士業マーケティング 後から振り返ったら簡単にできていたこと
もうすぐ4月。年度初めから独立開業しようとする士業の人もいることでしょう。独立開業直後には難しいと思っていたことでも、後から振り返ってみたら実はなんてことなく実現できることもあります。
情報発信
情報発信をしようとする人は多いものの、継続できている人はほとんどいません。日々の業務に忙殺されて時間が取れないのか、独自のコンテンツを作り出すことにつかれてしまったのか。ただ、私の場合は気が付いたら670日以上も連続でブログを更新し続けています。今では日々の習慣になってしまっているので、それほど負担感を感じることなく書くことができています。
情報発信を継続できている理由のひとつは、最初にルールを決めてしまったからだと考えています。一度始めたらルールに従って続けるのみ。自分に例外や言い訳を許すことなく、淡々と発信し続けるのです。私が自分に課したルールは、①365日毎日書く、②その日の記事はその日に書く、の二つ。愚直にこのルールを守ることで、特に難しく考えることなく独自のコンテンツを生み出すことができています。
ブログでも動画でもポッドキャストでも、日々の発信量が少なかったとしても、継続することでコンテンツが資産として蓄積されていきます。私のブログであれば1記事だいたい1,700文字くらい。原稿用紙にしたら4枚ちょっとの分量です。でも670日続ければ114万字近いボリュームになるのです。始めた当初はまったく効果を感じられないのは当たり前でも、発信が蓄積されていけば徐々に成果に結びつくことは間違いありません。成果を体感できるまで我慢して継続できるかどうかが試されるわけで、最初から何かを期待せずにまずは一歩を踏み出して欲しいです。ふと振り返った時には多くのコンテンツが蓄積されていて、発信したコンテンツに触れた人と仕事のつながりが生まれていることでしょう。
最初の案件を受注する
私が開業社会保険労務士として最初に受注した業務は、障害年金(精神の疾患)の請求手続きでした。ただ、この業務は積極的に受注しようと営業したものではありません。ボランティアで障害年金についてレクチャーする活動をしていたら、セミナーを聴いていた方からどうしても手伝ってほしいとお願いされたもの。営業するつもりなんかこれっぽっちもなかったのに、期せずして最初の案件を受注することになってしまいました。
独立開業した直後は、最初の案件を受注したいと気が急いてしまうかもしれません。でも「売上を作りたい」という気持ちが前に出れば出るほど、見込客は引いてしまうものです。ご縁が繋がればいいやくらいの気持ちで営業を続けていれば、自然と最初の案件は飛び込んでくることでしょう。
念のためですが、「営業」をせずに案件が飛び込んでくる可能性は低いです。私の場合は後から振り返れば、ボランティア活動が営業の代わりになってしまっていたわけです。汗をかかずに仕事が天から降ってくることなどなく、近隣への挨拶やポスティング、ボランティア活動などのドブ板営業を地道に積み重ねておくことが必要です。
メディア掲載と講演
士業の中には講演活動をしたいと願う人がいるようです。ただ、独自の背景とコンテンツがなければ声がかかることは難しいでしょう。私の場合は、「江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した」という稀な経験があったために、声を掛けてもらえるようになっただけ。自分で営業して、思うように得られる仕事ではないと痛感しています。
きっかけは2015年に日経ビジネスの取材を受けたこと。この時、取材を断っていたら、その後のメディア掲載や講演の仕事は得られなかったことでしょう。そもそも中小企業支援家に転身することもなかったかもしれません。恥を忍んで自分の体験を話そうと決めたことが、その後の講演や別媒体の取材に結びつき、さらには履歴書や職務経歴書を補完してくれる貴重な資料を得ることに繋がりました。
こうした士業の状況を逆手にとってやってくる、取材ビジネスや自費出版ビジネスなどの営業に惑わされないようにしたいものです。特に取材ビジネスには要注意。わけのわからない媒体に取り上げられた実績がインターネット上に残ってしまうと、知名度アップどころか評価を下げることになりかねません。
メディア掲載や講演の仕事というのは、他の誰にもない独自の背景とコンテンツがあって初めて依頼が生まれるもの。後から振り返ったら、「そういえば受注できていた」くらいがちょうど良いのでしょう。
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