知人が2人、独立開業する
もうすぐ4月。知人が2人、この春から独立開業することになりました。
資格試験に合格してすぐに独立開業
ひとりは家業の元従業員さん。資格試験に合格し、さっそく独立開業することに決めたそうです。現在は事務所の物件探しに奔走中だそう。すでに営業活動には取り組んでいる様子で、最初の一件を受注するのもそう遠くない日になりそうです。試験をゴールにしてしまうのではなく、その後の営業活動に愚直に取り組む姿は多くの同業者の参考になると思います。
私も社会保険労務士の試験に合格していますが、資格試験に挑戦する過程は苦しいものです。周りがみんなしっかりと勉強しているように妄想しがちですし、何より勉強時間の確保に苦労しました。家業の代表取締役を務めながらの試験勉強でしたので、夜の飲み会を終えてから、酔っ払ったまま勉強机に向かったことも何度かありました。一度サボってしまうとすべてが失われてしまうような恐怖感は試験勉強ならではの感覚です。
私の場合は合格したからといってすぐに独立開業するつもりはまったくなく、将来の備えになるかなと思って挑戦したもの。「すぐに転職するために資格が必要」「年収アップを実現するために資格を取る」などという目標はなかったので、当初は自分の中でモチベーションを維持するのに苦労したこともありました。それでも合格まで走り続けることができたのは、中途半端に終えたくなかったから。直前期は勉強部屋を借りてまで問題演習に取り組んでいました。勉強部屋の外から聞こえてきた祇園祭のざわめきはなかなか風情のあるものでした。
第二、第三の社会人人生を歩もうとする人にとっては、資格というのは強力な武器になり得るものです。資格だけで何かが約束されるわけではありませんが、少なくとも武器にはなってくれます。資格を取った後にはしっかりと営業活動に取り組み、顧客に価値を提供して利益を得てもらいたいと思っています。
何年も準備をしてきて、いよいよ独立開業
もうひとりは何年も準備をしてきて、ついに勤務先を退職し療術業で独立開業するそう。以前からさっさと独立開業するように勧めてきたのですがなかなか準備が整わず、この春にいよいよ決断することになりました。すでに店舗の準備もできていて、ネット回線を引いたり細々とした準備に忙殺されているそうです。今が一番楽しい時期なのかもしれません。彼の施術の確かさは私も体感しているところで、きっと多くのお客さんで店がにぎやかになることでしょう。
独立開業のタイミングの正解は誰にもわからないものです。私のような第三者からしたら、どうせ独立開業するつもりならさっさと挑戦して少しでも早く売上を作った方が得策だと考えてしまいます。もちろん、人は毎年1歳ずつ歳を重ねるわけで、いずれ必ずするであろう挑戦をするなら、早い方が良いということもあります。
創業に関する相談を受けていると、そもそも創業をすべきかどうかについて相談を持ちかけられることもあります。そんな時の私は「やりたいならさっさとやったらどうですか」と基本的に答えるようにしています。冷たいようですが、一歩踏み出すかどうかの最終決断は本人しかすることができなくて、であるならば私ができるのは何かに挑戦したい気持ちを大事にして決断するように促すことです。
人生の主導権を握る
創業支援というと補助金について尋ねてくる人が一定数います。そうした人に言っているのは、「検索すればわかることを尋ねてくるようなら創業は向いていませんよ」といった感じのことです。もちろんお叱りを受けないようにマイルドな表現にしますが、大きな意味は変わりません。
私が一から十まで補助金や支援制度をレクチャーすることなどなくて、調べ方のヒントは提示しますが、後は自分で納得のいくまで調べてもらいたいのです。人生をかけた挑戦であるのであれば、安直に誰かのアドバイスに頼るのではなく、自分の手足を動かして一歩ずつ進んで欲しいと願っています。
実際に「パソコンが使えないから調べられない」「役所で聞いたけれども理解できなかった」という方もいらっしゃいます。率直に言って、そうした人は創業はやめておいた方がよいでしょう。パソコンが不得意なのであれば習えば良いですし、誰かに説明されても理解できなかったのであれば手を出さない方が良いです。
創業は必ずしも全員が成功するものではありません。成功談ばかりが目に付きますが、失敗して苦労している人もいます。「プチ起業」だとかといった言葉は良くないなと思っていて、そんな姿勢でどれだけの人が思っていたような自分になれているのかは疑問です。誰かの言葉に踊らされることなく、自分の人生については自分で主導権を握りましょう。
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