地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

日経電子版で保存した記事(2023年12月)

日経電子版で保存した記事の中から、ここ最近で気になったものを紹介し、私の考えや連想したことを書いてみます。

〈社会保障 改革の論点〉立ちはだかる壁(2)氷河期世代にまた困難

日本経済新聞 電子版 2023/11/21
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76287330Q3A121C2MM8000/

記事では氷河期世代が十分な年金がもらえず、老後に貧困を強いられる事態が生じるのではないかと警鐘を鳴らしています。私も氷河期世代。2000年前後に社会に出るタイミングで就職に苦労したとされている世代です。私は家業にすぐに入ったので就職活動は一切していませんが、友人たちがそれなりに苦労していたのは見聞きしています。

私たちの世代は、親世代がお世話になった大企業が、必ずしも社会人人生を最後まで面倒見てくれることはないと知ってしまった世代でもあります。大企業に入ったからその後の人生の幸せまでもが保証されることなどなく、自分で能動的に人生を乗り切っていかなければいけないと考えている人が多いように感じます。

もちろん私も同じ考え。家業を投資ファンドに事業譲渡した後に他企業からのお誘いもありましたがお断りし、中小企業支援家という新しい道を選びました。選択の理由は、社会に長く価値を提供できるのではないかと考えたから。60歳や65歳で食いっぱぐれて呆然とすることのないように、自営業らしい日々のスリルを味わいつつ、事業の持続可能性を高めていきたいと考えています。

サイバー攻撃被害、ディノスはあえて開示 対応が信用を左右

日本経済新聞 電子版 2023/11/21
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC31AWF0R31C23A0000000/

「企業がサイバー攻撃で被害を受けた際、情報をどこまで公表すべきなのか。発信をためらいがちな経営者が多い中で、積極的な情報公開で信用を高めた企業もある」と始まる記事では、「積極的に情報を発信することで自社の評価が高まるプラスの効用を強調したい」と書かれています。

不祥事案件に対する向き合い方は私も同様の考え方です。規模の大小に関係なく、隠そうとしたところで隠しおおせるものではなく、であるならば堂々と正面切って対応するに限ると思うのです。私は家業の代表取締役を務めていた時に2件の不祥事を引き起こしてしまいましたが、どちらも逃げることなく対応した結果、経営にダメージを及ぼすことなく、逆に対応へのお褒めの言葉をいただくこともありました。

また事業が窮境に陥った時も同じ。ピンチに直面していることを悟られまいとしても、いずれどこかで伝わってしまうもの。だったら最初から支援を請えば良いのです。地方中小企業の経営者とお話ししていると、窮境に陥っている状況を素直に教えてくれない人と出会うことがあります。強がったところで時間を無駄にするだけ。利害関係者の支援を得て危機を乗り越えたいと考えるのであれば、あえて困難な状況を開示することも選択肢の一つです。

(Views)実態を映さない労基法制

日本経済新聞 電子版 2023/11/29
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76479830Y3A121C2X12000/

労働基準法は戦前の工場法の流れを汲むもので、資本家から労働者を保護するのが大目的になっています。この本質的なところを理解しておかないと、経営者はムダな労務トラブルを引き起こしてしまったり、事後の対応を誤り被害を拡大させたりすることになりかねません。

例えば、ローパフォーマンスの従業員をどう処遇するかは他の従業員も注視しています。見て見ぬ振りをして雇用し続ければ現場の士気を下げることになりますし、乱暴な対応は当該従業員を利するだけです。

事業を営もうとするのであれば、まず第一に財務の基礎知識は必要ですが、現在は労働法制についてもそれなりの知識が必要でしょう。誤解を恐れずにいえば労働基準法は労働者のための法律で、経営者を守るための法律ではないのです。

日本の小銭

「無料」は百害あって一利なし

停滞社会、若者の躍進に学べ

日本経済新聞 電子版 2023/12/13
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76892930S3A211C2UU8000/

スポーツはお年寄りが活躍できないから、日本のアスリートは躍進しているといった趣旨のコメントが紹介されています。

事業を持続可能な状態にしようとするのであれば、従業員の年齢構成にも留意したいもの。大企業であれば当たり前のように人事が管理してくれているのでしょうが、地方中小企業では人手不足に対応するのに精一杯でそこまで気が回らない企業も多いことでしょう。

私が家業の代表取締役を務めていた時の手帳には、全従業員の入社年月日と定年退職日を一覧表にしたものを貼り付けていました。「この先輩はあと何年働いてくれるな」「あの先輩はあと○年で退職してしまうのか!」というのを可視化するために自分で作成していた資料です。

学生スポーツは大会で結果を出すのと同じくらい新歓活動に力を注ぎます。新入生を迎え入れなければ部の存続に関わるからです。地方中小企業も同様。目先の人手不足だけに囚われるのではなく、事業を存続させるための人員配置について後手に回らないように対応していきたいものです。

(竹内謙礼の顧客をキャッチ) サンプル、「無料NO」の効果

日本経済新聞 電子版 2023/12/18
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76994250V11C23A2HF0A00/

何事も無料というのは良くないと思っています。無料を売りにしてしまうと「無料」であることに価値を見出す人しか集まらなくなるからです。そうした人々を見込客としたいのであれば構いませんが、多くの地方中小企業にとって熱心な顧客に育てることは困難な人々でしょう。

また私は基本的に無料の依頼はお断りしています。当たり前といえば当たり前なのですが、顧問先などから報酬を頂戴して活動しているのに、何か事情があるからといって無料の仕事を受けてしまうと値付けのバランスが狂ってしまうと考えているからです。「予算がないので、、、」などと言ってくる行政関係者などは言語道断。予算があるとかないとかはそちらの事情であって、私には関係のないこと。対価を払えないのであれば買い物はできない。幼稚園児でも理解していることです。


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