歯科に定期検診に行って考えたこと
今日は午前中、歯科クリニックで検診をしてもらってきました。一昨年の12月に行ったきりだったのですが、特に異常はなし。歯ブラシが上手になったと褒めてもらえました。
わざわざ遠いところにある歯科クリニックに行く理由
私が通っている歯科クリニックは自宅から小一時間かかるところにあります。自宅から歩いて駅まで行き、地下鉄に10分ほど乗り、さらにバスに乗り換えて20分くらい。実は自宅のすぐ近くにもあるのに、わざわざ時間を掛けて通っています。
以前は商業施設内の歯科クリニックを利用していました。駐車場は広いし、ついでに買い物もできるので当時住んでいたエリアでは抜群の立地にありました。ただ残念だったのが肝心の治療が雑だったこと。多くの患者をこなすのに一杯一杯という様子で、スタッフがバタバタしているのがこちらにも伝わってきてしまいました。ある時など上の歯をクリーニングしてもらった翌週に、間違えて再び上の歯をクリーニングされそうになったこともあるくらいです。数をこなさないと利益が出ない店では、1人1人の顧客への対応が雑になってしまうのでしょう。それでも立地の良さが抜群なので5年間も通ってしまいました。当時はそれで満足していたから何の不満もありませんでした。
引っ越したのが2年近く前。新たに通う歯科クリニックを探さなくてはなりません。その時の判断基準はネットで予約できて、さらにクチコミが良さそうなところ。ありがたいことに独立開業してから予定が埋まるのが早いので、ネットですぐに予約できるところが良かったのと、何より丁寧に診てくれるところに通いたいと考えていました。
その条件に合致したのが、今日も行ってきたところ。初診からネットで予約できて、その場で日時を確定させることが可能です。もちろんとても丁寧に診てくれていて、前に通っていたところの倍くらいの時間を掛けてきれいにしてくれます。多少、出向くのに時間は掛かりますがせいぜい年に数回のこと。満足度ははるかに上です。
選ばれる理由を提示できているか
自分が消費者の立場になると、こうして様々な判断基準で購入する店を選ぶことになります。
商売をするときに心掛けたいのが、消費者を想像して商品やサービスを提供できているかということ。いざ自分が販売する立場になると、消費者のことなど忘れて売ろう、売ろうとしてしまう人が多いです。消費者に選んでもらおうとするのであれば、選ばれる理由を提示しなくてはなりません。立地なのか、価格なのか、背景の物語なのか。売り手の都合のみを押しつけるのは何より嫌われる行為で、まずは消費者に選んでもらえるような仕掛けを用意する必要があります。
ある経営者は、すべてを投じて開発した新技術がまったく評価されないと嘆いていました。それどころがついには逆に発注してくれない営業先への恨み言を口にするように。当初は評価されていた新技術も見込客の課題を解決できるものでなければ選ばれることはありません。なぜ売れないのかということを突き詰めて考えていればまた結果は変わっていたのでしょうが、見込客を逆恨みするようになっては終わりです。選ばれる仕掛けを用意しなかった経営者が悪いのです。
自社の商品やサービスを買ってもらおうと考えるのであれば、闇雲に売りつけようとするのは逆効果を生むばかりで、見込客に共感して選んでもらえるような仕掛けを用意するのが先なのです。
売ろうとするのであれば、あえて遠回りしてみる
私がこの考えを持つに至ったのは家業の茶わんやでの経験が基になっています。当時は「食器を売って売上を作る」ことばかり考えていて、消費者に提示できるメリットについて深く考えることはありませんでした。ただ店に商品を並べて消費者に選んでもらえることなどなく、売上が下がり続ける日々に頭を悩ませ続けていました。
ふと閃いたのは何がきっかけだったかは覚えていません。ベテラン従業員からのヒントがあったのか、なにか他社事例でも耳にしたのか。食器を売ろうという願望はいったん横において、食卓風景を提示して消費者に共感してもらおうと思いついたのです。
京都の台所風景をコンセプトにした見せ方は百貨店バイヤーの支持もあり、すぐに実地に検証できることになりました。台所用品やオリジナルブレンド米と組み合わせた売場作りは当時の家業にとっては斬新な試み。試験導入した店舗でまずまずの結果が出たと聞いた時には喜びよりも、ほっとしたというのが正直な感想でした。ただ残念なことにすでに資金繰りに窮していた会社は、その後、投資ファンドに事業譲渡することに。新しい経営者は過去の取り組みには興味が無かったようで、せっかくの挑戦も引き継がれることはありませんでした。
少し話は逸れましたが、売ろうとするのであれば、あえて遠回りしてみること。それが私が得た教訓です。
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