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コラム

人前で上手に話せるようになるにはどうしたらよいか

先日の日経MJにこんな記事がありました。

スピーチ、黒歴史にしない
日本経済新聞 電子版 2024/1/31
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78067850Q4A130C2HF0A00/

記事ではスピーチ講座が紹介されていて、「3カ月と6カ月のプログラムがあり、週1回のトレーニングで料金は30~40万円程度」だそう。なかなかの料金です。人前で話すことについて書いています。

そもそも上手に話せなくても大丈夫

人前で上手に話せるようになりたいというのは多くの人が抱く願望のようですが、実際に社会の現場に立ってみると必ずしも「話術」だけがすべてではないことに気づきます。地方中小企業の経営者と話していても感じることは同じ。話し方は素晴らしくても中身がまったくない人もいるわけです。

ある経営者は滔々と自社の事業について語ってくれましたが、事業の実態はどうやら怪しいもの。世界を変えるような技術を保有していると言うのですが、どう考えても物理の法則に反しています。文系の私でさえも気づくのに、話し方があまりに上手であるために多くの人が惑わされているよう。話し方だけに囚われると、木を見て森を見ずというような状況になってしまうのです。

そういう私はぼそぼそと話すタイプで、声も大きくありません。人前で話すときはいつも緊張しますし、話し方がうまいかどうかと問われたら間違いなく下手な方に入ります。それでも人前で話すことを苦手と思っていないのはメッセージを伝えることに注力しているから。変に格好を付けようなどとはまったく考えていないので、自分の最も伝えたいメッセージを言葉にすることに集中しています。

話しぶりだけ整えても、メッセージが整っていなければ中身のないスピーチになってしまいます。上手に話せるに越したことはありませんが、そもそも上手に話す必要がないと割り切るのも考え方の一つです。

原稿の丸暗記はあきらめる

それでも人前で話す場面は発生するわけで、どうしても失敗できない場面で私が手にしていたのは箇条書きのメモです。一言一句を記した原稿を用意して丸暗記しようとしても、完全に覚えられることなどありません。途中で頭が真っ白になってしまうとせっかくの原稿も役に立ちません。

そのため私のメモにはその時に話すべきことを箇条書きにしていました。「①挨拶 〇〇について触れる ②近況報告 〇〇店の売上〇〇万円 ③今後の展望 〇〇に取り組むことを伝える」といった感じの簡単なものです。堂々とメモを見ながら話していれば、頭が真っ白になって話すべきことを飛ばしてしまうことも起こりません。別にメモを見ながら話したところで何の問題もないわけで、私はいつもこの手を使っています。面白いことに、丁寧にメモを用意していると、案外、メモを見なくても話せてしまいます。いわばメモがお守り代わりになってしまうのです。

スピーチではありませんが、家業の代表取締役を務めていた際に銀行へ出向くときにもメモを上着のポケットに忍ばせていました。金融機関の担当者が私からどんな言葉を聞きたいかというと、上手なスピーチではなくて「数字の実態」です。私が数字をきちんと把握しているかどうかを確認して、支援に値する企業かどうかを見極めようとしているのです。そこでメモに記していたのが数字の概況。代表取締役としてどうしても伝えたい数字を抜粋し、箇条書きのメモにしていました。

セミナー会場のマイク

緊張している自分を自覚しましょう

与えられた時間で話せるように練習する

話術以上にもう一つ大事なのが与えられた時間を守ることです。どんなに話し上手でも時間を超えてダラダラと話し続けるのは何より嫌われる行為。自分の持ち時間にぴったりと収まるように話さなくてはいけません。

時間を守るためには時計の位置を確認しておくことと、練習することが重要。スピーチ中に腕時計を見ることはできないので、会場内の時計がどこにあるのか事前に確認しておく必要があります。また、当たり前の話ですが、事前に練習しておけば、練習した分だけ滑らかに自分の思いを時間内で伝えることが可能になります。直前にちょこっと練習しただけで上手に話そうとするなんてそもそも無理な話で、前日までにどれだけ繰り返し練習できるかが重要です。

スピーチが上手になったところで中身が伴っていなければ笑われるだけです。上辺だけのスピーチ術みたいなものに振り回されることなく、自分の言葉で自分の思いを伝えることに注力しましょう。


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