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コラム

新しい仲間を迎え入れる準備

新年度を迎えて、職場に新しい仲間を迎え入れている会社も多いことでしょう。どういった準備が必要かを書いてみます。

なぜか存在する冷たい前任者

多くの地方中小企業に関わっていると、新しい仲間を迎え入れるのが下手な会社というのが存在することに気づきます。新人を初日から何をすればよいかわからない状態にしてしまうというのが最も多いように感じていて、引継ぎも無ければマニュアルも無いということも。せっかく新しい職場で頑張ろうとやってきた人も、必要とされていないと感じてしまうとたちまち心を病んでしまいかねません。

ある会社のある部署は慢性的に人手不足でした。会社がその要因を把握できていないというので、私がそれとなく見守ることに。しばらく観察していてわかったのが、新たにやってきた方へ冷たく接しているということ。新人から何かを尋ねられても「それは私の担当じゃないからわからない」などと対応しています。周りの人もそれをフォローするでもなく、黙々と自分の仕事をしているだけ。表面上は問題ない風景のように見えますが、新人からしたら途方に暮れてしまうであろう場面が散見されました。

私からアドバイスしたのは、新たにやってきた人へのリスペクトを忘れないように立ち居振る舞うこと。社会人であるならば当たり前のことです。「配属されたのだから最初から仕事ができて当たり前」などという考えでは退職者が相次ぐだけです。去る人は当たり障りのない理由を述べて退職していくので、仲間へのリスペクトの欠如がボトルネックにあるとは経営者は想像していなかったよう。人手不足だからといって新たに採用した人材に媚びる必要はありませんが、同じ社会人としてお互いに敬意を持って仕事をするようにしたいものです。

私が経験した不合理な取り扱い

私がある関与先にやってきた初日のこと。3時間ほど前任者との引継ぎという名目の打合せがありましたが、資料など通り一遍のもので実務をどのように進めるかのヒントはゼロでした。さて困ったなというのが率直な感想。恐ろしいことに名刺は処分されていたか持ち去られていて、前任者のメールも確認することができません。まったくの手探りの状態から関与を始めるのはそれなりに厄介なことでした。幸いうまく溶け込むことができたものの、初日を終えた時にはこのままやめてやろうかとも考えたものです。

また、別の関与先に迎え入れられた時のこと。担当者が最初から斜に構えていて、やりにくいったらありませんでした。私がやることを終えて、毎日さっさと帰宅するのも面白くないよう。後から考えると、どうやら私の処遇や業務内容に嫉妬していた様子。さらには私が生み出した成果に対してもやっかまれるようになってしまい、最も支えてもらいたい立場にあった担当者を排除しなければならなくなったのは笑い話みたいでした。

どこの会社にも人格が破綻している人物というのは存在するものです。本人が機嫌よく過ごしている時には何も起こらず、退職や異動を余儀なくされたときなどに周囲を巻き込んだ問題が顕在化することになります。そうした人物は排除するしかないというのが私の考え。説教して悔い改めるのは小学生までです。不合理な取り扱いを受けたら、立ち向かっていくように心がけています。

バラなどの花束

新人に媚びる必要はありませんが敬意を持って接しましょう

経営者は新人に何をするべきか

会社に新しい従業員を迎え入れた時、経営者は何をすべきでしょうか。私は夢とビジョンを語るべきだと思っています。

家業の代表取締役を務めていた時に、十数年ぶりに新卒採用を再開したことがあります。業績悪化を理由に採用を止めていたものを、会社の文化を受け継ぐためにも再開しなくてはならないと決めたものです。

その時に私が心がけていたのが、苦しい状況は率直に伝えつつ、夢とビジョンを語ることでした。元からいる従業員には気恥ずかしくなるようなことでも、新人相手には臆さずに語ることができました。長ければ数十年を一緒に過ごすことになるのですから、事業を営んでどんな夢を実現したいのかを語るのは経営者の責任だと考えたのです。

残念なことに、その後まもなく家業を投資ファンドに事業譲渡し、私は会社を去ることになりました。残った彼女たちが活躍してくれていることを祈っています。


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