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コラム

士業マーケティング 顧客課題を解決することが最も重要

「顧客課題の解決」があらゆる商売の基本です。士業も例外ではなくて、誰かの困りごとを解決して初めて報酬を得ることができます。

ボランティアで就労移行支援事業所などを回っていた

中小企業支援家に転身する前、ボランティアで就労移行支援事業所などを回って、障害年金を自分で申請するための知識を伝えるセミナーを開催していたことがあります。ただでさえ障害年金を請求するというのはなかなかやっかいな書類仕事であるのに、ケガや病気を抱えている人にはさらに困難な作業になります。父親の障害年金を請求したことをきっかけに、私なりに請求の勘所を掴むことができたので、ちょうど当時、時間を持て余していたこともありボランティア活動に取り組むことにしたのです。

このセミナーは自分で事前に考えていた以上に好評で、就労移行支援事業所などにDMを発送したところ、おもしろいように開催依頼の連絡が舞い込みました。一般的なDMと比べたらはるかに高い反応率で、首都圏エリアであってもそれだけ困っている人が多い分野なのだなと実感しました。

特に精神の疾患をお持ちの方は困り果てている人が多かったようで、セミナー受講をきっかけに私に仕事として依頼してくれる人も現れるほど。申し訳ないなと思いつつ、報酬を払ってでも任せたいと言ってもらえたので請求手続きをいくつか手掛けることになりました(請求に至った案件はすべて障害年金を受給できました)。

顧客課題を解決するのが商売であると学んだ

この時に改めて体感したのが、商売というのは誰かの困りごとを解決するものであるという大原則。顧客課題を解決して対価をいただくというのは考えるまでもなく当たり前のことなのですが、家業の茶わん屋しか知らずに社会人人生を歩んできた当時の私にとっては新鮮な出来事でした。

その後、まもなく中小企業支援家に転身した私は地方中小企業の経営者や創業を志す人との対話を繰り返すようになります。社会保険労務士の登録は残していましたが、障害年金関連のボランティアや業務を手掛けることはなくなりました。今でもたまに問い合わせをいただきますが、時間を割くことができないので申し訳ないと思いつつお断りしています。

もし私が社会保険労務士業務に集中するのであれば、また以前のように障害年金に特化して業務を行うことになるだろうと思います。時間は経っていますが集客の仕組みやDMの反応率といったデータが手元に残っていて、今でも事業として大外れすることがないだろうという手応えがあるからです。

スマホを手に取る医師

診断書を書いてもらいに病院に出かけたことがあります

顧客課題を解決することが最も重要

ちょうど今、社会保険労務士法人を設立するか、合同会社を立ち上げるかなど法人化について悩んでいます。健康保険の任意継続がそろそろ終わるというのもあって、個人事業主から法人に移行しようかどうしようか考えているのです。

ただ単に法人という箱を作るのは簡単な時代になりました。肝心なのはその法人でどのような価値を生み出すか。既存の顧問契約をそっくり移行させても良いのですが、それでは何となく面白くないなとも思っていて、法人化するのに合わせて新事業を立ち上げるのはどうだろうといろいろ検討しているところです。

かつて期せずしてボランティアから案件を受注できたように、顧客課題が存在して初めて事業は価値を生み出すことができます。誰かの困りごとを解決しようともせずに事業を営んでも利益を生み出すことなどできなくて、あっという間に窮境に陥ってしまうことでしょう。

士業が事業を立ち上げようとしたときに、資格や知識を前面に打ち出すのは下手な打ち手。資格や知識を持ち合わせているのは当たり前のことで、見込客からしたら押しつけがましく感じるだけです。士業の商売であっても、どんな顧客課題をどのように解決できるかをずばっと提示することが何より重要で、そのためには自分が解決できる課題がなんであるかを理念と共に定義しておく必要があります。

6か月間で20回以上の障害年金セミナーを実施して得られたのは、士業事務所の経営にも顧客課題解決の視点が必須だという今から思えば当たり前のことでした。あのとき暇を持て余していなければ障害年金について勉強することもなかったですし、申請するためのポイントを理解することもありませんでした。ハラスメントで体調を崩し、就労もままならない状態になってしまった方が障害年金を受給できた時の喜びは私の士業事務所経営の原点です。


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