士業マーケティング 「話す仕事」をどう作るか
講演などの「話す仕事」を増やすためにはどうすれば良いのでしょうか。
独自のコンテンツを持っていることが大前提
昨日、新たに講演の仕事を打診してもらいました。私の本業は中小企業支援で、地方中小企業に顧問や社外取締役として関与させてもらっています。ところが、たまにこうして人前で何かをお話しするような仕事の依頼をいただくことがあります。
私がお話しできる事は大きく2つです。1つ目は江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した経緯、2つ目は私が自ら手掛けた中小企業支援事例です。この2つをバラバラにお話しすることもあれば、2つを組み合わせてお話しすることもあります。どのような内容にするかは主催者と打ち合わせをし、持ち時間も考慮して決めていきます。
例えば、毎年機会をいただいているある公的機関では、メインは家業を投資ファンドに事業譲渡せざるを得なくなったことについてお話ししつつ、時間調整のネタとして中小企業支援事例をお話しするようにしています。今年も地域中小企業の幹部候補生の方たちにお話しすることになっていて、毎年活発な質疑応答がなされるのが私の楽しみの1つです。
講演をたくさんさせてもらって、それだけで食べていきたいなどとは全く考えておらず、本業の合間に過去の自分を振り返りつつ、新たなご縁をいただくための貴重な機会になればと考えて取り組ませてもらっています。
「話す仕事」をさせてもらって気づいたのは、他の誰かが話すことのできない、独自のコンテンツを持っていなければ選ばれないということです。講演講師を主催者へ仲介するような会社はいくつかあり、それらのホームページを眺めていると多くの人が講師として登録しています。テレビなどで見かけるような有名な人もいれば全く無名な人も多く登録していて、皆さんそれぞれ興味深いテーマについてお話しできるとプロフィールに記載しています。
これだけ多くの人が講演講師を目指しているのですから、どこかの誰かが話すような内容や教科書に書いてあるようなことを話すつもりでいては、講師として声がかかる事はないでしょう。
逆に言えば、自分のこれまでの経歴や成し遂げてきた仕事を振り返って、明らかに独自の立ち位置を築けているのであれば講演活動できる可能性はあるはず。自分の人生は自分にとって当たり前の連続ですが、他者から見れば興味深いものです。ましてやそれが他者にないコンテンツになるのであれば、お金を出してでも知りたいと思ってもらえるのです。
営業用資料としてのメディア掲載
私がこうして講演の仕事を受注できるのも、過去にいくつかのメディアに取り上げられた経験があるからだと思っています。
1番最初に取り上げられたのは、日経ビジネスの「敗軍の将、兵を語る」という連載。投資ファンドに事業譲渡した年に取材依頼があり、当初はあまり気が進まなかったものの対応したもの。記者さんからインタビューを受け、その内容が私の独り言のような形で記事化されました。この記事が、その後の講演につながり、さらには中小企業支援家への転職にも役立ちました。
自分で自分をいくら売り込んだところで、何事も胡散臭く思われてしまいがちです。ところがメディアに取り上げられた実績があると、たちまち多くの人が聞く耳を持ってくれるのは不思議なことです。私はまさにこの効果を実感していて、いくつかのメディア掲載実績をもとに講演などの仕事を頂戴することが実現しています。
何らかのメディアに掲載されるとそれだけで喜んでしまう人がいますが、重要なのはその後の行動です。新聞記事などを自らの営業資料として活用し、さらに次の仕事につなげていかないと刹那的な出来事で終わってしまいます。
地道な情報発信をして待つ
講演などの「話す仕事」というと華やかな雰囲気を連想させ、だからこそ多くの人が憧れる業務なのかもしれません。しかし、講演だけで生活が成り立つような方は既に何かを成し遂げたような、ごく一部の有名人だけでしょう。
私のような零細な個人事業主にとって、話す仕事は本業のご縁をいただくためのきっかけ作りくらいのつもり。それくらい肩の力を抜いておけば、ふとしたときに依頼が入ってくるものだと思っています。
自分からいくらプッシュしたところで、独自のコンテンツがなければ見向きもされないのがこの業務の難しいところ。話す仕事を受注したいのであれば、自分がこれまで歩んできた道をコンテンツ化できるように準備しておきつつ、地道な情報発信をして種を蒔いておく地道な作業が必要です。
ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています
関連記事