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コラム

まったく関係のない会社のプレゼンを聞いて勉強になった話

先日、これまでまったく関係のなかった会社のプレゼンを聞く機会がありました。プレゼンについて考えてみます。

何を目的としたプレゼンなのか

ある技術系の会社のプレゼンを聞く機会がありました。数社が各15分ずつプレゼンをし、その後15分の質疑応答。研究テーマの社会的意義や今後も研究を続けるにあたって明らかになっている課題などを発表していました。

その時に感じたのが何を目的としたプレゼンなのかがイマイチわからない会社が多かったこと。もちろん事前に関係者には書類が回っているので、改めて言われなくてもわかっているのですが、プレゼン内で何を目的とした発表であるのか定義して欲しかったのです。プレゼンの機会を何に結びつけたいのかがとっさにわからず、「今日は何のためのプレゼンだったっけ」と思わず確認してしまいました。例えば、補助金に申請していて採択されるためなのか、公募に手を上げていて選ばれるためなのか。このゴールを明確に提示しないとせっかくのプレゼンもぼやけてしまいがちです。

ゴールが定まっていれば、プレゼンの最後も自ずとくっきりとしてくるはずで、「ということなので、ぜひ採択してもらいたいです」「採択してもらえればこういった価値を社会にもたらすことができるのでぜひ応援してください」などと締めることができます。今回のプレゼンではいずれもダラダラとした発表が続き、最後もうやむやのうちに終わっていたのがもったいないなと思いました。

もうひとつ気になったのが、スライドを使っているのに文字情報ばかりが目立ったこと。事前に配布される資料が文字情報なのは当たり前だとしても、せっかくの対面で話す機会なので画像・音声・動画などを駆使して伝える努力をして欲しかったなと思いました。特に動画はプレゼンに有効で、うまく使えば会場の雰囲気をぎゅっと引き締めることが可能です。私も講演やプレゼンの冒頭には数分の動画を流すようにしていて、会場の集中力をぐっと高めることでその後の話しやすさがずいぶんと変わってくるのを体感しています。

質疑応答で問われる質問力

出席者の質問力というのも重要で、プレゼンを聞いている立場だからと妙に突っかかるような質問ばかりしてしまうのは考え物です。技術系のプレゼンだったというのも影響しているかもしれませんが、今回も質問というよりマウントを取るような発言に終始する人がいて残念でした。プレゼンの場では実は質問力というのも問われているわけで、何か勘違いして発表者を圧迫するようなコメントをしてしまうというのは、質問者の至らなさを明らかにしてしまいます。

質疑応答で質問する側になった時、私が心掛けているのは質問を通して応援することです。足を引っ張るような質問をする意味がわからなくて、反対にせっかくのご縁なのだからプレゼンで物足りなく感じた部分を補足してもらうようにしています。例えば、販売戦略が弱いなと思ったら、「顧客について少し言及されていましたが、これまでどういった反応を得られたかさらに教えてください」といった感じ。勘の良い発表者であれば「あ、この質問はフォローの機会を与えられたな」と気付き、回答の機会を上手に利用してくれます。

プレゼンの場では質問力も問われます

プレゼンの場では質問力も問われます

時間を守れないのは印象が悪い

プレゼンというのは持ち時間を事前に定められています。率直に言って、時間を守れない発表者は論外。練習不足だなと思いますし、何より時間泥棒だと考えてしまいます。定められた時間があるのだからなぜ守れないのかがまったく意味不明で、今回も数社が持ち時間を大幅にオーバーしていました。時間を守って発表していた人が馬鹿を見ることになりかねず、事務局も毅然とした対応が必要だったのではないかと思います。

私が転職の際に面接を受けた時のことです。確か5分くらいの持ち時間で、自己紹介をしてくれとのことでした。パワポを使っても良かったのですが、短時間ですので口頭だけにすることに。前日にホテルで繰り返しブツブツと練習した際に気を遣ったのは時間内に収めることでした。競争相手と同じ条件下でどれだけ自分の可能性を信じてもらえるかどうかが勝負なわけで、そもそも時間を守れないような人間は信頼されないと考えたのです。もちろん本番は時間ぴったりに終了。当たり前のことなのですが、どうやら世間では必ずしも時間を守れる人ばかりではないようです。

今回は久しぶりにプレゼンを聞く立場で参加させてもらえて勉強になりました。今までご縁のなかった会社の研究開発について教えてもらえるというのは貴重な機会で、中小企業支援に携わっている利点でもあります(もちろん守秘義務が課せられています)。またここまで書いたように、プレゼンのあり方についてもいろいろ再確認できたのは思わぬ収穫でした。たまには他の方の発表を聞くというのも新鮮な体験ですね。


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