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コラム

トークセッションの廻し方

たまにトークセッションのコーディネーターを任されることがあります。来月も1件行うことになっています。私がコーディネーターを務めるときにどのような点に気を付けているかを書いてみます。

トークセッションの主役はあくまでスピーカー

トークセッションをうまくまとめるには、スピーカー1人当たり何分話してもらうか当たりを付けておくことが非常に大事です。50分間のトークセッションで2人のスピーカーがいるのなら1人あたり25分。私なら5問ずつくらい質問を投げかければうまくまとめられるかなと想定します。

トークセッションの主役はあくまでスピーカーで、コーディネーターはただのまとめ役・進行役に過ぎません。スピーカーと同じように話す必要はまったくなくて、あくまでスピーカーを支える立場であると自覚する必要があります。

以前にあるトークセッションにスピーカーとして呼ばれたときのことです。スピーカーは私一人で、家業を投資ファンドに事業譲渡した経緯についてなどお話ししていたのですが、コーディネーターがご自身の経験をいろいろと語り始めました。会話が成り立てば良いのですが、「スピーカーと同じくらい、私も事業承継に関する経験がある」というのをアピールしたいのが見え見え。自分が主役でないと収まらないタイプの人はコーディネーターには向かないと実感しました。

トークセッションの目的は、スピーカーから発せられる有益な言葉を聴衆に持ち帰って参考にしてもらうことに尽きます。その目的を達成するには、スピーカーから言葉を引き出すことに注力しなくてはなりません。

台本は要らない

トークセッションには台本は不要だと思っています。自然な会話のように見せかけてスピーカーの話を引き出すのがコーディネーターの腕の見せ所。対話力ではなく、質問力が問われるのがコーディネーターの役割なのです。

私の場合は日頃から経営者の話を聞くのが仕事なので、トークセッションを任されても自然体で挑むようにしています。会場の聴衆が聴きたいであろうこと、届けたい内容を会話に仕立てて届けるように心がけています。

そのため台本は用意しないことにしています。せいぜい箇条書きの話すテーマを共有しておくくらい。「今日はこんなことを話すつもりでいてくださいね」というのを提示しておけばそれで充分です。かっちりとした台本を作ってしまうと、どこかぎくしゃくした感じが聴き手に伝わってしまうものですし、台本があるがゆえに臨機応変な対応がしづらくなってしまうように思います。台本を用意しないというと驚かれることがありますが、私にとっては逆にやりづらくなるから不要なのです。

セミナー会場

準備しすぎてもライブ感が失われてしまいます

時間厳守を関係者間で共有しておく

内容はともかく、時間を守れないイベントは迷惑でしかありません。後の予定がある人にとっては時間泥棒されるのと同じ。時間通りに始めて、時間通りに終える必要があります。

そのため私がコーディネーターを務める際にはスピーカーにも時間厳守を改めて確認させてもらっています。「自己紹介の時間は3分を守ってください」「時間を過ぎたら私が割って入りますのでそのつもりで」といった感じ。こうして釘を刺しておけば、緊張のあまり滔々と話し続けてしまうようなことでもなければ時間通りに進行させることが可能です。

トークセッションではありませんでしたが、あるセミナーに参加したときに大幅に時間超過をして迷惑したことがあります。講師は時間を超えて話し続けることをサービスか何かと勘違いしているようで、まったく悪びれる様子がありません。まとめようと努力することもなくだらだらと終了時間を過ぎてしまい、次の予定があった私は困り果ててしまったのを覚えています。

あるイベントでコーディネーターを務めた時は、初対面の経営者を相手に仕切らなければなりませんでした。その経営者はトークセッションがどんなものかイメージできていなかったようで、会話しながら聴衆にメッセージを伝えるというのが理解できていないご様子。ずるずるとご自分の話ばかりをしてしまうことが続いて、まとめ上げるのに苦労することになりました。終わってから主催者へ、トークセッションがどんなものかは事前に参加者に伝えておいてくれと苦言申し上げました。

その場の空気感を共有しながらリアルな話を聞くことができるのがトークセッションの魅力の一つ。コーディネーターの力量次第で満足度が大きく左右されます。


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