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コラム

去年今年を貫くもの

この時期、よく紹介されるのが高浜虚子「去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの」という句です。今年も自分の軸を見失わずに活動していきたいと考えています。改めて「軸」について書いておきます。

軸その1「顧客に価値を提供する」

中小企業支援家として活動しているので、顧問先には報酬の対価として何らかの価値を提供しなくてはなりません。教科書に書いてあるようなことを話したところで、わざわざ私と契約してもらう理由にはなりません。他にいくらでも同じことを話している専門家らしき人がいるからです。「岡田と話してよかった」「話を聞いてもらうだけで頭が整理できた」と言ってもらえるような関係を目指しています。

ある理論物理学者出身の経営者は私と話すことで、自らの思考を整理整頓している典型的な方です。私が何かをレクチャーしているようなことは全くないのですが、対話の時間をとても大事にしてくださっています。彼との対話は意見交換というより、経営者がお話しするのを私が講義を受けるように聴いているのに近いかもしれません。それでも他の専門家らしき人には提供できない価値をもたらしていると大変喜んでくれています。安直に補助金や制度を案内せずとも、中小企業支援家として確かな価値を提供できていると信じています。

価値の軽重を判断するのは提供側ではなく受け取る側です。最もらしいことをいくら話したところで、時間がもったいないと判断されてしまえばプロとして報酬を受け取ることはできません。それっぽいものではあるけれども無価値なものを押し付けることのないように、顧問先の課題解決に役立つコンテンツを提供しようと心がけています。

軸その2「時間に余裕を持つ」

私の働き方の軸の一つは時間に余裕を持つことです。時間を切り売りするような働き方や、低単価の仕事に忙殺されて疲弊するようなことはなんとしても避けたいと考えています。

この働き方を身につけたのは家業の代表取締役を務めてから。タイムカードが存在しない立場になったことで、拘束された時間ではなく仕事の中身が問われることになったのです。朝は早起きしているので早めに出勤しても、夕方は早々に退勤することもしばしばでした。無理に席に残るようなことはせず、キリのいいところでさっさと家へ帰るように心がけていました。

今現在もタイムカードのない完全に自由な自営業として働いています。関与先に合わせて早く出たり、遅くまでお話しすることもありますが、基本的には時間に追われないような働き方を実践する日々です。

家業で営業をし、広告代理店に出入りしていた時のことです。いつも遅くまで残っている彼ら彼女たちに尊敬の念すら抱いていたのですが、ある時聞いたのが「残業しているからといって必ずしも仕事をしているわけではない、タバコを吸ったり、それらしくしているだけだ」という言葉。まだ家業以外の世界を知らない私には衝撃で、これがいわゆる生活残業なのかとびっくりしてしまったことがあります。

人が仕事で忙しそうにしているからといって、本当に忙しいのかどうかは怪しいものです。また、実際に忙しかったとしても、何か仕組みが間違っているのではないかと疑うようにしています。働き方改革が叫ばれるようになってから、あっという間に時間外勤務は減っている様子。そもそも本当に必要な残業などごくごく一部だけだったのでしょう。

せっかく自営業で働いているので、自分の時間は自分で主導権を握って管理することを強く心がけています。1日24時間、1年365日。時間を切り売りしたり、振り回されたりせずに、余裕を持って行動するようにしています。

除夜の鐘

今年もよろしくお願いします

軸その3「新しいことに挑戦し続ける」

かつての家業が存続できなかった理由の一つが「進取の気性」を失ったからだと考えています。老舗は変わり続けたからこそ、それまで生き残ることができていたはず。それなのに、戦後の強烈な成功体験をいつまでも引きずってしまい、いつしか変化の必要性を忘れて現在地に安住するようになってしまったのでしょう。

その家業をすぐそばで見ていたために、私自身も新しいことに挑戦し続けるようにしています。確かにいつでも現在地というのはとても居心地が良いのですが、常に刺激を受けていないと、いつか自分が使い物にならなくなってしまうのではないかと恐怖感を持っています。新しいことに挑戦するためには、時として安住の地から移る覚悟も必要ですし、何かを捨て去ることもありえます。

一昨年に茶道のお稽古を始めたのもささやかではありますが、私にとっては挑戦の一つ。新しい趣味で新たな人の繋がりや経験を得ることも、生きていくために必要な刺激だと思っています。


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