地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

050-3557-7157

コラム

支援しないのも支援

中小企業支援家と称していますが、「支援しないのも支援」と考えています。私が支援しないことにしているケースについて書いてみます。

補助金の申請

補助金の申請を手伝うことは基本的に避けています。もし興味があるなら、自分が使えそうな補助金を検索して探し、要項を熟読するところから始めてみれば良いだけのこと。補助金を見つけられなかったり、要項すらも自分で読み解けなかったりするのであれば、そもそも補助金に手を付ける資格はありません。安直に補助金に頼ろうとする事業者に限って要項に目を通していないことがほとんどなのにはあきれるばかりです。「何か良い補助金はありませんか?」と尋ねられた時には、まずは自分で検索してみてくださいと伝えるようにしているくらいです。

もちろん例外はあります。事業運営上、どうしても補助金を頼った方がよいタイミングもあります。そんな時は私から「こんな補助金を使ってみたらどうですか」と提案しています。先日も顧問先の経営者から、私が提案した補助金に応募したところ無事に採択されたと連絡が入りました。額が大きめの補助金なので、補助金コンサルタントなどに頼っていたらかなりの手数料を取られていたことでしょう。使える制度ならばうまく使えば良いのです。ただし、自分たちで頭と手を動かすことが大事。補助金は天から降ってくるボーナスではありません。要項をよく読んで、適切に利用することが重要です。

ある時、特定の補助金の詳細について質問されたことがあります。そんなこと私が知るわけはありません。なんで事務局に問い合わせようとしないのかまったく謎です。丁重に事務局の連絡先をお伝えして、直接問い合わせるように促しました。私なんかに制度の質問をして間違った解釈などを伝えられてしまったらどうするつもりだったのでしょう。それだけ私が信頼されているのかもしれませんが、まずは事務局に問い合わせてより確実な情報を得るというごく基礎的な行動を取ってもらいたいのです。補助金が絡んでくるとこうした謎の事業者が発生しがちなのに困っています。

またある時には、普段は関わっていない経営者から雇用関係の助成金を申請する手伝いをしてほしいと頼まれたことがあります。会社の実態も把握していないのに、雇用関係の助成金を申請する書類に押印するなど怖いことです。自分で申請するためのポイントをいくつかお伝えし、丁重にお断りさせてもらいました。

必要とされていないのに支援を無理強いしない

事業者が支援を必要としていないのであれば、第三者が口を挟む余地はありません。経営を成功させるもさせないも経営者の自由。支援を用いないと決めるのも自由で、その時点で支援側の出番はなくなります。

この当たり前のことが理解できない専門家らしき人が多いのには驚きます。支援を必要としていないのに、支援制度を紹介しようとしたりしてしまうのです。「支援のための支援」を行おうとしているわけで、事業者に取っては良い迷惑です。支援制度などを押し付けようとするのは何より嫌われる行為です。必要とされていないのであれば、無理強いしない。当たり前のことですが私が心がけていることのひとつです。

夕暮れ時に手を繫ぐ2人

支援する側とされる側は対等です

支援しないのも支援

事業者の状況によっては積極的な支援をせず、距離を置くようにすることがよくあります。私が手取り足取り何かをレクチャーしたところで、実際の経営をするのは経営者であり、従業員です。遠回りすることも含めて貴重な学びの機会になっているはずで、訳知り顔にしたアドバイスが彼ら彼女たちの不利益になってしまうこともあるかもしれません。そう考えると、基本的には適度な距離を取っておき、ここぞという時に限って積極的なアドバイスをするくらいがちょうど良いと思っています。

経営者が私に依存してくることがあります。「資料を送ったので意見をもらいたい」「こんなトラブルが起こったのですがどう対処したらよいでしょうか」といった具合。私からしたらそれを考えるのが経営者の仕事でしょう?と思うわけです。希望に応えるのは簡単なことなのですが、ベタベタとした支援に陥らないように適度な距離感を取るように心がけています。「この資料を基にこうした施策を実行しようと考えている、岡田ならどんなことを考えるか」「こうしたトラブルが起きたのでこのように対応した、岡田ならどのように対応していたか」などと投げかけてくれたら、前向きな議論ができると思っています。


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています

amazon musicのバナー

Listen on Apple Podcasts

関連記事

TOP