士業マーケティング 資格試験後の過ごし方
この間の日曜日は行政書士試験だったそう。解答速報を眺めて一喜一憂するのも良いですが、試験直後だからこそ視野を広く持って過ごすことをお勧めします。
最も下手なのは勉強を続けること
試験の感触が良くても悪くても、最も下手なのは何も考えずに引き続き勉強を続けることです。資格試験を目指している人にありがちなのが、勉強をするのが目的になってしまうこと。勉強することで心が落ち着くような状態になってしまっていたら黄色信号で、目的と手段を今一度確認する必要があります。
資格を取る目的は
- 独立開業したい
- 勤務先の業務に役立てたい
- キャリアを豊かなものにしたい
- 転職の武器にしたい
- 収入増を実現したい
などと人それぞれでしょう。
ここでは独立開業しようとする人を前提に考えていきます。資格を取得する目的が、「独立開業して顧客に価値を提供し、報酬をもらって豊かな人生を実現すること」にあるのであれば、いつまでも勉強し続けるのは間違い。試験直後の時期こそ視野を広くするチャンスで、勉強期間中に取り組めなかったことに注力できます。
- 参考書ばかり読んでいたので関連分野の本を読む
- 開業後の集客のために情報発信を始める
- 運動不足の体を鍛え直す
などといったことを始めるのには試験直後が良いタイミングです。
特に新書などで関連分野の本を読むのは有効で、参考書だけでは理解できていなかった事柄が、全く別の角度から情報を得て理解が深まることが多々あります。私の場合は年金制度の全体像を理解しないまま勉強していたとき、年金や貧困に関する新書を読んだことで制度への理解が深まった経験があります。
資格予備校が提供するテキストはよくできていますが、あくまで試験合格のためのもの。独立開業後に実務に携わるのであれば、情報源を複数持っておくことが役立ちます。
試験の感触が悪かった人ほど勉強は一旦リセットすべき
特に試験当日の感触が悪かった人は、闇雲に勉強し続けるのではなく勉強の方向性を見直した方が良いでしょう。そもそも基礎的な部分を理解できているのか、問題演習と暗記の比率は適切だったのか、使用していた資格予備校やテキストは適切なものだったのか。勉強の方向性が間違っていたのに、何も考えずに継続してしまうと次回も同じ結果になる可能性が大。冷静に自分の現状を把握して、次回の試験に向けて逆算して取り組みを始めましょう。
資格予備校を使っている人が要注意なのは試験に不合格だったからといって、翌年に既習者向けの上級コースを選んでしまうこと。不合格だったのが奇問難問を落としたのが原因だったのであれば上級コースで良いのでしょうが、ほとんどの人は基本問題を取りこぼしているから不合格だったはず。資格予備校のマーケティングに惑わされずに、必要であれば基本講座を継続して選ぶ勇気を持ちましょう。
私が高校三年生のとき、予備校の日本史講師の言葉が記憶に残っています。「教科書以外にどんな参考書を使えば良いかと聞かれたが、そもそも教科書の内容を全て暗記・理解できていますか?試験は教科書の内容を完璧に理解していれば必ず合格できますよ」というもの。地に足をつけた勉強をするように促していた彼の言葉は、今でも私の記憶に残っています。
情報発信は今すぐにでも始めておきたい
独立開業には資格・知識だけでなく、売り上げをもたらしてくれる顧客が必要です。看板を掲げたところで誰からも認知されることはなく、生活が成り立つ程度の仕事が次から次へと舞い込むことなど(ほぼ)ありません。
事業を起こしたのであれば見込み客に認知してもらうことが必要。そのためには情報発信を手掛ける必要があります。情報発信は何も合格後に始めなければいけないものではなく、試験勉強中から始めても構いません。開店前のお店が準備の様子を伝えようとするように、試験勉強の様子もコンテンツ化してしまえば良いのです。
発信したコンテンツはその場限りのものではなく、継続されるにしたがい資産として蓄積されていきます。蓄積されたコンテンツはブログ→ポッドキャスト、ブログ→ニュースレターといったように他の媒体に流用することもできます。
士業として独立開業するのであれば情報発信は必須。しかしほとんどの人が満足にコンテンツを用意できていなかったり、継続できていなかったりするからこそ、少しでも早く始めることができればそれだけで競合に差をつけることできます。
資格試験直後は自分の現在地を冷静に見つめ直すことができる好機です。惰性で勉強し続けるのが最悪の選択なのを理解して、試験がうまくいったにせよ苦戦したにせよ、その後に繋がる行動を選びましょう。
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