地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

業績が悪化した地方中小企業の経営者が取るべき行動

先日の新聞記事によると倒産件数が増加傾向にあるそう。株価は上昇していますが、必ずしもすべての企業が恩恵を受けているわけではありません。業績が悪化した地方中小企業の経営者の行動について書いてみます。

企業倒産2月、23%増の712件
日本経済新聞 電子版 2024/3/9
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79109260Y4A300C2TB0000/

資金繰り予測表を作成する

漠然と「業績が悪化した」といっても、何がどうなっているか理解できなければ対策も検討できません。まずは資金繰り予測表を作成して、いつ資金が尽きそうなのかを把握する必要があります。細かい資料よりもまずは財布の中身の現金を数えましょう、ということです。

中小企業支援に携わっていると、この資金繰り予測表の重要性を理解していない人が多いことに驚かされます。経営者はもちろん、支援する側にも資金繰り予測表を見たことも聞いたことも無いという人がいるのです。ざっくり言えば、資金繰り予測表は会社のカネの出と入りを記入するもの。今後数か月の資金の出と入りの予測を可視化することで、今のままの商売で問題ないのか、残念ながら資金の尽きるタイミングが近づいているのかを把握できるようになります。

経営者から経営が悪化していると相談を受けた時に、私はまず真っ先に資金繰り予測表を作ってみるように促します。そうした経営者に限って数字で自社の状況を伝えることができないので、まずは手を動かして数字を自分事にしてもらいたいのです。

経費を削減する

資金繰り予測表で危機の状況を具体的に把握することができたら、まずは経費の削減余地を探ります。資金が尽きそうな緊急事態に置かれている会社が真っ先に経費を削減するのは、実行すればするだけ資金の減少を食い止めることができるから。それまで漫然と支出していた経費を減らすことができないかを検討してもらいます。

平時であれば、経営者などへの報酬はしっかりと支払っておくべきでしょう。成果に見合った報酬を支払うべきという視点の他に、危機が訪れた時に資金を拠出してもらうためでもあります。特に株式を持つオーナー経営者は、誰かに助けてもらおうとするのであれば、率先して報酬を減らしたりして身を切る必要があります。

私が家業の代表取締役を務めていた時は業績が悪化したことに伴って役員報酬を減らしましたし、事業の運営に必要な土地を保有していた親族への賃料支払いを削減・停止したことがあります。取引銀行に支援してもらうのであれば、まずは自助努力を示す必要があったからです。親族などが関係している支出を減らすというのはいろいろとややこしいことになりかねませんが、それもこれもすべては事業を存続させるためには必要なことです。

ある会社では本社の移転を提案したことがあります。複数拠点で事業を営んでいたのを、この際、ひとつの拠点にまとめて経費削減と経営の一体感を高めようと考えたのです。危機に直面して思考を停止したところで何も事態は改善しません。ピンチをチャンスに変えられるような発想ができれば、危機を乗り越えることができると信じています。

パソコンを開いて会話するビジネスパーソン

従業員にはすべてを伝えましょう

状況の共有

経営者一人で悩んでいてもどうにもなりません。従業員にも状況を共有し、共に危機を乗り越えるように訴えかけましょう。地方中小企業の経営者に多いのが、従業員に事態が悪化していることを伝えたがらないタイプ。「取引先に伝わったら信用に関わる」「退職者が発生したら困る」「話しても理解できないだろう」というのがお決まりの言い訳です。他にも「従業員から経営責任を追及されたら、、、」なんて考えている経営者もいるかもしれません。

地方中小企業で業績にまつわることを隠し立てしたところで、そのうちに広まってしまうのは防ぎようがありません。経営者が考えている以上に、従業員ははるかに意識高く働いてくれているものです。であるならば、さっさと状況を共有してしまった方が得策。特別に機微に触れること以外はさらけ出してしまえば良いのです。

最悪なのは会社が窮境に陥っている事態を伝えずに、ボーナスも含めてこれまで通りに処遇し続けること。その間、経営者は偽りの安らぎを得られるのかもしれませんが、事態が根本的に改善されることはありません。危機を乗り越えようとするのであれば、志を同じくする仲間を増やすことです。従業員を信じてすべてを伝え、全社で緊急事態モードに移行して危機を乗り越えましょう。


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