地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

地方中小企業の経営者に必要な思考の言語化スキル

ブログを書き続けて感じるのが、文章を書いていると思考の鍛錬になるということ。続ければ続けるだけトレーニング効果は高まるように感じていて、地方中小企業の経営者にも取り組んでもらいたいと考えています。

思考を言葉にする

経営者はビジョンを掲げ、利害関係者にそのビジョンを繰り返し説く必要があります。従業員に将来の夢を語ったり、金融機関に事業が実現する価値を説いたり。ところが、地方中小企業の経営者で自らのビジョンについて語ることのできる人はあまりいません。かつての私もそうでした。語るべきものをもっていないのではなく、思考を言葉にする経験が少なかったために言語化できなかったのです。

まだ雇われる立場であった頃、ボランティアの集まりで同席した初対面の人と話す機会がありました。正確には話しているのは相手の人ばかりで、私は彼の話を聞くばかり。私はつい話に聞き入ってしまっていたのですが、「そういえば君は自分のことを何も話さないね」と言われて恥じ入ってしまうという経験がありました。当時はまだ働く意味もわからず営業が嫌で仕方なかったころ。自分が何を考えているのかもわからないような年齢でした。相づちを打っているだけで会話が成り立たず、ましてや相手に自分のことを理解してもらえない状況なんて、当時の私にはどうすることもできなかったのです。

話すこと、正確に言うと発した言葉の力を意識するようになったのは家業の代表取締役を務めていた時です。労使協議や銀行との協議の場では、私が出席しているからには「持ち帰って検討する」などとは言えません。その場で何らかの見解を述べる必要があって、拙いながらも言葉を選びながら話すようになりました。また、さらに言葉の持つ力を思い知るようになったのは中小企業支援家に転身してから。私の提供した知恵やアイデアが相談者の人生を左右することもあり得るわけで、どうしたら成果に繋げることができるかと言葉を選びながら話し続けています。

書くことが鍛錬になる

思考を言語化するためのトレーニングで有用だと思うのが「書くこと」です。自分の考えを文章に仕立てることはそのままで何よりの鍛錬になります。

私がこのブログを書き続けているのも、途中からその鍛錬の効果に気づいたから。自分の頭の中にある情報をさらって一つの記事に仕立てるというのは知的トレーニング以外の何物でもありません。2年前にブログを始めたのは「情報発信を自分でも始めよう」といったきっかけだったのですが、続けているうちにもっと大きな効果を得られていることに気づきました。「自分の言葉」を徐々に紡ぎ出せているような感覚です。

あるボート競技のプロコーチの言葉が印象に残っています。「練習日誌を丁寧に書くことができる選手は伸びる」というもの。その日のトレーニングメニューを記録するだけでなく、自分の内面も分析して記録するのが練習日誌。私が高校生の頃はその日の練習メニューと、よく漕げたとか漕げなかったとかを書いていた程度でした。思考を言語化することで次のトレーニングで得られる効果を最大限に高めることができるのであれば、練習日誌がただの日誌ではないということも理解できます。

原稿用紙と鉛筆

書くことは鍛錬です

書けないと思い込んでいる人へ

「情報発信をしましょう」「ブログを書きましょう」と勧めると決まって返ってくる答えの一つが「文章を書くことができません」というもの。そんなことはないでしょう、義務教育を終えているのだから。単に思考を言語化する経験が少なかっただけで、書き続ければ慣れるはず。習うより慣れろです。一歩を踏み出した人はあっという間に成果に繋げますし、いつまでも行動しない人は変わらない現状を受け入れるしかありません。

書くことで思考は可視化されます。特に地方中小企業の経営者はビジョンを掲げて利害関係者に夢を見させるのが仕事。「わかってもらえているはず」なんてことは実際には通じなくて、繰り返し説いてやる必要があります。ビジョンを共有するためにも経営者こそ日々の思考を発信するべきだと思っています。かつて大企業に社内報があったように(今でもあるのかもしれないけど)、今ならグループウェアなどの場で経営者が言葉を発すれば良いのです。幸い、情報発信に掛かるコストは大きく下がりました。スマホ一台あればいつでも始めることができます。


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