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コラム

資金が不足しそうだと言われた時に提案すること

中小企業支援に携わっていると、資金繰りに不安を抱えている経営者から相談を受けることもあります。そんな時に私がどんな提案をしているか書いてみます。

ドブ板営業

真っ先に尋ねることにしているのは「どのように営業活動をしていますか?」という質問です。状況が悪化してしまった原因を突き詰めると、そもそもの製品・サービスの質が顧客のニーズに合致していないか、合致していたとしても営業活動が不足しているか、のどちらかであることがほとんどです。製品・サービスの質については置いておくとして、満足に営業できていない企業は非常に多いです。展示会に出展しているだけで後日にフォロー営業をしていない、売りっぱなしでリピーターを育てようと行動していない、待ち構えているばかりで新規開拓に取り組まないといった企業が目立つのです。

ある企業に提案したのはドブ板営業を徹底することです。この先の資金繰りに不安を覚えたからといって状況を改善する「魔法の杖」などは存在しません。徹底的に顧客に向き合う行動をすれば必ず売上に結びつくもの。これまでの行動を振り返り、不足していた活動に取り組んでもらおうと考えました。ドブ板営業を提案したところ、その企業はこれまで出展した展示会で得た名刺を見直すことに。事後にメールでだけフォローして放置してしまっていたのを、積極的に営業電話を掛けてみることにしたのです。結果は数件の商談に繋がり、資金繰りの不安は解消しました。高額商品を取り扱っていたこともあり、ドブ板営業が直ちに資金繰りの改善に直結したと報告してくれました。

銀行からの融資

資金繰りを改善するための方策のもう一つが銀行から融資を受けることです。事業に将来性があるのであれば、ピンチの時であっても金融機関は支援してくれます。堂々と窮境に陥っていることを伝え、同時に、事業活動が生み出す将来の利益を提示することで応援してもらえる可能性は高まります。

ただし、注意したいのが銀行員相手に虚勢を張らないことです。銀行からお金を借りようとするときに、素直に状況をさらけ出せない経営者が非常に多いようです。そうした「嘘」は銀行員にあっという間に見抜かれてしまいます。「困っていないのであれば融資は必要ないですね」などと言われて体よく追い出されてしまうのです。

私が見聞きした中でも、過去に銀行に対して嘘をついてしまったためにその後のつじつまが合わなくなってしまい、支援を受けたいと願った時に受けられなかった企業が複数あります。経営者の見栄であったり、藁にもすがろうとする気持ちが銀行に対して虚勢を張ってしまうことに繋がるのでしょうが、支援を受けられなくなっては元も子もありません。銀行に対しては、自らをさらけ出すことからすべてが始まります。

ビジネスパーソンの足下

ピンチの時には前に進むのみ

情報発信

即効性はありませんが、知ってもらうための努力を積み重ねることで売上が増え、支援を受けることが可能になります。情報発信に日頃から取り組んでおけば、いざという時に顧客に対し営業もしやすくなります。反対に、日頃はなんの関係性も構築しようとしていないのに、困った時にだけ営業しようとするのは何より嫌われる行為です。

情報発信はまず始めて、そして継続することが何より重要です。年に数回だけ臨時休業日を知らせるだけのお知らせは、情報発信とは言いません。見込客や顧客の困りごとに思いを巡らせ、役に立つ情報をあらゆる手段で伝えていくのです。スマホ一台あれば、動画も音声も発信可能。かつてあったような情報を発信するためのハードルは消え失せています。取り組まない理由はありません。

情報発信はほとんどの企業が継続できていません。だからこそ継続するだけで競合と差別化することが可能になります。もちろんコンテンツは見込客と顧客の困りごとを解決する内容であることが一番です。内輪の者にしかわからないような内容や、企業イメージとかけ離れたものは逆効果になりかねません。

ある顧問先に情報発信を勧めたところ、「ネタがない」と言われてしまったことがあります。ネタが無いから情報発信はしない(したくない)と言うのです。そんなことはありませんと、その場でネタ出しをして差し上げました。作業の様子や顧客からのメッセージなどがコンテンツ化可能だと例示していったところ、「そんなことをネタにしても良いのか」と驚いていた様子。自分たちにとっては当たり前の光景であっても、見込客や顧客を想像すれば日々の事業活動の中にネタはいくらでもあるのです。

資金繰りに窮したときに最悪なのは思考と行動を止めてしまうこと。長く経営していればピンチなど何回もやってくるもので、その時にどう行動するかを多くの利害関係者は見ているものです。自分たちが取り組めることを洗い出し、優先順位を付け、ひとつずつ着実に実行していけば必ず活路は開けます。


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