人は自分の話を聞いてもらいたいもの
ポッドキャストについて議論する機会がありました。普段は経営者の話に耳を傾けている私ですが、その日は珍しくインタビューを受ける立場でした。
なぜブログとポッドキャストで情報発信しているのか
ポッドキャストを始めたきっかけを説明する際に、ブログを毎日書いていると話しました。そのブログのコンテンツを他の媒体でも流用したいと思いついたので、音声メディアを選んだと説明。さらにはコミュニティFMに出ていたことがあり、音声メディアに興味があったともお伝えしました。面白いことに、インタビュアーもコミュニティFMへの出演をきっかけに音声メディアを自分で持つことを思いついたそう。共通項が見つかったことをきっかけに、より興味を持ってもらえたようです(たぶん)。
ブログにはざっと目を通してもらったようで、独自の記事を毎日書くのは大変ではないのかと尋ねられました。夕方までネタが思い浮かばない時は焦りますなどとお答えしたところ、その方も以前にブログを更新していたことがあったそうで、なかなか記事を書き始められない焦燥感について共感してもらえることができました。
話が弾んだと言っても相手は業界では全国的な知名度を誇る人。ちまちまと情報発信している私とは見ている景色が違うはずなのですが、興味を持って話を聞いてもらえてうれしかったです。私も経営者と対話するときに、同じくらいの関心を持って耳を傾けなければいけないと改めて勉強になりました。
聞くために必要なのは質問力
経営者の話を引き出すためのコツらしきものはいくつかありますが、小手先のテクニックを弄したところであっという間にその下心は見透かされてしまいます。例えば、傾聴のテクニックで挙げられる、「適度に相槌を打つ」「相手の言葉を繰り返す」「相手の話を要約する」といったことは自然にされるのならばともかく、毎回同じように繰り返していては鼻につくだけです。
私が心がけているのは、何よりも心の底から相手に関心を持つこと。「これまでどんな道を歩んできたのですか?」「どうしてそんなことを思いついたのですか?」「この先何をしたいですか?」と素直な関心をぶつけることで多くの経営者は心を開いて言葉を紡いでくれるようになります。この時に大事なのが相手の「大小」に惑わされないことで、事業規模や年齢などによって先入観を抱かずに、対話に没入するようにしています。
人は誰しも何かを聞かされるよりも、自分の話をしたいと考えています。うまく信頼関係を築くことができれば、初対面であっても驚くほど多くのことをお話ししてもらうことは可能で、その言葉の中から売上アップのためのヒントを見出すのが私の腕の見せ所です。つい、「私も実は、、、」などと口をはさんでしまいたくなることもありますが、ぐっとこらえなければいけません。気分よく話してもらえる環境を作るのも、中小企業支援家の重要な能力の一つです。
たまには話を聞いてもらうのもいいかも
過去の転職のタイミングでは多くの面接を受けてきましたが、そのほとんどは私の経歴を振り返るだけのもの。家業に就職してどんな業務に従事してきたか、代表取締役に就任した経緯、経営者としてできたこととできなかったこと、投資ファンドに事業譲渡した経緯。私の履歴書と職務経歴書に興味を持った会社や組織からは、こうしたことばかり話すように求められます。今何を考えているかなど鋭い質問を受けることは少なくて、それなりに面接慣れしてしまったのは笑い話でもあります。
ところが今回は情報発信について思うところを短時間ではありましたがお話しすることができました。普段、経営者の話を引き出すことに注力している私にとっては新鮮な機会に。たまには立場を変えて刺激を受けることも重要だと感じました。
そういえば茶道のお稽古も同じで、何かを教えてもらうということは知的な刺激になることを毎回痛感しています。覚えたと思っていたことをできていなくて指摘を受けたり、まったく新しい動きを教えていただいたり。
40歳後半になって、「先生」などと呼ばれることもあるからこそ、自分から進んでどなたかに話を聞いてもらう、あるいは教えを乞うというのは意識して取り入れるべきだなと感じました(ちなみに先生と呼ばれるのは好きではなくて、名前で呼んでもらえたらうれしいです)。
ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています
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