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コラム

社会とのつながりを作る

アメリカ人の1割「親しい友人いない」 広がる孤独のワケは
日本経済新聞 電子版 2024/7/11

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC091G30Z00C24A7000000/

記事では、「社会とのつながりが不足すると、1日15本のタバコを吸うのと同じぐらい早く死ぬリスクが高まる」と紹介されています。

経営者は孤独

経営者は孤独と言われますが、まったく同感です。先頭に立って事業を牽引していかなくてはいけない立場なので、前や隣には誰もいません。「社長、社長」とちやほやされますが、実態は一人での経営判断を迫られ続ける孤独な役職なのです。

私がこのことを実感したのは、家業の代表取締役に就任してすぐのことでした。それまで先輩や上司の後ろを歩いていればよかったのが、社長になったとたんに、文字通り、先頭を歩かされることに気づいたのです。どこに行くにしても自分が道を切り開かなければならず、また道に迷っているフリをすることもできません。目的地に向けて、まっすぐに進み続ける背中を従業員に見せなければいけないプレッシャーは相当のものでした。

会社の中でそんな状況なのですから、心のバランスを保つためには社外で人との繋がりを保っておく必要があります。私の場合は、当時、高校ボート部のOBとしての活動がちょうどよいものでした。高校生が競技に集中するためにも、OBOGが環境を整えようというのが母校ボート部の伝統。ちょうど創部120周年を迎えるタイミングでもあり、多くの先輩後輩たちとご奉公させてもらいました。

また当時は、それほど得意でないお酒を飲む機会も多くありました。孤独を解消することには繋がらないとわかっているのに、ついつい酒量が増えていってしまいました。家業を投資ファンドに事業譲渡したころには体調を少し崩してしまい、病院では「酒とストレスが原因」と断言されてしまったこともあります。その後、あっという間に体調は元に戻り、お酒もほとんど飲まない生活に。たまに誘われて飲むくらいがちょうど良いのです。孤独やストレスを解消するのにアルコールは役に立たないというのを実体験してしまいました。

社会とのつながりを意識して作る

中小企業支援家に転身し、さらには完全に自営業に移行した今でも、社会とのつながりを作るように意識しています。具体的には茶道とアマチュア無線が私にとっては良い息抜きになっているのです。

茶道は一昨年に始め、教室の先生や先輩たちと出会うことができました。新たな人の繋がりが生まれるというのは新鮮なもの。さらに東京出身の私が仕事の都合で引っ越してきて、いつしか居着いてしまった福岡で、仕事以外の世界を知ることができたというのは我ながら不思議な感じがします。

アマチュア無線も福岡に来てから始めました。数年前に免許を取っていたものの、実際に遊び始めたのは今年の3月から。交信を通じてまさに一期一会になるかもしれない会話をするというのは刺激にあふれています。もちろん何度もお話しさせてもらっている局長さんもいらして、まだお顔は見たことはないものの、勝手に友達にならせてもらったような感覚を抱いています。

社会とのつながりは意識して作るもので、黙って待っていて生まれるものではありません。1日タバコ15本ほどの不利益が生まれるのであれば、勇気を持って一歩を踏み出すことができるというもの。「孤独かもしれない」と思ったら、自ら動き出す必要があります。

バーカウンターからの眺め

お酒はほどほどに

話を聞くだけで喜んでくれる経営者

中小企業支援家として経営者と対話していると、話を聞いているだけでとても喜ばれることがあります。尋常な喜び方ではなくて絶賛されるのです。売上アップを実現するための知恵やアイデアを提供していないのに、話を聞くだけで喜ばれるなんてと当初は状況が理解できませんでした

しかし、そのうちに経営者が(かつての自分のように)孤独を抱えていて、さらに誰もが自分のことを話したがるばかりで人の話に耳を澄まそうとしていないことに気づくと、そうした経営者の反応にも合点が行くようになりました。人は誰しも自分の話を聞いてもらいたいもの。経営者も従業員や投資家から突き上げられるばかりでなく、自分の話を誰かに邪魔されることなく聞いてもらいたいのです。

孤独は想像以上に世の中に蔓延しているのかもしれません。


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