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コラム

顧客課題の解決から目を逸らすな

商売の基本のひとつが「顧客課題の解決」です。この基本から目を逸らしている地方中小企業が多いことにはいつも驚かされます。

営業よりも顧客課題を聞き出すことが先

ある顧問先でお話ししていたときのことです。売り上げが伸び悩んでいる販路について議論している最中に「この販路のお客さんの課題は何ですか?」と尋ねたのは私。残念ながら、社長以下どなたからも返事はありませんでした。

どうやら顧客の課題を聞き出すことなく、ただカタログを置いていくだけの営業スタイルだったよう。我が身に置き換えたらわかると思うのですが、「カタログができました、注文してください!」とだけ言われて買う気をそそられる客などいません。その商品やサービスを手に入れることで、どんな幸せが実現するのかをくっきりとイメージできない限り、選ばれることはないのです。

顧客課題を把握していないのに、商品やサービスを売りつけようとするのはただの押し売り。関係性を構築するどころか、最も嫌われてしまう行為です。売ろう、売ろうとばかり考えている人に限って、顧客の声を聞こうとしていません。まずは顧客の声に耳を傾け、困りごとを把握しましょう。

私が顧問先の経営者とお話しする時には「他に困りごとはありませんか?」と尋ねることがあります。このフレーズは思っていたより喜んでもらえることが多くて、「いや実は、、、」などとそれまでの話題が吹き飛んでしまうような重要なテーマが持ち出されることもしばしばです。顧客課題を聞き出さなければいけないのは、私のような無形の商品を取り扱っている者にも求められることなのです。

商品やサービスは顧客課題を解決する道具に過ぎない

地方中小企業を見ていて本当にびっくりするのが、まず商品を作ってしまって、その後に売れなくて困っているパターンが多いこと。闇雲に商品開発してしまい、在庫の山を作ってから売り先が見つからずに苦労しているのです。

商品やサービスは顧客課題を解決する道具に過ぎません。であるならば、商品の色やサイズに頭を悩ます前に、まずはどの顧客課題を解決すべきかに頭を使いましょう。

「展示会があるから新商品を作る」「来年の春夏の新商品を作らなければならない」「新商品を投入し続けないといけない」といった思考に陥っていないでしょうか?

顧問先と商品開発についての話題になった時、私は「その商品をどうやって売りますか?」と投げかけることにしています。開発が進んでしまって後戻りできなくなる前から、どうやって売るのかをイメージして欲しいのです。先回り営業までできればさらに望ましく、商品が完成する前から売りさばくことができていれば、顧客課題に応えられている何よりの証となります。

私のかつての家業でも、仕事のための仕事をするように新商品を次から次へと生み出していました。今にして思えば顧客の顔をイメージできておらず、自分たちの都合で在庫の山を築き、後から売るのに苦労することの繰り返しでした。

自分たちは誰のどんな課題を解決したいのか。商品を作り出す前にじっくりと考えましょう。

女性の耳

顧客の声に耳を傾けましょう

顧客課題を聞き出す前に関係性を構築しよう

顧客課題を聞き出すためには、ある程度の関係性を構築しておく必要があります。どこの誰だかわからない人に自分の悩みを伝えてくれるわけがありません。安心して心を開くことができるからこそ、困りごとを教えてくれるようになります。

関係性を構築するための第一歩は自己開示。自分が何者であるかを包み隠さずに伝えるのです。営業担当者であれば、カタログを持参する前にまずは自分を知ってもらいましょう。優秀な営業担当者ほど、いきなり商品の話を持ち出すことはありません。雑談(のように聞こえる会話)を通して自分の人となりを理解してもらい、さらには顧客課題をさりげなく聞き出してきます。

日経産業新聞の連載「売れる営業」では様々な業界の営業担当者が紹介されます。誤解を恐れずに言えば、毎回書かれていることに大差はありません。彼ら彼女たちに共通しているのは顧客の声に耳を傾けることから営業を始めていることです。また若かりし頃に売ろう、売ろうとばかり考えて、思うように結果を出せなかったというのも同じ。

顧客に商品やサービスを選んでもらおうと考えるのであれば、まずは顧客の声に耳を傾けて困りごとを聞き出しましょう。顧客課題を把握することが売上を作るための大前提です。


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