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コラム

「紹介」について考える

中小企業支援に携わっていると、「〇〇をできる会社を紹介して欲しい」「△△社長と名刺交換したことがないので紹介して欲しい」などと求められることがあります。紹介について書いてみます。

企業間マッチング

先日、ある企業同士をお引き合わせしました。きっかけは私が協業のイメージを具体的に抱いたからで、どちらかの企業から紹介を求められたものではありません。「こういうことを志向しているのであれば、今度A社を紹介するのでお話ししてみませんか」と持ち掛けたものです。さっそく両社の担当者が顔合わせする場を設けて、初期的に協業を進めていくことができそうだと確認できました。今後の展開を楽しみにしているところです。

紹介という行為は非常に重い責任を伴うものです。関わる人の貴重な時間を費やすことになりますし、紹介側の「目利き力」が問われることにもなります。そのため、私は安直に企業間マッチングを実施することはありません。これだ、という確信を持てた時に初めて調整を始めることにしています。

闇雲に企業同士を引き合わせようと立ち回ると、「なんでこの会社を引き合わそうとしているのだろうか」「支援する側の実績づくりのために利用されているだけではないか」などと疑念を抱かせることになりかねません。両社の商売にプラスの作用をもたらす確信がなければ、怖くてマッチングなど言い出すことはできないのです。

経営者同士のマッチング

人同士のマッチングも同じ。企業間マッチングと同様に、お互いにプラスの作用が生まれるとイメージできた時に、両者を引き合わせるための具体的な行動を開始することにしています。経営者同士のマッチングで難しいのが人間の相性があること。事業内容の補完関係に確信が持てていたとしても、年齢や性格なども考慮しなければなりません。

ある時の経営者同士のマッチングで、うまくいかなかった事例がありました。日時を調整して顔合わせの場を設けたところ、片方の経営者が上から目線で滔々と話し出してしまいました。年齢に差のあるお二人だったので、年上の経営者として、まるで自社の従業員に対するかのように語り始めてしまったのです。「どういう事業をしているの?そうなんだ。僕にもそんな時代があったよ、がんばってね」といった感じ。「しまった」と思った時にはもう遅く、第一印象があまりに悪かったためにその後の協業が進展することはありませんでした。地方中小企業の経営者は一国一城の主です。相手より年が若かったとしても、初対面の同じ経営者に上から目線で対されてしまっては面白くないのは当たり前です。年下の経営者にも敬意を持って接してくれるだろうと考えていた私の調整不足が原因でした。

また、どんなに事業が優れていても、そして業績が良かったとしても、人格に疑問がある経営者を他者に引き合わせることはありません。ルールが守れない人や、他者を思いやれない人は怖くて紹介などできません。うかつな人を紹介してしまったら私の信用を損なうことになりますし、協業がうまくいかなくなったときにお互いに嫌な思いをしてしまうかもしれないから。私のこだわりです。

ビジネスパーソンが握手をしている様子

「紹介」するという行為は重いものです

安易に紹介してくれと言ってくる人は要注意

中小企業支援に携わっているとそれなりに人の繋がりが生まれるものです。注意しなければいけないのが、その繋がりにただ乗りしようとする人が現れること。

「トラブルを抱えているので〇〇士を紹介してください」「起業しようと考えているので、〇〇社の経営者を紹介してください」といった感じでやってきます。私からしたら、その前に自分が何者かをまず丁寧に説明してくださいと言いたくなります。そうした人物に限って自分のことは満足に語りたがりません。十分な情報なしに誰かへ紹介するなんて、私からしたらリスクでしかないのです。

検索したらほとんどの情報が得られる時代に、人を介して繋がろうとするのはお互いに覚悟が求められる行為です。ただより怖いものはない、という言葉があるように、紹介もまた怖いもの。その責任の重さを理解している人ほど、安易に誰かを紹介してくれなどと言い出すことはないように感じます。

私の中では「紹介してくれ」と言ってくる人はそれだけで要注意扱いにすることにしています。


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