地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

050-3557-7157

コラム

独立開業後の社会保険について考える

独立開業後に悩まされることの一つが社会保険への加入をどうするか。法人を設立して社会保険に加入するか、個人事業主として国民年金+国民健康保険にするか。雇われる立場からの独立開業の場合は、任意継続被保険者という選択肢もありますが、その経過措置も2年が限度です。独立開業後の社会保険について考えてみます。

任意継続制度に2度救われた

私は任意継続被保険者に2回なっています。一度目は家業の代表取締役を退任した後の2年間。代表取締役としての報酬が従業員よりは多かったので、任意継続被保険者としての保険料が割安に感じられ助かりました。退任のタイミングは投資ファンドに事業譲渡する時期でもありました。会社の退職手続きで手厚く支援されることもなく、いろいろ不安を感じたことも憶えています。そういえば最終出勤日の退勤時も、秘書ひとりだけが見送ってくれましたっけ。話が逸れましたが、第二の社会人人生をどう歩もうか考えている時期には、社会保険料の負担はできるだけ抑えたいもの。任意継続制度のありがたさを実感した2年間でした。

二度目は明日で満期を迎えるのですが、行政の外郭団体に雇用されていた後の2年間。協会けんぽの任意継続被保険者として、前回と同じくそれまでもらっていた報酬が多かったので、割安な保険料で社会保険に加入することができていました。雇用契約書を交わして労働法で手厚く保護され、月々の給与明細をもらい、社会保険にも加入させてもらえるのは雇われる立場の特権でもあります。家業を離れた後にまったく地縁のなかった勤務先で伸び伸びと働かせてもらい、同時に守られる安心感を実感する日々でした。退職後も任意継続被保険者として協会けんぽに加入でき、ありがたかったです。

その任意継続被保険者の標準報酬月額の上限が、令和5年4月1日以降に加入した人からは撤廃されているそう。今では退職時の報酬に基づいて任意継続保険料が決まるようになっているそうで、私がこれまで制度の恩恵を受けられたのは幸運でした。

4月からは国民健康保険に

さて、4月からは国民健康保険に入ることにしました。健康保険等資格喪失証明書が届き次第、住んでいる福岡市の手続きを行うことになります。最近ではオンラインで加入手続きができるよう。年度初めの平日に窓口に出向く必要がないというのは助かります。

保険料はどうやら爆上がりする模様。福岡市では「国民健康保険料の計算方法」というウェブサイトがあって、シミュレーション用のExcelシートをダウンロードすることができます。何度も計算してみましたが、どうやらしっかりと上限値になってしまいそう。こればかりは受け入れるしかありません。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/kokuho/hp/seido/06-02.html

支払い原資はすでに確保していて、確定申告後に還付されてきたもので支払っていきます。自営業者の月々の売上から(かなり)多めに源泉徴収され、申告後に翌年の納税資金が戻ってくるといった感じ。よくできた制度だなと理解することができました。

福岡市役所の外観

オンラインで手続きできるのは助かります

社会保険料節約スキームには要注意

いろいろ調べていると、最近は個人事業主の社会保険料を「節約」すると謳うサービスが散見されます。法人の理事に名を連ねさせる形式を利用するものなど、一見、合法的に社会保険料の支払額を削減することができるように読み取れてしまいます。

ただこうしたサービスは、いずれも法律が想定していない状況をうまく利用しているだけの「脱法」サービス。いずれ遠くない将来に、法律の抜け穴は塞がれることでしょう。その時に思わぬ不利益を被ることもあり得るわけで、安易な利用は避けた方がよいと考えています。特に士業など個人の信用を事業の基盤に置いている人は、こうしたサービスに名を連ねているというだけで周囲からの評判を落とすこともあり得ます。活動の実態に乏しい一般社団法人の理事に名前を連ねるなんて、私には怖すぎます。他にどんな人が利用しているかもわからず、仮に反○の人も名前を連ねていたら、、、。一発で終わりです。

社会保険料は確かに負担感の大きな支出です。できるだけ支出を減らしたいというのは誰もが持っている本能ではありますが、法律で定められている支出である以上、気持ちよくさっさと支払ってしまうに限ります。私はこれまで健康保険の任意継続制度に合計4年間助けられてきました。4月からはこれまでのお返しをするような気持ちで国民健康保険料(の上限額!)を支払っていきます。


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています

amazon musicのバナー

Listen on Apple Podcasts

関連記事

TOP