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コラム

問題社員は更生しない

誤解を恐れずに言えば、問題社員を更生させることは無理です。もし自分の会社に問題社員が発生してしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。

経営のボトルネックにもなり得る

地方中小企業の経営者と対話していると、問題社員について相談されることもあります。こうした話は非常に多くて、経営のボトルネックになっていることもしばしばです。

ある企業では1年以上前から、ある従業員のローパフォーマンスが顕在化していました。私は当初からできるだけ早いうちに「円満な解決」に持っていくように提案していましたが、経営者は「私が成長させる」などと改善を期待し続けていました。そうしているうちにも、大きなトラブルは引き起こさないものの日々サボタージュともいえる行動を取り続けていて、徐々に目に余るように。そのうちに周囲を巻き込んで徒党を組むようにもなってきたそう。ここに来てようやく、経営者は「円満な解決」を目指すことを決意しました。この間、1年以上。地方中小企業にとっては膨大な時間をロスしてしまいました

途中、問題社員が退職をほのめかしたこともあったそうですが、経営者はこのチャンスを見逃してしまっていました。今となってはあの時に間髪を入れず、退職届を提出させておけばよかったと後悔しきりです。問題社員対応は経営者の胆力が求められる事案です。特に少数精鋭で事業を運営している地方中小企業にとっては、他の従業員の士気にも関わってきます。

問題社員は更生しない

私の持論ですが、問題社員は更生する事はありません。経営者が問題社員であると認識したのであれば、「円満な解決」を即座に目指すべきです。会社の指示に従わなかったり、最低限の仕事のみをしてサボタージュしたり、権利ばかりを主張して義務を果たさなかったり。こうした従業員が社内に存在してしまうと、周りの従業員にも悪影響を及ぼすようになります。そうなる前に経営者は決断を下す必要があるのです。

家業の代表取締役に就任した後、父に重用されていた元幹部が私に用いられないと知った途端に問題社員化してしまったことがありました。新体制での経営体制をどう構築するかは私に一任されていました。父には贔屓にされていたものの、業務の実態の見えない彼を私は使うつもりはさらさらありませんでした。その彼を幹部職に選ばなかったところ、手のひらを返すように問題社員化してしまいました。

要職から外してしまうと、日々の事業運営に何の影響もないことが判明しました(それはそれで困ったものです)。その後は徒党を組んで緩慢なサボタージュを始める始末。こうした問題社員は、地方中小企業にとって障害以外の何者でもありません。経営者が存在を認識したのであれば、外部の専門家の手を借りてでも「円満な解決」を目指すべきだと強く考えています。

ところで「円満な解決」という表現を何度もしていますが、直接的に表現するといろいろ差し障りがあるのでぼやかしています。会社と従業員の関係は必ずしも永続するものではなく、始まりがあればいつか必ず終わりを迎えるものです。両者の合意の元に円満に解決させることができれば、問題社員にとっても次の人生をより豊かに過ごすきっかけにすることができるでしょう。

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客観的なメモを残す

問題社員への対応で経営者が留意すべきは、揚げ足を取られないように労働法について理解を深めておくことと、日々の事案について記録を残しておくことです。

例えば、今時、ハラスメントと取られかねない言動は、問題社員に対してであっても行ってはなりません。「やめてしまえ」などと叱責するのは、問題社員にとって会社を攻撃する格好の材料になってしまいます。また問題社員が引き起こした行動については、後日、適切に対処するためにも記録を残しておく必要があります。「何月何日に誰が何をどうした」といった客観的なメモを積み重ねておくことで、問題社員が問題社員であることを証明することができます。

こうした記録を残しておかないと、公の場で基本的には労働者有利に取り扱われてしまうのはよくあることです。労働基準法は弱い立場にある労働者を守るために生まれたものだからです。会社と経営者を守るためにも、これらのことに留意して問題社員に向き合いましょう。


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