士業マーケティング 独立開業後に出費を抑える方法
独立開業後には先行投資を言い訳に、ついつい出費を続けてしまいがちです。しかし、無駄な出費を続けていると、落ち着いた頃に口座の残高を確認してびっくりしてしまうことになりかねません。独立開業したばかりの士業が出費を抑えるためにはどうしたらよいでしょうか。
自動車を保有しない
まず、金食い虫の筆頭が自動車です。生活に欠かすことのできないエリアでなければ、自動車を保有する必要はありません。雇われる立場から独立開業したタイミングで、自動車を保有し続けるべきか冷静に検討してみましょう。
私は2年前に完全に自営業に移行するのに合わせて、夫婦それぞれ乗っていた自動車を手放してしまいました。コンビニやポストに行くのにも自動車が必要だったエリアから都市部へ引っ越したので、自動車が必需品ではなくなったからです。「顧問先へ出向くのに自動車が必要だ」「息子の部活の送り迎えに使う機会があるかもしれない」「1台くらい残しておいた方が便利だろう」などという考えが頭をよぎりましたが、心を鬼にして愛車を手放してしまいました。いざ自動車を手放してしまえば、まったく問題なく日々の生活を送ることができています。遠方の顧問先へはカーシェアリングを利用して行きますし、息子の部活の送り迎えも実際には発生しませんでした(中学生になり、好き勝手に自転車を乗り回すようになった)。
自動車を保有していると、本体の購入費用、ガソリン代、車検代、保険料、整備費用などが発生します。我が家ではざっと平均して年60万円くらいかかっていたはず。自動車が無ければ生活が成り立たない地域に住んでいるのであればともかく、公共交通機関が利用可能なのであれば自動車はぜいたく品です。
事務所を借りない
家業の代表取締役を退任した後に東京へ帰り、さっそく社会保険労務士の開業登録をしました。といっても社会保険労務士で食べていくだけの覚悟はなく、第2の社会人人生をどうしようか考え込んでいた時期です。開業登録と同時に事務所を定める必要があり、都心部のシェアオフィスを借りることにしました。完全個室で住所表記は東京都中央区銀座〇丁目。開業したからには必要な経費だと思って、深く考えずに契約してしまいました。
ところが顧客もいないのに事務所が必要なわけもなく、手元のお金が減っていくのに驚いて1年で解約してしまうことになりました。ろくに使用しなかったのもあって、まったく無駄な出費をしてしまいました。開業したからには直ちに立派な事務所を必ず用意しなければいけないなんてことはなくて、まずは顧客を増やすのが先。無駄な固定費を増やしてしまうとみるみるお金が減っていきます。
知人がある国家試験合格後に開業しようとしていた頃、どこに事務所を借りようかと数か月も悩んでいました。私からしたら時間の無駄です。自宅兼事務所にして、営業活動に注力するべきでした。事務所がなければ開業できないのはよくわかりますが、独自の立ち位置さえ築けていれば事務所がどこにあろうが関係ありません。まずは小さく始めて、必要に応じて適切な事務所を構えればよいのです。
読まない本を買わない
顧客がいない暇な士業に限って、独立開業後も勉強し続けてしまうようです。試験勉強の延長で、何より大事な営業から逃げているだけでしょう。この時に読みもしない本を買い続けると出費が増えていきます。1冊2,500円だとしたら100冊で25万円。立派なスペックのパソコンが買えてしまいます。
私も気づいたら300冊くらい「積読」していたことがあります。日本経済新聞の書評や広告、Amazonのおすすめでピンときたら深く考えずに買いまくっていたのです。しかもすぐに読まないので本が増えるばかり。あっという間にクローゼットが埋まっていきました。引っ越しの時にさすがにまずいと思い、ほぼすべてを電子化してしまうことに。本代に加えて電子化にも費用をかけて、まだ読んでいない本がたくさんあります。本はすぐに読むものだけを買うようにしましょう。
本を買わないようにするために、私は気になる本があったら書名をiPhoneのリマインダにメモしています。「買いたいもの」というリストを作り、ひとまずそこで寝かせておくようにしているのです。しばらく経ってもどうしても必要な本なら買うようにしていますが、こうしてリマインダを活用し始めて本を買うことがぐっと減りました。衝動買いを減らすのには良い方法です。
何があっても(なくても)毎月の給料が振り込まれていた雇われる立場であった時と違い、売上をつくらないと収入は得られません。売上は相手あってのことなのでこちらの思うようにコントロールすることは困難ですが、出費は自分の意思で減らすことができます。独立開業後の事務所経営を安定させるためにも、無駄な出費は減らしましょう。
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