつもりのテーマであっても事前の練習が不足していると当日うまくお話しすることができなくなります。事前の練習は必須で、実際に口を動かして初めて与えられた時間を守ることができます。
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