地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

やりたいことがあるだけで幸せ

先日、起業を検討しているという学生と話す機会がありました。ありがたいことに向こうから話しかけてくれて、今思い描いている夢について教えてもらうことができました。

起業を検討している学生

あるイベントで起業を検討しているという大学3年生と話す機会がありました。周りが就職活動に取り組んでいる中で焦りを感じつつも、自分のやりたいことを実現したいと考えているそう。起業によってその何かが実現するのであれば、ぜひ取り組んでみたらどうかとお伝えしました。

その際に「周りの友達は何かやりたいことを持っている様子か?」と尋ねたところ、そんな様子の人は見当たらないそう。本人は気づいていないようですが、人はやりたいことがあるだけで幸せなのです。ぜひその夢を大事にしてほしいと話しました。

もちろんその学生の現在地はまだ0メートル地点。人に伝えられるような計画すらも、まだ持ち合わせていないというのが実際のところです。でも、その状態にいる彼に対し、「まずは事業計画を作りましょう」「資金はいくら必要なのか」「他に取り組んでいる競合はいないのか」と問い詰めるのは無粋なことです。何か夢がある、まずはそれだけで十分なのです。

創業を志す人への接し方

何かを実現したいと考える人には敬意を持って接するべきだと思っています。一歩を踏み出そうとしているその行動力に敬意を表したいのです。そのため、私が創業を志す人と話す場合には基本的に後押しのみ。夢を実現するための方法を自分事のように徹底的に考え抜きます。

中小企業支援業界に身を置いていると、雇われた経験しかない専門家らしき人々が創業を志す人や零細な事業者に対し、とても偉そうに接している場面を見聞きすることがあります。地方中小企業でバタバタと経営に取り組んでいた私からすると、経営経験も無いのに過去の肩書で偉そうに事業者に接するなよ思ってしまいます。

特にこれから創業しようと考えている人は、ゼロから何かを興そうという気概を持っています。今はまだ何者でもなくても、相談したいことがあるから勇気を振り絞って第三者に自分の夢を打ち明けてくれています。中小企業支援家がどなたかから相談を受けられるのは当たり前のことではなくて、思い切って決断してくれたからこそ実現する貴重な機会なのです。

私が先日会った学生も、今の時点で語ることができる内容は非常に稚拙なものです。でもそれでいいじゃないですか。私が提供した知恵とアイデアを踏み台のように用い、いつかその夢を実現してもらえたらうれしいです。

早稲田大学

たまに学生とお話しすると良い刺激をもらえます

何でも良いというわけではない

もちろん、法律やルールに反していたり、明らかに筋が悪いプランであったりする場合には、ブレーキを踏むこともあります。

ある高齢の女性がアイデア商品を思いついたと言っていらしたときのことです。世の中にまだ存在しないアイテムを商品化すると勢い込んでいるのですが、一瞥してすでに普及しているものだと気付きました。そのことをお伝えするととてもがっかりした様子ですが、しょうがありません。事実をお伝えしないことには時間や資金を無駄にすることになってしまいます。

また、ある人の事業内容はカタカナ語満載で地に足がついたものではなく、どうやら法人の代表になることだけに憧れを抱いている様子。承認欲求がこじれてしまっているようで、ビジネスプランコンテストを梯子しては「あの審査員にこんなコメントをもらえた」「入賞したあの人と繋がっている」「創業したあの社長とは一緒にプレゼンしたことがある」などと言うばかり。目指す事業の実態が定かでないので「やりたいことをやればいいのでは」とだけ言い続けたところ、いつのまにか私のところへは顔を見せなくなりました。

この二人と思われる人からは後日、お叱りの連絡を受けています。「創業の夢をへし折られた」「岡田は人によって対応を変える」といった具合。でも私にとってはクレームなど怖くありません。止めるべきは止める。中身のない事業は後押ししない。それだけのことです。

1日24時間、1年365日。そして人生は1回のみで、いつ終わるかは誰にもわかりません。そんな人間が、生きている間に実現したい夢を持っているというのは幸せなことです。そして中小企業支援家として夢の実現に関われるのも素敵なことだと思います。


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