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コラム

士業マーケティング 経営者と対話する時に踏んではいけない地雷

中小企業支援家として活動しているので、日々、地方中小企業の経営者と対話する日々です。私自身も経営経験があるので、経営者と対話する際に気を付けている点がいくつかあります。経営者との対話というと身構えてしまう人もいるかもしれませんが、「踏んではいけない地雷」さえ押さえておけば恐れることはありません。経営者との対話について書いてみます。

否定から入らず、否定で終わらない

専門家らしき人に多いのが、経営者の言葉をとにかく否定してしまうこと。ダメ出しばかりで生産的な提案がなく、言葉を発した方は何かを指摘してやったという満足感を得られるのかもしれませんが、経営者からすると何も得ることができない時間だけが過ぎていきます。

私が家業の代表取締役を務めていた時、公的な支援機関に相談に出向いたことがあります。すでに事業が窮境に陥っていたので、これまで関わってこなかった専門家から何か新しいヒントでも得られないかと考えたのです。結果は時間の無駄でした。「経費を掛けすぎている」「人件費を支払いすぎている」といった問題点を指摘するのみで、売上アップに結びつくようなヒントが得られることはありませんでした。この時の経験が中小企業支援家に転身するきっかけにもなったのですが、当時の私はとてもがっかりしたのを今でも鮮明に覚えています。

経営者に媚びる必要はありませんが、なぜ対話に至ったのかに思いを馳せるべき。ダメ出しだけをされるために専門家らしき人と会おうとする経営者がいるわけもなく、将来に向かって何らかのヒントを得たいから社外の第三者と会う時間を作っているはず。特に対話の最初と最後が重要で、頭ごなしに否定することから始め、最後を否定で締めてしまうのは避けましょう。まずは現状を一緒に受け止め、危機感を共有するところから始め、もちろん意見すべきは意見しつつ、最後は前向きな言葉で終えましょう。

もうひとつ付け加えると、経営者が話している最中に口を挟まないこと。つい途中でコメントしたくなることもありますが、そこは我慢が必要です。どんなに拙い言葉であっても最後まで吐き出してもらい、その後、対話を続けるのです。面白いことに、話を最後まで聞くだけで感謝されることもしばしばあります。それだけ言葉を受け止めてもらえないことが多いのでしょう。

目を見て話す

カタカナ語を駆使する専門家らしき人に多いのが、ノートパソコンの画面を開きながら対話しようとする人。目も合わせずにパソコンでメモを取ることに夢中になりがちで、メモのための対話になってしまうこともしばしば。経営者の本音を引き出そうとするのであれば、ノートパソコンはカバンにしまって、目を合わせて対話をするようにしたいものです。

私が経営者と対話する際に用いているのはA5版のリーガルパッドと万年筆。アナログな道具ですが、経営者の言葉を聞き漏らさずに対話を進めるには欠かすことのできない道具です。個別相談やコンサルティングというと「こちらが経営者の話を聞いている」と思いがちですが、経営者も対話相手を見定めようとしています。自分の視線を適度に相手に合わせて、相手の視線を受け止めるように心掛けましょう。

会社の商談スペース

今日も経営者と対話してきました

守秘義務・秘密保持契約を厳守する

当たり前のことですが、経営者と話した内容は対外厳秘。私もこのようなブログを書いていますが、守秘義務については人一倍気を遣っているのは当たり前のことです。多少のフェイクを交えて、何かが特定されることの無いように配慮しています。

経営者との対話は商売についてだけでなく、知財や家族の話に及ぶことも多々あります。経営者本人が気づいていなくても重大な機密に言及されていることなんてよくある話で、こちらも心して耳をそばだてる必要があります。ある時は家族の犯した犯罪について聞かせてもらったこともあります。身内の恥をさらすまで信頼してくれたのでしょうが、なんと返せばよかったのか困ってしまいました。

対話内容を記録に残す際には微妙な事柄は記載しない方がよいでしょう。私も相談記録は付けていますが、あまりにシビア内容などは「~のため記録せず」と記載するようにしています。


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