士業マーケティング 独立後に所属するコミュニティを選ぶ
独立開業後にどのようなコミュニティに所属したらよいのでしょうか。
感性の合うところが一番
先日、ある会の定例会に出席させてもらいました。その他大勢のゲストの一人といった立ち位置でオンラインセミナーを聴講させてもらったもの。セミナー終了後には事務局から「正式に入会を希望しますか?」と打診されましたが、お断りすることに。ひと言で表すと感性が合いそうにないなと感じてしまったので、丁寧にお断りさせてもらうことにしたのです。良いとか悪いではなくて、感性が合わないであろうところに無理して所属しても苦痛を感じてしまうだけ。この手の直感はだいたい外れることがないので、お断りするのであれば早めの方が失礼にならないだろうと即答させてもらいました。
また、ある創業間もない企業から顧問や社外取締役での参画を求められたことがあります。そういったお話しは大変ありがたいのですが、諸条件を伺うと無報酬でお願いしたいとのこと。社長以下まだ法人から報酬を取っていないので、外部から招へいする人材にも報酬を支払うつもりが無いとのことでした。残念ながらボランティアで中小企業支援をするつもりはないので、こちらもその場ではっきりとお断りしました。自分たちの報酬の有無に関係なく、外部の人材を使おうとするのであれば無償はありえません。額の多寡ではなくて、適正な対価を払う気があるかどうかが問題なのです。まさに経営に対する感性が合わないと感じたので、関与はきっぱりとお断りしました。
一昨年に始めた茶道教室は居心地の良いコミュニティです。先生が上から目線で一方的に何かを教えるのではなく、生徒それぞれが自分のスタイルで学ぶことが可能です。教室によっては厳しい指導がなされるところもあるようですが、教室には常に笑いがあふれています。先生の教室運営の方針がある種の文化を形作っているのだと理解しています。他の教室と比較して入ったわけではありませんが、私の感性に合う教室に巡り合えたことをいつも感謝しながらお稽古に取り組んでいます。
士業が独立開業すると、様々なコミュニティに所属しようと立ち回る人がいます。その時に営業目的ということが露骨だと、いつまで経ってもコミュニティに受け入れられることはありませんし、何より嫌われてしまうことでしょう。どこかの会に所属して顧客を得ようなどという底の浅い考えは営業でもなんでもありません。そんなことよりも、自分にとって居心地の良いコミュニティに所属することが自分の知らない世界を知ることに繋がり、結果、多くの人とのご縁をいただくことに繋がるのだと信じています。
支部活動よりもドブ板営業
独立開業してすぐに支部の活動などに励むのはお勧めしません。同業者のためのロビー活動や支部活動を否定するものではなく逆に感謝しているくらいですが、開業直後に注力すべきものだとは思えないのです。支部活動に取り組んで先輩から仕事をもらおうとか、行政協力の仕事を回してもらおうとかいうのが「本当にやりたかったことなのですか?」と問いたいです。
独立開業したのであればライセンスを所持しているわけなので、あとはドブ板営業あるのみ。失うものなど何もないのだから、多くの人が敬遠する営業を徹底的にやればいいのです。自己開示を徹底して営業に取り組めば成果は必ずついてきます。営業から逃げて事務所経営を軌道に乗せようなどという考えはありえません。多くの人が開業し、そして残念ながら数年内に廃業する業界だからこそ、まずは自分の顧客を作るための営業が何にもまして重要なのです。
支部活動に参加すると、お互いを「先生、先生」と呼び合って心地よいのかもしれませんが、同業者はライバルでもあります。独立開業したのであれば、しばらくの間は支部活動は控えて自分の顧客を増やしましょう。
自分でコミュニティを作る
雇われる立場から独立開業すると組織に守られていた自分が一人ぼっちになり孤独になったと感じてしまうものです。その時に闇雲にどこかのコミュニティに所属しようとするのではなく、自分でコミュニティを作るのも選択肢の一つ。自分を核にし、顧客が参加するコミュニティを築けばよいのです。
中小企業支援家に転身した当初の私も孤独を感じていました。初めての土地で、新しい仕事、そして顧客はこれから増やさなければいけない状況。そんな時期に手掛けたのが勉強会形式のセミナーを開催することでした。一方的に話して終わりのセミナーにするのではなく、私が主宰し参加者同士が繋がる機会を提供したのです。
こつこつと続けていると自分を中心にコミュニティが生成されていくのがわかります。どこかの組織の末端に所属するよりも、自分中心のコミュニティの方がより濃いお付き合いが可能になるのは当たり前の話。雇い主に求められる中小企業支援事例を生み出すのに、この強いきずながどれだけ役に立ったことか。
独立開業したときにあわててコミュニティに所属しても、必ずしも事務所経営に資するとは限りません。であるならば、自分でコミュニティを作ってしまえば良いのです。
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