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コラム

岡田道場とは

関与先の従業員さんと話す機会を「岡田道場」と名付けられていることを知りました。

従業員との対話

関与先の従業員さんとの対話の場を設けています。1回1時間。この頃はおやつを持参してくれるようになり、世間話をするように肩の力を抜いて向き合っています。といってもだらだらとおしゃべりをしているわけではなく、経営者と対話するのと同じような感覚でお話ししています。「例の〇〇の案件の進捗はいかがですか?」「最近困っていることはないですか?」「最近読んだ本や新聞について教えてください」といった感じ。私から何かを一方的にレクチャーするのではなく、できるだけ相手に話してもらうように促しています。

私としてはそれほどお役に立てている感覚は無かったのですが、どうやら好評のようでしばらくは継続することになりそう。もちろんその会社の経営者とも定期的に対話するようにしていて、従業員さんがどのように変化しているのかなどもお伝えするようにしています。

その従業員さんとの対話の場を、先方は「岡田道場」と勝手に名付けているようです。私はスケジューラーには「〇〇様、打合せ」とだけ入力しているのに。少し前に池波正太郎の剣客商売を読んでいたので、まるで剣術道場のようだなと思ってしまいました。

先方から継続して関与を求められるのは、私のように無形のサービスを提供している者にとっては何よりありがたいことです。次回も2週間後にまたお話しすることになっています。社外から刺激を与える存在として役割を果たしたいと思っています。

支援のための支援がはびこっている

先日、ある助成金について調べていたところ、申請書類を出すだけでは足りず、支援機関に所属する専門家の「支援」を受けることが要件になっていると知りました。経営者が求めてもいないのに専門家からの支援を受けなければいけないなんて、なんとも不合理な話です。まさに「支援のための支援」が行われているわけで、地方中小企業の経営者を食い物にしている支援ビジネスとでもいうべきものです。

私はそうした支援は絶対におこないたくないなと思っていて、必要がなければアドバイスをすることはありませんし、教科書に書いてあるような経営分析を押し付けることもありません。自分では当たり前のことだと思っているのですが、どうやら世間では必ずしも当たり前ではないようで驚くばかりです。

かつて家業の代表取締役を務めていた時に、銀行から紹介された経営コンサルタントのチームがSWOT分析について講釈してくれたことがありました。そんな内容は教科書を読めばわかること。「金のなる木が~」などと言われても困惑してしまうばかりでした。当時の家業に必要だったのは、取引金融機関の理解を得られる再建計画と売上を増やす具体策。教科書に書いてあるような経営分析を教えてもらうことなど、私たちは求めていなかったのです。

経営者や従業員と対話しているといっても、先生が生徒に対するような接し方をすることはありません。そんな態度を取ったらあっという間に嫌われるだけで、経営の実態や困りごとを打ち明けてもらえなくなってしまいます。社会に価値を提供する事業を営んでいることに敬意を持って接することが重要だと思っていて、そこには事業規模の大小や、従業員の数も関係ありません。たまに間違って「先生」などと呼ばれてしまう仕事だからこそ、自分の立場をわきまえて事業者と向き合いたいと思っています。

剣道の竹刀

次は池波正太郎の本を読もうかな

道場は鍛錬の場

さて、その岡田道場で話していた時のこと。ちょっと気になることがあったので、「新聞を読んでみたらどうですか」「図書館をうろうろしてみたらどうですか」と提案してみたことがありました。目先の業務ばかりに囚われてしまっているようで、視野を広げるきっかけを作ってもらいたかったのです。

経営者は売上や利益を追い求めてしまいがち。従業員さんにあえてそんな提案をできるというのは私の特権でもあります。次回会った時には目先の業務の話ばかりでなく、どのように情報をインプットするかについてなど話せたらおもしろいと思っています。

中小企業支援家といっても相手は経営者だけではありません。将来のある従業員さんと対話をできるというのは私にとっても貴重な機会です。そう考えると、岡田道場というのは私が鍛えられる場なのかもしれません。


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