会議はお金を生み出さない
「会議」とされるものほど無駄な行為はありません。ただの情報共有なら資料を配布すればよいですし、あるいは経営者の話を聞かせたいなら動画を共有すれば済むことでしょう。わざわざ会議を開こうとするのであれば、その日に達成したいゴールを見据えて運営しないと無駄になります。
ダラダラ続く会議は時間の無駄
基本的に会議は短ければ短いほど良いと思っています。わざわざ会議を開かないと何かが進まないというのもおかしな話で、大きな方針を確認するのが会議の役割ではないかと考えています。
家業の代表取締役を務めていた時の取締役会の進行は私が行っていました。心がけていたのはてきぱきと進めて、決を採っていくこと。「取締役が集まっているから短時間で解散するのはもったいない」とか「なんとなく1時間は使わないと」などと考えることはありませんでした。議題を消化したらそれで終了。ダラダラと続けるのは時間の無駄だと考えていました。
ある行政のプロジェクトに関わっていた時、あまりにも打合せがダラダラとしていたので途中で退席したことがあります。行政特有の文化なのか、配られた資料をなぞるだけでまったく生産的ではありませんでした。会議のための会議に参加させられているのが馬鹿らしくなってきて、席を立ってしまうことに。その後、怒られることも、仕事に差しさわりが生じることもありませんでした。無駄な会議は退席してしまうにかぎります。
優先順位を付ける
ある関与先の会議に出席したときのことです。設備関連の懸案事項がダラダラと挙げられていて、何かが決まるわけでもなさそう。資料は前日に配布されていたので、わざわざ全員が集まって再確認する必要もありません。私から口を挟んだのは「安全衛生に関わる案件を優先して改善したらどうか」という一点。それまで資料をなぞるだけの会議だったのが一変して、議論が深まっていくことになりました。
会議を開くからには何かを確認・決定する必要があるでしょう。進行役はゴールを設定して場をコントロールしなくてはいけません。資料の読み合わせをするだけならば、もはや「会議」と呼べるものではなく、「資料読み合わせ会」と改称すべき。進行役は事前に配布しておいた資料をベースに、今回の会議で何を決めなくてはいけないのかを出席者にバシッと提示しなくてはなりません。決めようとしていたことが決まったらゴールは達成。開催時間がどんなに短くても臆さずに解散すれば良いのです。
これまで地方中小企業の会議と称する場に何度も呼ばれて出席しましたが、進行役が機能していないことが非常に多いです。ただの議事進行係になってしまっていて、会議をどのように終わらせるかをイメージして取り組めている人はほとんどいません。「先月の売上を報告してください」「営業概況を報告してください」「数字が良いですね、悪いですね」、そして12時になったらなんとなく終了するというパターンばかり。
誤解を恐れずに言えば会議はお金を生み出すことはありません。できるだけ開催しないようにし、開催するのであっても短時間で目的を達成するように管理しましょう。
その会議、本当に必要ですか
多くの地方中小企業では価値を生み出すことに時間と労力を掛けず、会議をすること自体が仕事になってしまっています。雇われる立場の多くの人にとっては1日8時間をどう消化するかが重要で、どうやって新たな価値を生み出すべきかに思いを巡らす人は稀な存在。会議などというのは時間を消化するためには絶好のイベントで、「昨日と同じ仕事」をしようとする人にとっては都合の良い道具なのです。
試しに会議を止めてみましょう。特に定例会議とされるものなど、どれだけ必要かを検証するために一度中止してしまえばよいのです。もちろん資料を共有し、チャットなどで意見交換するのは通常の業務として実施します。それでも会議が必要ならばすれば良し、実はあってもなくても変わらなかったなどというのであれば、二度と開催する必要はありません。
会議はいかにも仕事(らしきこと)をしている雰囲気を醸し出す、典型的な無意味でどうでもいいもの。無駄な会議は勇気を持って止めてしまい、浮いた時間でお茶でも飲みながら、新しい価値を生み出す取り組みについて構想しましょう。
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