地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

050-3557-7157

コラム

顧客に堂々と負担を求める勇気を持つ

Prime Try Before You Buyで靴を買ったところ、サービスの内容が「改悪」されているような印象を持ちました。せっかく便利に使っていたサービスなのに。ところがよく考えたらただの改悪では無かったよう。顧客に求める負担について書いてみます。

靴を買うストレスが大きく減った

私の普段履きの靴は4足。ビジネス用のスニーカーを交互に履いています。他にスリッポンタイプの靴が2足でうち1足は雨用のゴアテックス素材を利用しているもの。フルオーダーで作った革靴もありますが、ほとんど履く機会はなくなってしまいました(そういえば最近手入れを怠っていたからクリームを塗らねば)。

さて、先日、普段履きの靴が劣化してしまったので買い替えることにしました。つま先の部分が剥がれてきてしまったのです。超軽量の通気性が良いことを売りにしていた靴で気に入っていたのですが、耐久性は低く、1年もたたずに買い替えることになってしまいました。

代わりの靴はAmazonのPrime Try Before You Buyというサービスを利用して購入することにしました。服や靴などを購入前に取り寄せて、最大7日間試着できるというもの。購入すると決めたものだけを手元に残し決済し、残りは送料負担なしで返品が可能。このところ靴を購入する際にはこのサービスを便利に使っています。今回選んだのはニューバランスのスニーカーでゴアテックス素材のもの。ちょうどセールになっていたものがあったので、いつものように前後のサイズを含めて取り寄せて試し履きしてみることにしました。

Prime Try Before You Buyの良いところは、靴店で店員さんを探したり、サイズ違いの在庫を出してもらったりする必要がないこと。最近は店員さんがどこも減っているようで、実際に接客してもらえないことがあってからはリアル店舗で靴を買うことをあきらめてしまいました。そんな私にとって、自宅でゆっくり試し履きできるこのサービスは便利なものです。

Prime Try Before You Buyが「改悪」されていた

今回、Prime Try Before You Buyを利用して、サービス内容が「改悪」されていることに気づきました。返送時に使用する着払い伝票が同梱されなくなっていたのです。これまでは商品に同梱している着払い伝票を使って、コンビニからさっさと返送することができていました。ところが着払い伝票が同梱されていないだけでなく、Amazonの画面からはどうやらヤマト運輸の営業所への持ち込みに誘導したい雰囲気が感じられます。コンビニから返送可能というのを積極的に表記したくないようで、これまでとインターフェースが変わったこともあり戸惑ってしまいました。

たった1枚の着払い伝票が同梱されているかいないかの話ですが、使い勝手は大きく悪くなってしまいました。営業所からであれば伝票レスで発送させることが可能なので、昨今の物流問題を受けて、少しでも負担を軽くするためのやむを得ない措置なのかもしれません。

そう考えると、改悪もただの改悪ではなくて、どこかの誰かがこれまで甘んじて引き受けてくれていた負担の偏りを是正するものとも取れます。「着払い伝票が入ってない!」などとイラついてしまった自分が恥ずかしくなりました。

靴を試し履きするビジネスパーソン

靴屋で店員さんを探すのが面倒くさいです

顧客に堂々と負担を求めよう

顧問先では複数社で製品やサービスの値上げを実施しています。当初は値上げすることに及び腰だった経営者も、自社だけで上昇し続けるコストを負担することに耐え切れなくなり、恐る恐る価格改定を決断しました。顧客から反発されたらどうしようなどと考えていましたが、いずれもあっけないほど受け入れられたと言います。もし値上げを実施していなかったら、大きな売り逃しが発生していたことになるはず。真に必要な要請であれば、堂々とすれば良いだけのことです。便乗値上げやステルス値上げは顧客との関係性を損ないかねませんが、努力を重ねつつも限度を超えたコストの上昇は価格に転嫁するしかないのです。

一見、改悪に見えるようなことでも、本当に必要なことであれば自社だけで抱え込まずに顧客に一定の負担をしてもらうべき。デフレが続いている間は企業の努力が歪みがちでしたが、もはや顧客に負担を求めることは当たり前になりました。自社だけで抱え込んでいる負担がないかどうか、精査をするには良い時代になっています。


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています

amazon musicのバナー

Listen on Apple Podcasts

関連記事

TOP