下調べしないで営業してくるな
だいぶ前に語学教材の営業電話がかかってきたことがあります。適当に切ろうとしたところ、「切らないでください!」と懇願されてしまい、その後しばらく雑談に付き合いました。その担当者は営業電話をきちんと掛けているか誰かに見張られていたようで、営業実績よりも電話を掛けることが目的になってしまっていました。押しつけがましい「営業」について書いてみます。
定型文のみの営業メール
新年度が近いせいか、営業メールを立て続けに受信しました。共通しているのはいずれも定型文と思われることで、微妙にピントが外れています。具体的には「協創の余地を共に検討したい」とか、「代表者様にサービスを説明したい」といった感じ。
「協創」なんて言葉を私は知りませんし、手元の辞書にも載っていません。もっともらしい言葉で営業色を薄めようとする魂胆が透けて見えてしまいます。また誰が対応するかはこちらが決めることで、代表者を出せなんて指定される筋合いはありません(私が代表といえば代表ですけど)。この時点で押し付けがましさに満ち溢れていて、げんなりしてしまいます。
また、メールのCcには数名のメールアドレスが記載されていて、どうやら上司や管理職に監視されているのでしょう。営業メールのCcに誰だかわからない人物が入っているというのも、向こうの都合ばかりが目につく感じで不愉快な気分になってしまいます。「誰と誰にも同報しております」などと一文を入れろよと思ってしまうのは私だけでしょうか。
メールで営業するのは電話や飛び込みと違って敷居が低いのでしょう。確実に相手にすべての文面を届けることができますし(読まれるかどうかはともかく)、面と向かって邪険に扱われることもありません。でもだからこそ、手を抜かずに相手の気持ちを想像して送信ボタンを押してもらいたいものです。メールといえども一読するのに時間を取られるわけで、さらに返信までしてしまうとますます手間を掛けることになってしまいます。適当な営業メールをもらうくらいであれば、下調べを十分にしたうえで電話を掛けてもらった方がうれしいです。
提案書を送るように返信したら連絡が途絶えた
さて、こうした営業メールに念のため返信すると、こちらがどういう組織かまったく情報がない様子が伝わってきました。「お会いして教えてもらいたい」などとさらに返信してくるのには呆れてしまいます。どこのどんな相手に営業しているのか把握していないということです。メールだからさらっと書けてしまえるのでしょうが、これが対面だったら果たして同じことを口にできるかどうか。飛び込み営業をして、「どんな事業を営んでいるか教えてください」なんて言われても、まともに相手をする会社があるとは思えません。
どうやら、メールのやり取りの雰囲気から、まだ社会人経験の浅い人が営業をやらされている様子が感じ取れます。おそらく100件とか200件のリストを元に同じようなメールを送って、そのうち数件でもアポが取れたら良いのでしょう。しかし、そんな営業の練習相手に利用される方はたまったものではありません。この手の中身のない営業にはうんざりしています。
「協創」したいと連絡してきた会社には「それでは具体的な趣旨やメリットを記載した提案書を送ってください」と返信しました。返信してもらえただけありがたいと思うのですが(私からしたらヒントを出してあげているくらいのつもりです)、その後ぱったりと連絡は途絶えました。提案書を作ってまで営業しようとは考えなかったのでしょう。自分たちの都合だけをメールに書いて、あわよくば商売に繋げられると思ったら大間違いです。
大手のグループ企業であることを謳う
最近届いた2通の営業メールにはどちらも日本を代表するような企業との繋がりが仄めかされていました。
最初の一通には「〇〇Gr(グループの略と思われる)」と書かれていて、さらには「株主には、国内の洋々な大手企業・団体を抱えております」とのこと。ちょっと意味がわかりませんが、その会社自体の名前は有名でなかったとしても大企業がバックについているとイメージさせたいのでしょう。もう一通には「〇〇グル-プの××部門の関連会社」と自己紹介のように記載があります。
だからなんだというのが第一印象で、それよりも知りたいのはその会社と付き合うメリットがあるのかどうか。そんなことを考えさせてしまう時点でメリットなどなさそうな気がしてしまいます。
営業をするななんて言うつもりはまったくなくて、逆に私の関与先には「ドブ板営業をしろ!!!」と連呼しているくらいです。ただ、営業には最低限のマナーや掛けるべき手間というものがあって、そうしたものを端折りたいと考えるようであれば、安直な営業らしき行為は逆効果をもたらしてしまう可能性があります。
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