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コラム

電話について考える

若い世代には電話が苦手な人が多いそう。確かにメールやチャットでのやり取りがほとんどなので、たまに掛かってくる電話に対応するのはぎこちなくなってしまうことでしょう。電話について考えてみます。

自営業にとって電話は阻害要因でしかない

当事務所は私一人だけの個人事業です。ウェブサイトにIP電話を記載していますが、これも社会保険労務士の登録に電話番号が必要だったからやむなく利用しているだけ。iPhoneへ転送するように設定していて、固定電話は持っていません。名刺にはそのiPhoneの番号を載せています。

現住所に引っ越してきてからしばらくは営業電話が頻繁に掛かってきました。複合機、SEO対策、投資用マンションなどを一方的に売りつけようとしてくる内容です。いずれも失礼の無いようにしてさっさと切ってしまい、発信者は着信拒否に設定。こつこつと設定しているせいか、最近はほとんど営業電話は掛かってこなくなりました。

自営業にとって営業電話は心の底から鬱陶しいものです。相手は100件に1件でもアポが取れれば良いくらいのつもりで掛けてきているのでしょうが、こちらは顧問先や見込み客からの問い合わせかもしれないと思って電話を取るわけです。作業中であれば中断を余儀なくされますし、移動中であればどこかで折り返し掛けなくてはならず手間を要します。

折り返し前に着信履歴から電話番号を検索して、怪しそうなものはブロックしてしまいますが、すべての着信に対応できるわけではありません。数十秒くらいの対応であっても無駄な時間を使ってしまったという徒労感は消し去りがたくて、特に対応がよくない人との電話は消耗させられます。

営業電話は百害あって一利なし。断言して良いでしょう。

固定電話はさっさと取って名前を名乗る

サラリーマン時代、固定電話はできるだけさっさと取るようにしていました。「お電話ありがとうございます、株式会社⚪︎⚪︎岡田です」といった感じ。自分の顧客からの電話かもしれませんし、思わぬ受注に結びつくいわゆるラッキーテレホンかもしれません。少なくとも自分の会社に掛かってきている電話なのは間違いないのだから、できるだけ早く対応するのは当たり前のことだと考えていました。

慣れないうちは相手の社名や名前を聞き取れなくて迷惑をかけることもありましたが、そんなことで誰かに叱れることはありませんでした。電話が鳴ったからさっさと取る、それだけのことです。

ところがカルチャーショックを受けたのが行政が設置した事業相談窓口に転職した時のことです。最初1年間はお目付け役として行政の担当者が同じ部屋で執務していました。彼ら彼女たちは外線を取っても名前を名乗りません。「はい⚪︎⚪︎市役所⚪︎⚪︎係です」とまるで内線電話を取るような話し振り。いや、内線にしたって名乗るべきでしょう。社会人としてどうなのかなと驚いた記憶があります。

先日、商工会議所の創業支援担当者向けにお話しする機会がありました。5時間に渡っていろいろとお伝えしたのですが、その中で「電話では名乗れ」「お迎え三歩 お見送り七歩」というのをすこし強めに訴えておきました。

公的支援機関に連絡をしてきたり、やってくる事業者というのは勇気を振り絞って行動してくれています。その行動に対して最低限の敬意を持てということを伝えたかったのです。尋ねられるまで名前を名乗らなかったり、アポが入っているのが分かっているのに呼び出されるまでパソコンの画面を見つめていたり。自分がされたら感じ悪いと思うことを事業者にしてほしくありません。

どれだけ心に残ったかは分かりませんが、公的支援機関は事業者が利用してくれて初めて役割を果たせる施設です。事業者に対して常に感謝の気持ちを抱いて欲しいと考えています。

黒電話

昭和って感じですね

電話が苦手だという人への対応

私はたまたま営業をしていたこともあって電話対応はそれなりにできるつもりです。それなりどころか電話をさっさと取って対応するのが好きなくらい。一方でもちろん電話対応が苦手な人が存在することも知っています。

私が考えるのは、苦手ならば無理に対応する必要はないということ。得意な人がいれば苦手な人がいるのは当然で、電話対応に限らず苦手なことを無理に手がける必要はありません。大事なのは自分が貢献できる他のことを持つ事。例えば「電話は苦手だけど、メール対応は迅速」とか。それで良いと思います。

先日、電話を取った時のこと。いきなりつらつらと話し始める人で、何が目的の電話なのかすぐにわかりません。「⚪︎⚪︎という要件でしょうか?」と尋ねたら、そうだと言います。こういう人がいるから電話対応を苦手に感じる人が生まれるのだろうなと思いました。


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